歯周病とは

成人の歯を失くす人の5人に4人が歯周病(歯槽膿漏)です。今は虫歯で歯を失くす時代ではなくなっています。逆に考えれば、歯周病さえうまくコントロールすることができれば一生自分の歯でおいしく食事ができるのです。

歯周病の初期症状

歯周病は細菌の出す毒素により炎症が起こり発症します。歯周病予防や治療で歯ブラシなどの清掃を重視するのは、細菌に餌を与えないようにすることと、プラークを呼ばれる細菌の塊を取り除くためです。

歯周病の初期症状は歯茎の出血です。歯茎に炎症がある証拠です。体から出血すると大騒ぎなのに意外と口の中の出血には平気な人が多いのですが、体が異常を訴えているサインです。この時点で予防や治療に動けば完全に元に戻ります。

歯周病と歯周ポケット

歯周ポケット歯周病は歯と歯茎の境目にある歯周ポケットから起こります。歯や歯茎の表面から起こるのではないので、いかに歯周ポケットを管理できるかがポイントです。

服のポケットを裏返すと底にたくさんのゴミがあることをご存知でしょうか。服のプリーツなどヒダになっている浅い空間なら簡単にブラシでゴミは取れますが、ポケットの底まではブラシが届きませんね。
お口の中の歯周ポケットも同じで、歯周ポケットの深さが2mm程度までなら歯ブラシでゴミを取り除けて歯茎の健康を維持できます。
(図はポケットの深さを細い針で測る歯周病検査)

しかしそれを超えたものは歯ブラシの毛先が届かなくなります。こうして細菌の塊であるプラークが清掃できなくなると炎症が広がり、さらに歯周ポケットが深くなる悪循環が起こってきます。

清掃ができない深い歯周ポケットの中は細菌の邪魔をするものがなく、食べかすの栄養と唾液の水分がいつでも貰え、体温の温もりがあって細菌の楽園です。人の快適な環境と同じ状態に細菌を厚遇していることになります。

歯周病が進行したら

重度歯周病検査歯周病の進行で拡大した炎症は歯茎を通り越して骨にまで波及して骨が溶け始めてしまいます。骨が溶けて痩せてくると歯茎も一緒に痩せ、歯茎が下がってきたり歯と歯の間の歯茎がなくなり歯と歯の間に食べかすが詰まりやすくなります。

また支えの骨が溶けて少なくなると歯がぐらつき始め、歯が動いて歯と歯が離れたり前歯が出っ歯になったりすることが起こります。この病状まで進行すると硬いものが噛みづらく、力を入れて噛むことを避けるようになってきます。この進行は自然と歯が抜け落ちるまで継続します。

一度溶けてしまった骨は基本的には元に戻らないため、できるだけ早く炎症の進行を止めて歯の寿命が短くなるのを止めなくてはなりません。しかしこんな状態になっても大した症状がないことがあるため、手遅れになるケースが後を絶たないことが問題なのです。

歯周病と全身疾患の関連

歯周病は歯を失くして食生活の問題を起こすだけでなく、歯周病の原因菌や炎症が全身の病気と関連していることが最近になって段々明らかになってきています。心臓の弁膜から歯周病菌が検出され話題になりました。
糖尿病を治療すれば歯周病がよくなり、歯周病を治療すれば糖尿病がよくなることが実証されているため、当院では内科と医療連携をとって双方からお互いの病気を治療する試みを始めています。
医科歯科医療連携ページ

歯周病との関連が判明・懸念されている病気は、糖尿病、心臓・血管系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、低体重児出産・早産、骨粗しょう症などです。
歯と全身の健康を維持して不便と苦痛のない楽しい人生のために私たちと一緒に歯周病と闘っていきましょう。後回しにした分だけ病気は強くなります。何か思い当たることがおありでしたなら、今すぐお電話ください。

あなたの自己歯周病チェック

下の表で当てはまる項目がいくつあるでしょうか。

歯茎から出血がある
歯茎がブヨブヨしている
歯茎が何となく痒い
起床時に口の中が粘つく
歯が以前より長くなった気がする
歯に力を入れて噛めない
柔らかいものを選んで食べている
歯がぐらついている
歯と歯が以前より離れてきた
歯茎が下がってきた
歯同士の間の歯茎が痩せて物が詰まりやすい

■判定(正確な診断ではないため、あくまでも参考程度にお考え下さい)

【0個】
現時点では歯周病の問題はない可能性がありますが、自覚症状がないことが歯周病の特徴ですから、ご心配な方は歯周病の検査を念のためお受けになられてみてはいかがでしょうか。

【2個以下】
歯周病の初期は歯周ポケットと呼ばれる歯と歯茎の境目から細菌が入り、歯茎が炎症を起こすと出血や腫れなどの症状がでてきます。プラークと呼ばれる汚れが日々の掃除で取り切れない状態が続くと石灰化して歯石になります。
歯石は歯の表面に強固にくっついているためもう歯ブラシでは取れなくなってしまっています。歯科医院で歯石除去をして感染の元を取り除いてください。

歯茎の出血やかゆみ程度なら軽度の歯周病の可能性がありますが、それ以外の項目は2個以下でも中度以上の歯周病の進行が疑われますのでご注意ください。歯周病の検査をお受けになられることをお勧めいたします。

【3個以上】
初期の歯周病による炎症は歯周ポケット周辺だけにとどまっていますが、進行すると歯周ポケットの深さが深くなり掃除ができなくなって炎症がさらに奥の方に進行していきます。歯を支える骨までも溶けてくると歯がぐらつくなど、上の表の項目がたくさん現象として現れてきます。

該当する項目が多いほど進行しているとお考え下さい。時折腫れや痛みがでることはあっても、普段は仮面を被って症状を出さないずる賢さを持った病気ですから後手に回ることが多く、症状で困った時は手遅れになることもありますので、思い当たることがあるな、何かおかしいなと思ったらすぐに歯科医院を受診ください。

当院の歯周病への取組み

歯周病の原因究明

歯周病の発症には、何をどう食べてどんな生活を送っているかという「食と生活習慣」、糖尿病などの「全身的因子」、口の中問題の「局所的因子」の3つの因子があります。
局所因子は「日々の清掃」、「細菌」、「かみ合わせ」、「強い力」、「不適切な歯科治療」などです。
そのため歯石を取るだけでなくお口全体の観点から歯周病と向き合わなければなりません。

感染対策

歯のクリーニング先ほどお話ししたように歯周病は細菌感染症ですから、日々の清掃による細菌対策が予防と治療の第一歩です。
それを後押しするために歯科医院で行うメンテナンスやPMTCと呼ばれるお口全体のクリーニングをお勧めしております。プラーク(汚れ)が細菌の温床になるため普段ご自分では届きにくい隅々までクリーニングすることで細菌につけいる隙を与えないためです。治療に関しては後ほど治療の流れでお話しいたします。

環境対策

かみ合わせに問題があったり食いしばりや歯軋りなどの強い力が長期間歯にかかると、歯を支える組織に慢性的な疲労が蓄積し、それが抵抗力を超えてしまうと組織の破壊という形で歯周病が発症します。こうした場合にはかみ合わせの調整やいつも歯を接触させる悪い習慣を是正すること、就寝時のマウスピース装着などをお勧めいたします。

歯並びが悪い場合はケースによっては部分的な矯正治療で改善できることもあります。また人工の歯のかみ合わせや、歯との境界がピッタリ合っていないために細菌の餌となる食べかすが残りやすい問題があるケースをよく目にします。この場合には人工の歯を作り直すことが必要です。

当院の歯周病治療の3つの特徴

1:オーダーメイド治療方針

先ほどお話ししたように、当院の特徴は歯だけでなくお口全体から歯周病を診ることです。歯周病には色々な原因があり、人それぞれ違うその方の問題を見つけてオーダーメイドで治療方針を立てる必要があると考えております。

2:丁寧な治療

歯石除去当院では歯石除去などの歯周病治療が基本的に1回で終わることがありません。正確に言うと終われないのです。熟練の歯科衛生士でも歯の周囲に硬くこびりついた歯石を取り残しなくきれいに除去するには時間がかかってしまいます。

また再発させないためには歯周病にかかった原因からお口の中や日頃の生活などを見直す必要があります。そのためその方特有のお口の中の問題点や毎日のお手入れ方法や道具などを合わせてお話ししておりますのでどうしても1回のご来院だけでは終われないことが多いのです。

3:3DS療法

3DS療法歯石除去などの基本的歯周病治療で歯周病が治りきらない場合は一般的には外科手術が行われています。しかし再発率が比較的高く、歯茎が下がって歯が長くなり歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなることも場合により起こってしまいます。痛い思いまでして得られるものが大きくない可能性があるのであれば、もっと楽にコントロールできる治療法が必要だと考えています。

それが3DS療法です。週に1度、4回ご来院して頂き、その都度歯周ポケットを中心にお口全体を抗菌薬で丁寧に洗浄と清掃をします。さらにその方専用のマウスピースを作製してその中に抗菌薬を入れて毎日就寝していただくだけの全く痛くない簡単な治療です。歯茎を切ったりしないので歯茎の形も変わらず、歯茎の膿や出血が驚くほど改善できます。

歯周病治療の流れ

STEP1:歯周病検査

パノラマレントゲン画像まず最初にレントゲン撮影、お口の中の写真撮影、かみ合わせ検査、歯周ポケット検査などで歯周病の程度を調べます。
全身的な病気の有無、普段の歯磨きなどの清掃方法や頻度、検査結果によっては食事内容などをお伺いすることもあります。

検査後に現状のご説明と歯周病を発症している場合は何が原因になっているかをご説明いたします。その後これからの歯周病治療についてご相談いたします。

STEP2:初期治療

デンタルケア用品歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスなどその方に合った道具のご案内や使い方、行う時間帯などその方の生活状況に合わせた歯とお口の清掃についてご提案します。

歯の表面にこびりついて歯ブラシでは取れない歯石を除去する治療を行います。
治療時間は1回30分程度で数回ご来院いただくことが多いのですが、歯石の状況は個人個人違うため多少の前後があります。

STEP3:中期治療

歯周病治療初期治療が終了した翌回に治療結果判定のための歯周ポケット検査を行い、さらなる治療が必要か否かを判断いたします。

初期治療で歯周病が改善していれば中期治療は省略しSTEP5メンテナンスに移ります。
改善の余地が残っている場合は改善場所に絞って歯の根の付近を重点的に再度の歯周病治療を行います。

治療後の翌回に再治療の結果判定のための歯周ポケット検査を行い、問題がなければSTEP5メンテナンスに移ります。

STEP4: 3DS療法

中期治療で改善が見られなかった場所は中度から重度の歯周病であり、歯周ポケットが深く、日常の歯ブラシなどでは管理が困難な状態です。このままではどんどん進行する恐れがありますので、お口の中の細菌の数を減らす必要があります。3DS療法の詳細は先ほどの「当院の歯周病治療の3つの特徴」をご覧ください。

STEP5: メンテナンス

歯の健康を維持し、再発を防止するためのお口全体のクリーニングです。
ご希望があれば実施する間隔や3つのコースをご相談し、その時期になりましたらこちらからご連絡を差し上げてご予約をお取りしております。まだ日本では予防は根付いてはいませんが定期的に行うと予防効果があることが世界中で実証されており、欧米では歯科医院へ行く目的の半数近くがメンテナンスになっています。

歯周病治療費

歯石除去

健康保険の適用(3割負担)で約870円です。通常2回程度のご来院ですが、歯石の状況によって数回のご来院になることもあります。この他に保険で初診料や再診料、歯周病検査などを別途ご負担いただくことになります。
SRP(歯石除去と歯の根の表面の歯石除去等)は歯の場所や本数単位の算定のため症例によって変わります。(保険適用)

3DS療法

専用マウスピース上下顎作製、1週間毎の洗浄と薬剤塗布、効果判定の歯周病検査など約1か月間の処置費用が34,340円(税込)です。治療前の歯周病検査は別途保険適用となります。

メンテナンス

メンテナンス種類 イージーメンテナンス レギュラーメンテナンス スーパーメンテナンス
治療時間 30分 60分 90分
費用(税込) 4,320円 8,640円 12,960円
クリーニング
PMTC(着色除去) ×
口の中の除菌 ×
対象者 ・軽度の歯周病の方

・歯磨きに自信がない方

などクリーニングだけご希望の方

・中度以上の歯周病の方

・お口の中の原因菌数を減らしたい方

・歯の着色を取りたい方

・レギュラーメンテナンスよりさらに徹底的にきれいにされたい方

※クリーニング:歯のプラーク除去です

 

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