歯周病とは?原因から危険性・歯磨き方法・メンテナンスまでを一挙解説!

歯周病イメージ

歯周病とは?原因から危険性・歯磨き方法・メンテナンスまでを一挙解説!

■歯周病とは?

歯周病は特定の細菌により引き起こされる炎症性の病気です。

歯と歯茎の境目に健康な状態で2mm程の歯周ポケットと呼ばれる溝がありますが、日常のお手入れが不十分になるとその溝に細菌が増殖してきます。その細菌の出す毒素と免疫の攻撃によりその場所が炎症状態になるため、歯茎が赤く腫れ出血が出てきます。ほとんど目で見えない細部で病気を起こそうとする細菌とそうはさせまいとする免疫の戦争が起こっているとお考え下さい。

この初期レベルではほとんど痛みはありませんが、さらに細菌側の攻勢が続くと組織の破壊が進んで歯周ポケットの深さが深くなり、歯周ポケットから膿が出たりものを噛むと違和感を感じるようになります。さらに炎症による組織破壊が進行すると歯を支える骨が溶けて歯を支えきれなくなるために歯がぐらつきものを噛むと痛みが出て、末期には歯が自然と抜けてきます。朝起きたら枕元に抜けた歯が転がっていた話をよく聞きます。

正確には歯周病検査で進行度合いを判断するものですが、受診前のおおよその傾向をつかむために健康度チェックをされてみてもいいかもしれません。

■歯周病の原因

人の快適な住環境と同じく、お口の中は体温という適度な温度に保たれ、食べかすという栄養があり、唾液という水分があるため、細菌にとっても快適な空間です。そのためおよそ300~500種類の細菌が住み着いていますが、普段の清掃や免疫が病気の発生を抑えています。

特定の細菌は自らを守るために水で流されないように粘ついた物質を作り出し歯や歯周ポケットの表面にくっつきます。これが歯垢(プラーク)と呼ばれるもので、1mg(1gの1000分の1)という微量の中に10億個の細菌が含まれており、粘着性が高くうがい程度ではとれないため歯ブラシなどで器械的に除去する必要があります。これが歯周病予防や治療に歯磨きなどの清掃を重視する理由です。

このプラークは24時間以内であれば歯ブラシなどで取り除くことができますが、それ以降は段々硬くなり石のようになって歯や根の表面に強固にこびりつくと歯石と呼ばれます。歯石は軽石のように無数の穴が開いており細菌の格好の住みかであり免疫などの外敵から身を守る砦でもあります。これが歯石除去が大切な理由です。

このように歯磨きなどの清掃が不十分になったり免疫の力が低下すると先ほどお話しした病気を抑えるバランスが崩れ、歯周病がどんどん進行していくことになります。

■歯周病の危険性

成人の歯を失う原因の80%にもなる歯周病ですが、重症化するまで症状があまりないことが特徴でまた怖い点です。軽度の炎症は簡単に治すことができますが、一度溶けた骨を元通りに回復するのは困難です。近年歯周病治療も進歩してきているとはいえ、末期では抜歯しか未だに治療法がない場合があります。大切なのは病気にかからない予防と、早期に発見して進行を止めることです。

歯を失うことによる食生活の質の低下だけでなく、近年歯周病と糖尿病の相互関連や、心臓・血管系疾患、呼吸器系疾患、消化器系疾患、低体重児出産・早産、骨粗しょう症などとの関連が判明してきています。噛むことと認知症との関連報告もありますから、一生自分の歯で噛むためには歯周病を避けて通れないのが現状です。

■歯みがきの必要性

歯みがきの最大の目的は細菌の塊である歯垢(プラーク)を除去することです。歯周病や虫歯の原因となるプラークは歯の表面にねっとりとこびりついて非常に厄介な代物です。水に溶けないためにうがいは無効で、またガムを噛んだり、りんごを食べても取れないため歯ブラシなどで取り除く必要があります。

虫歯は食後プラークの下の歯の表面が細菌の出す酸に侵されるために発生しますし、歯周病は歯と歯茎の境目のプラークに含まれる細菌が原因で発症します。歯を失くす最大の原因である虫歯と歯周病の共通点はプラークなのです。プラークになる前に細菌の餌となる食べかすを取り、細菌の塊であるプラークを取る歯みがきがとても重要なことがお分かりいただけたでしょうか。

■正しい歯みがきの方法

私がお勧めする方法は、奥歯と前歯の表側と裏側とかみ合わせの9ブロック(図参照)、上下お口全体で合計18ブロックに分けします。このブロックごとに順番に歯磨きをしていく方法です。やり残しや偏った歯磨きにならないように順番通りに行います。歯ブラシを歯1~2本ずつ5~10mm小刻みに動かし、この1ブロックを歯ブラシで20回往復して磨きます。歯ブラシを強く歯に当てると歯や歯茎が傷みますので毛先が広がらない程度(150~200g)の軽い力でみがいてください。歯ブラシを鉛筆を持つように握ると力のコントロールがしやすくなります。1つのブロックの歯みがきにかかる時間はだいたい15秒から20秒位ですから、お口全体の歯みがきに必要な時間は4~6分です。

■歯みがきをする際の注意ポイント

先ほどお話ししたようにプラークは時間の経過に伴って取れなくなってきますので、「食べたらみがく」ことがポイントです。また口の中の細菌と闘う免疫の中で重要なのが唾液です。唾液には汚れや細菌を洗い流す自浄作用と抗菌物質が含まれています。しかし寝ている間は唾液の分泌量が低下するため、細菌と闘う力が減少してしまいます。味方が弱くなるので敵も弱くする目的で「寝る前に歯をみがく」こともポイントです。食後の3回と就寝前の歯みがきをお勧めしますが、時間的に無理な場合は可能な食後と就寝前にされてみてはいかがでしょうか。

プラークは歯と同系色のため見た目だけではわからないため取り残しにご注意ください。みがき残しが多い場所は溝や凹みがあって歯ブラシが当たりづらい、歯のかみ合わせ、歯と歯の間、歯と歯茎の境目です。そのためこうした場所は虫歯や歯周病の発生頻度が飛びぬけて高いのです。プラークを染め出して簡単に発見できる薬剤もありますので、ご自分の歯みがきの癖を知るためにも一度お使いなられることをお勧めいたします。弱点がわかれば、発生頻度の高い場所やご自分の癖で取り残しの多い場所を重点的に清掃することができます。

■正しい歯ブラシの選び方

大きい歯ブラシの方が一度に広い面積をみがけて効率がいいように思えるかもしれませんが、狭い口の中で隅々まで動かすためには大きいサイズは不向きです。歯ブラシの適正な大きさは成人で2cm位、口の小さい女性や子供ではそれ以下のものをお選びになるといいでしょう。

また毛の材質は衛生上動物の毛よりナイロン製がお勧めです。硬いブラシの毛は歯や歯肉を傷つけやすいので、一般的には「ふつう」を選んでください。また値段の高い歯ブラシの方がよく磨けそうですが値段は関係ありません。

毛先の開いた歯ブラシよく毛先が花びらのように広がっている歯ブラシを後生大事に使っている人がいらっしゃいますが、それでは効率が悪いだけでなく歯肉を傷つける可能性があります。歯ブラシを裏返して背中(柄のほう)から見て、柄の陰にブラシ隠れず見えるようならブラシの毛先が開いているため交換時期です。1ヵ月経たずに毛先が開く方は力を入れ過ぎです。

また見た目にはまだきれいでも雑菌が繁殖することとブラシの弾力がなくなるため、あなたに合ったものを毎月取り替えることをお勧めいたします。ご自分に合った歯ブラシがご不明な場合は、歯並びや歯の状態に合わせて歯科衛生士があなたのマイブラシをご提案いたします。

「歯周病の治し方」

■基本治療の方法

歯周病検査によって問題点や歯周病の進行度合いを把握し、原因を含めたご説明をいたします。その後治療計画の作成を行い、初期治療(基本治療)に入っていきます。根本原因であるプラークの治療サイドによる除去と同時に患者様サイドの日常のお手入れでプラークがつきにくくする二人三脚が基本です。

歯と歯茎の清掃道具や方法のご説明、歯石の除去、歯の根の表面のクリーニングと滑沢化を行い、かみ合わせの問題点が原因の場合にはかみ合わせ調整をご提案いたします。

詳しくは「歯周病治療の流れ」をご覧ください。

■歯周外科治療について

初期治療(基本治療)、中期治療を行って歯周ポケットの改善が見られなかった場合に一般的に歯周外科と呼ばれる歯茎の手術が行われています。歯周病で溶けてなくなった骨の回復手術GBRもこれに含まれます。しかし歯周外科で完全に元通りに回復することは困難な上に治療結果に大きなばらつきがあることと、再発リスクが低くないこと、痛みを伴う外科をできるだけ避けたい考えから当院では歯周外科よりも3DS療法で改善した状態をメンテナンスで維持していく方法をお勧めしております。リスクのある歯周外科手術で治そうとするのではなく、痛みがなく簡単な治療法で継続的にコントロールしていこうという考え方です。

■歯周病ケア・ケア用品

「歯ブラシ」は先ほどお話ししましたのでその他のケア用品についてご説明いたします。

「歯みがき剤」

巷に薬効をうたったたくさんの歯みがき剤が出回っていますが、私は補助的に捉えておりあまり重要視していません。それで治るなら苦労しないからです。それよりは歯ブラシの毛先を確実に歯に当ててプラークを取り残ししない歯みがきが重要だと考えています。

歯みがき剤にミントなど香料が添加されている商品がありますが、実際は磨けていないのにスッキリとして磨いた気分になり、後の味覚の問題もあってあまり賛成しません。しかしフッ素が配合してあるものは虫歯の抑制効果が期待できます。

また茶渋などの色素除去のために研摩剤、汚れ落ち効果向上のために界面活性剤などが添加されています。多量に研摩剤が入っている場合には歯の表面を削りすり減らすリスクがあるためご注意ください。界面活性剤が入っていない石鹸歯みがき剤も市販されています。歯みがき剤の量は5mm程度で十分です。台所洗剤を多量に使ったから余計に汚れが落ちる訳でないのと同じですから、企業のテレビコマーシャルに惑わされないでください。

「歯と歯の間のケア用品」

歯ブラシの毛先は歯と歯の間には入っていかないため60%しか清掃できません。残りの40%を担うのが糸ようじやデンタルフロス、それに歯間ブラシです。歯と歯の間は虫歯や歯周病がよく発生する場所です。欧米では以前から歯ブラシと同じ頻度で使われていますが、やっと近年日本でも使われるようになってきました。

歯間ブラシとフロスや糸ようじとの違いをご存知でしょうか。歯間ブラシは歯と歯がピッタリくっついた場所には入れられないのでそこはフロスや糸ようじの出番です。歯に沿わせて動かして使いますが、乱暴にするとゆで卵を糸で切るように歯茎を傷つけてしまいますのでご注意ください。

一方で歯間ブラシは歯と歯の間にある歯肉が痩せてきた場合に歯と歯の間に通して掃除し適度なマッサージ効果がある道具です。しかし歯間ブラシは歯茎の痩せた人だけのもので、歯茎の健康な人が無理に入れると歯茎が痩せてしまいますのでご注意ください。

健康で快適な歯と歯茎を維持するために、適材適所の道具を上手に使いこなしていただきたいと思います。

■歯科検診とメンテナンス

健康で楽しい食生活を長く維持していくために当院では定期歯科検診とメンテナンスをお勧めしております。治療で機能回復できても病気の前にリセットすることは残念ながらできません。治療を重ねるたびに歯や歯茎に傷がついてしまいます。大掛かりな治療ならなおさらです。そのために病気を早期発見して最小限の治療ですませる目的で定期歯科検診が大切です。さらにもっといいのが病気そのものにならないことです。メンテナンスで普段行き届かないクリーニングをお受けになられて病気とは無縁の日々をお送りいただければと思います。

こうした当院の取組みの詳細は「歯科検診とメンテナンス」をご覧ください。

■終わりに

多くの方々が歯周病で歯を失っている現状ですが、歯周病は現在不治の病ではなくなりつつあります。歯を失くされた方はご理解いただけると思いますが、歯の存在は食べる楽しみだけでなく活動力や精神面にも関わってきます。

体の老化を止められないのと同じく、お口の中も年々変化していきます。しかしそのスピードをコントロールすることはできます。今だけでなくこれから先もお考えになられ、私たちと一緒に歯と上手にお付き合いし続けていただきたいたいと思います。

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