60代女性「銀歯のブリッジの歯が痛くて噛めない。他院で抜歯と言われてセカンドオピニオン希望」抜歯後にブリッジをやめてインプラントとジルコニアを入れた症例

2023.10.06

治療前

 

治療前治療前レントゲン

治療中(人工歯の作製・ネジ止め部分)

 

模型

治療後

 

治療後治療後レントゲン

治療8年後

 

8年後8年後レントゲン

 

年齢と性別 60代・女性
ご相談内容 右下奥から2番目の歯(右下7番)の痛みがあり他院で抜歯と言われたため、セカンドオピニオンで来院されました。(治療前写真)
カウンセリング・診断結果 レントゲンからは根の周囲に黒く写っている感染による病巣が見られ、一部歯も割れている可能性がありました。
このまま放置すると症状は悪化するばかりであり、また残念ながら病状から治療で残すことは困難であり他院同様抜歯が適当だと判断しました。(治療前レントゲン)
行ったご提案・治療内容 手前の歯をすでに失っておられるためこの歯も失うと親知らずを除いて大きな奥歯が右下になくなり咀嚼が困難になることが容易に予想されます。歯をなくした後の選択肢は大きく分けて3通りあります。
第一は今までと同様にブリッジにする方法です。構造上可能ではありますが、今までの1本なくしたブリッジより2本なくしたブリッジは支える歯に大きな負担を強いることになりますので、今回と同じ結果になる懸念があります。
第二はなくした2本の入れ歯を入れる方法です。一番簡単な治療で済みますが、ブリッジほどではないものの両隣の歯には負担がかかることと、異物感があり噛めば入れ歯が沈み込むため噛む能力が劣り、食べものがつまりやすい問題があります。
第三はインプラントを2本入れる方法です。他の選択肢のように他の歯に負担をかけないため、他の歯の延命に貢献します。また入れ歯の異物感やブリッジで他の歯を削る必要がなくなります。噛む能力も最も優れており、なくした歯と同等の能力が期待できます。日常臨床で神経を取った歯で支えるブリッジ(特に銀歯ブリッジ)に同様の現象を時折目にします。手前の歯がすでに神経がないため、2本のブリッジはさらに条件が不利になることからブリッジはご希望になられませんでした。また入れ歯は使用感の問題から敬遠されたため、インプラントを選択されました。ブリッジを切断して歯をお抜きした後骨の回復を4か月待ち、インプラントの可否とインプラントを行う場合に最も適した位置と角度を得るためのCT検査を行いました。
検査結果に基づきインプラント手術を行い、5か月後にインプラントの上に仮の土台と仮の歯を装着して咀嚼だけでなく日常の問題がないかを確認しました。問題がなかったため、歯型を取り最終的なジルコニアをネジ止めして治療は終了になりました。(治療後の写真)
治療期間 抜歯から13か月
治療回数
費用目安 949,520円(インプラント・骨造り・仮歯を含めて2本で)
術後の経過・現在の様子 抜歯後は骨の回復を優先したため、仮の入れ歯などを入れて咀嚼を助けることをご相談の上行いませんでした。入れ歯で噛むとその下の骨の回復が弱くなることがあるためです。
その噛めない期間をご経験されたため、インプラントで以前と同じように噛めることのありがたさはひとしおだったと思います。この状態を維持し快適な食生活をお送りいただくため、定期検診とメンテナンスで維持しておられます。
治療のリスクについて ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
クリニックより 治療終了後8年が経過していますが治療当時からの変化は見られず、噛むことや日常生活上の問題もなく日々の食生活を支え続けています。
インプラントと土台はネジ止めされており(治療中のネジ止め写真)、またこの症例では人工歯もネジ止めされています。インプラントには咀嚼などで力がかかるため、身の回りの機械類と同様に経年的にネジが緩むことがあります。緩んだ場合に再度ネジを締める必要があるため人工歯を外せる形になっています。
このネジの緩みを定期的に確認することが必要なため、感染予防やトラブル防止と共に定期的歯科検診とメンテナンスが大切になってきます。

ジルコニアなど詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
インプラントとは
インプラントの種類
インプラント治療を受けられない人
骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
インプラントと天然歯の違い
骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク