虫歯を放置するとどうなってしまうのか?悪化した場合に起きることと治療法

虫歯を放置して起こるトラブル

激しい痛みが出る

虫歯のレントゲン歯を支配する三叉神経は非常に痛みに敏感な神経であるため、昔から「歯の痛みは鬼も泣く」といわれています。虫歯の進行レベルによって痛みの程度や種類が変わってきます。歯の何が痛むのか、どう痛むのかをお話しいたします。

 

虫歯が浅い場合

虫歯になって最初に痛む場所は象牙質という歯質部分です。歯の表面はエナメル質という硬い歯質に覆われ、その2~3ミリ下に象牙質があります。表面のエナメル質や歯の中にある神経を除けば、歯はほとんどが象牙質でできています。
口の中の虫歯菌が表面のエナメル質を溶かし、さらに虫歯が進行して象牙質に達すると痛みが生じるようになります。

象牙質の痛みは冷たい物や甘い物を飲んだり食べたりしたときに感じ、痛みは数秒続く一時的なもので、刺激がなくなると収まりまるため見逃しやすい側面があります。
治療は虫歯になった象牙質を削り取り、開いた穴を詰め物などで埋めて終了です。

虫歯が深くなった場合

虫歯の進行C3-2
象牙質の虫歯がさらに奥に進行して神経に達すると痛みは激烈になります。痛みを感じる神経自体が直接感染するため大変強い痛みです。何もしなくてもズキズキと痛み、数十分痛みます。

痛み止めが効かない、夜間痛みで寝られないなど、日常生活への影響も大きくなります。一度神経が感染してしまうと元に戻らないため、神経を完全に除去して細菌を除菌する根管治療(歯の根の治療)が必要です。治療を行えば痛みは収まります。

神経の感染が歯の外(骨)に達した場合

虫歯の進行C4-2感染や炎症が歯の根っこをも通り過ぎてさらにその先の骨や歯根膜にまで波及すると、その部分に痛みが出ます。痛みはひどく痛むようなものから違和感がある程度まで様々ですが、痛みの程度や頻度が日に日に強くなります。噛むと痛みが強く出たり、何もしなくても痛むこともあります。治療の基本は先ほどの根管治療ですが、炎症・感染が広がっていると治療しても痛みが収まるまでに期間がかかる場合があります。また重症では抜歯しか方法がない場合もあります。

痛みはこの他にも様々な原因で生じることがありますが、痛みがあるということは何か原因があります。いつでもお気軽にご相談ください。

 

 

歯の神経がなくなると歯の寿命が縮まる

歯が割れる
虫歯が進行して神経まで到達すると、神経組織は細菌に感染してしまいます。一度感染をしてしまった神経は治癒しないため、痛みなどの病状の改善やそれ以上の感染の進行を止めるためには感染した神経組織を除去する根管治療が必要不可欠になります。
つまり、虫歯を放置するとやがて神経を失うことになるのです。

神経の治療を行うためには虫歯の除去と、神経が入っていた根っこの中に治療する器具を通すための通り道を作るために仮にその場所が虫歯でなくとも歯を削る必要がでてきます。歯は削れば削るだけ歯はもろくなります。
また神経組織は歯の強度を保つのに重要な役割を果たしているにも関わらず、感染したために神経組織を取らざるを得ません。
この2つの理由により歯はもろくなり寿命が短くなってしまいます。

歯が痛む=神経を取るという短絡的な発想が一般的であった時代から、こうした理由から長年できるだけ神経を取らないことを実践してきました。近年この弊害が一般の方に浸透しつつあり、やっとご理解いただけるようになってきました。

この他にも先にならないと気づかない歯の寿命に関わる要素はあります。「自分が逆の立場だったら」をいつも念頭に置いて治療に臨むことにしています。症状がない小さい虫歯のうちに治療することの大切さがご理解いただけたでしょうか。これが当院が虫歯を早期に発見する歯科検診と共に予防に力を注いでいる理由です。

 

虫歯が口臭の原因になる

虫歯と口臭口臭は、食べかすや体の組織などの有機物を細菌が餌にして発生させる揮発性硫黄化合ガスです。細菌の増殖や餌となる有機物の多さにガスの量が関係します。つまり細菌が増殖すること、すなわちお口の中の不十分な清掃が口臭を発生させるのです。

虫歯になるのは常に磨き残しがある場所ですから、歯の表面にプラークが付着しています。プラークは細菌の塊ですから口臭の原因となります。また虫歯で空いた穴には食べかすが残りやすいため細菌の餌が豊富で菌が増殖しやすい環境です。

虫歯以外にも口臭の原因となるのは、プラークが原因の歯周病や舌の表面に出来る舌苔と呼ばれるもの、呼吸器系や消化器系の不調和や病気などです。口臭予防のキーワードは「お口の中を清潔に保つこと」です。虫歯にならないために必要な歯磨きは、歯周病や口臭などの治療や予防にもとても大切です。

 

虫歯の治療でかみ合わせが変わる

かみ合わせ虫歯の治療は、虫歯になってしまった部分の歯を削って虫歯菌を除去し、削って失った部分を人工物で補って終了です。補うことでまた噛むことができるようになります。
しかし虫歯になって歯の形が変わり、そして形が変わった分だけ歯が移動します。さらに治療のため歯を削って本来の歯の形を失います。つまり、虫歯になると治療しても虫歯になる前の歯と形や位置が変わることになります。

歯の形と位置が変われば当然かみ合わせが変わります。小さい虫歯の治療で虫歯の本数が少なければこの影響は少なくて済みますが、大きい虫歯になってかぶせ物で治さなければいけない場合や、治療が複数本に及ぶ場合、入れ歯やブリッジなど大きく治さざるを得ない場合はかみ合わせの変化が大きくなり、その影響も大きくなります。

かみ合わせが変われば、一部の歯に強い力がかかってその歯の寿命を短くしたり、物が噛めない、噛むと違和感がある、肩こりがひどくなったなど様々な症状が出ます。そして一度歯を削ったらもう元に戻らないのと同様に、かみ合わせも変化してしまえば元の状態に完全に戻すことが非常に困難です。
虫歯の治療は単純に歯を削って被せるのではなく、どう元の状態に近づけながら全体と調和してかみ合わせを作るかを考えて行うべきだと当医院は考えています。

 

虫歯の程度別の治療法

C1の治療法

虫歯の進行C1虫歯が歯の最表面であるエナメル質だけに出来ている初期の虫歯です。全ての虫歯がこの段階を通ります。
この段階で進行を阻止できれば被害は最小限で済むのですが、全く無症状なのでご本人は気づけず、う窩と呼ばれる穴が開いているため放っておくと虫歯が進行して次の段階C2に進行してしまいます。
小さい虫歯であれば、虫歯の部分だけを削ってプラスチックの詰め物をつめるだけで済みます。治療時間も短く回数も1回で終われます。

 

 

C2の治療法

虫歯が表層のエナメル質を突破して象牙質にまで達している状態です。C1より深く、広く虫歯が進行しています。手足の傷と同じように皮膚の表皮に当たるエナメル質が外部からの細菌の侵入を阻止していたのですが、その城壁が破られて内部にまで敵が入り込み被害が急激に拡大している状態です。無症状の場合や、時々軽いしみなどを感じる程度で見過ごされることがあります。

虫歯の広がりや深さが小さければC1と同様の治療で済みますが、範囲が広いと補綴物と呼ばれる詰め物やかぶせ物で治療する必要があります。ここまで敵の侵入を許してしまったことは残念ですが、歯を城に例えるとまだ歯の本丸ともいえる奥にある神経までは敵の手に落ちていませんのでここが踏ん張りどころです。

人の目には細菌が見えませんので、癌手術と同じく虫歯の取り残しがないように虫歯を一層深めに削り取ることが一般的です。この一層の削りで神経に穴が開いてしまい、歯の寿命を犠牲にしてでも次でお話しするC3の神経を取る治療にならざるを得ないことがよくあります。
これを回避するのが3Mix-MP療法です。実施している医療機関が限られているため耳慣れない治療だとは思いますが、当院では実績のある治療です。

 

C3の治療法

虫歯が城壁である表層のエナメル質を突破し、次の守りである象牙質をも突破され、虫歯が歯の本丸ともいえる神経にまで到達している状態です。歯の内部は細菌で溢れかえっており、かなり厳しい戦いが待っています。

歯を通り過ぎて感染があごの骨に到達するのを防ぐために、感染した神経を除去する根管治療が必要になります。先ほど神経がなくなると歯がもろくなり寿命が短くなることはお話ししましたが、このままでは歯の存続が危ぶまれますので最後の砦である歯自体を守る必要があります。

また根管治療後は虫歯が大きく広範囲であるため、歯を補強する土台とかぶせ物が必要になります。神経の治療、土台、かぶせ物と治療の工程が多くなるため治療期間と回数も増え、かみ合わせにも留意して治療を行う必要が出てきます。

歯を城に例えてお話ししましたが、神経が入っていた歯の根の中は城のように複雑で敵(細菌)が潜む場所が無数にあります。なんとか敵を制圧できたと思っていても、時間がたって潜んでいた敵から逆襲を受けるリスクを常にはらんでいます。再発を起こしやすく、これが歯科治療の成功率が最も低い治療といわれる理由です。当院が根管治療で一般より時間と回数をかけるのはこうしたリスクを最小限にしたいためです。

 

C4の治療法

歯の大部分が崩壊して根っこしか残っておらず、その根っこですら虫歯になっている状況です。わずかしか残っていない根っこの虫歯を削ればさらに歯が少なくなります。
歯は物をかむことが仕事であり存在意義ですが、そんなわずかな歯質で強い噛む力を十分に支え続けていくことが困難な場合は、最終手段である抜歯を選択せざるを得ないことが多いのが実情です。
また感染が歯を通り過ぎて骨の中にまで侵入した場合、治療によって細菌が死滅しない場合も抜歯をお勧めするしか方法がありません。

治療技術や材料の進歩、後は根気でしょうか、他院で抜歯を宣告された歯をかなり残せてはいますが、限界があることをご理解ください。仮に今回何とか残せても歯の寿命は著しく低下してしまいます。できるだけ早く受診をお勧めする理由です。

 

当院からのメッセージ

歯ブラシ虫歯にはいくつかの段階があって、一段進む度に治療回数や期間が増えるだけでなく歯の治療自体が大変になり、さらに歯の寿命も短くなることをご理解いただけたでしょうか。
虫歯は放っておくと痛みが生じるだけではなく、かみ合わせや、歯の寿命など様々なものを失ってしまいます。症状が出てご自分で気づいた時点で虫歯は神経近くまでかなり奥深く進行しており、手遅れになるケースが後を絶ちません。
これが同じ敵(細菌)と戦うなら少しでも味方に有利なフィールドで戦いたいため、症状がない小さな虫歯のうちの治療や、そもそも虫歯自体にならない予防をお勧めしている理由です。

当医院では的確な最小限の治療は当然として、虫歯になりにくい治療選択肢のご提案や定期検診、メンテナンスなど、患者さんが歯で悩まない・苦しまないために様々なことに取り組んでおります。また信頼のおける最新の治療を積極的に取り入れ、出来るだけ歯を長持ちさせることを目標に日々の診療にあたっています。
虫歯があるかもしれない、虫歯があるかどうかわからないけどしばらく歯医者にいらしていらっしゃらない方は一度歯科検診を受けてみられてはいかがでしょうか?
早めに、小さいうちに治療ができれば将来歯を失うことにはならないかもしれません。仮に何も問題がなければ、それはそれで安心できるのですから。

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