50代男性「上顎前歯に痛みがある」根の治療後にセラミックで治療した症例

2023.09.03

治療前

治療前治療前レントゲン

 

治療中(根の治療後)

根充

 

治療後

治療後

 

治療9年後

9年後9年後レントゲン

 

年齢と性別 50代・男性
ご相談内容 右上前歯(右上2番)に2日前から異和感があり、現在は何もしていなくても痛みがあるとお見えになられました。
歯茎を触ると痛みもありました。正面写真の少し茶色がかった天然の歯の向かって1本左側の歯(白い差し歯)です。
カウンセリング・診断結果 外傷の記憶がなく、レントゲンから右上の前から2番目の歯の根の先に黒く写る病巣が確認できました。他院で以前に根の治療(根管治療)を受けておられ、治療は根の先まで白く写る薬剤が入っているため根の治療自体には大きな問題は見られません。何らかの事情での再感染・再発が考えられました。 (治療前レントゲン写真)
行ったご提案・治療内容 その歯に被せてある人工歯を外し、再度根の治療(根管治療)をお勧めしました。当初は根の治療に専念し、治療終盤に被せ直す治療法の選択肢を2通りお話ししました。保険治療の銀歯の上にプラスチックを貼り付けた人工歯と自費治療のセラミック人工歯です。

前歯で人目に触れる場所であるため、きれいな状態が長続きするセラミックをご希望されました。

歯質がある程度残っていたため、治療中歯がないことを防ぐため仮の歯を入れて外見の問題を最小限にしながら根管治療を行いました。当初は痛みを減少させる薬剤、痛みが減少した時点で根の中の細菌を除菌する薬剤に変え、症状が消えた時点で再感染防止のために根の中をゴム質薬剤で緊密に封鎖しました。(治療中レントゲン写真)
経過観察期間を設け、継続して症状が治まったことを確認後に歯の補強のため根の中にグラスファイバー製土台を入れてその上から仮の歯を装着しました。

根の治療後に歯の補強目的で以前は金属性の土台が使われていました。金属は強いため補強にはなるのですが、噛むことなど外力が加わった時に金属より弱い歯質の方が割れたりヒビがはいり歯を失うケースに時折出会います。そのため当院では歯と同様にしなり歯を割りにくいグラスファイバー製土台をお勧めしています。

その状態で日常生活を行っていただき、咀嚼や外見等の問題が見られなかったため、最終的なセラミック(カタナ)を接着して治療がすべて終わりました。(治療後の写真)

治療期間 約1か月
治療回数
費用目安 160,600円(仮歯とグラスファイバー製土台を含めて)
術後の経過・現在の様子 痛みから解放され元の歯に戻ったとお喜びいただけました。9年間定期的歯科検診とメンテナンスにお通いになられて治療後のいい状態を維持されていらっしゃいます。
治療のリスクについて ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 治療後9年が経過していますが、治療前にレントゲンに写っていた黒い病巣は根管治療によりすっかりなくなり、現在も再発は見られていません。根管治療は歯の内部の治療です。変化や治療自体が見えないため患者さんだけでなく医療人からも治療自体への評価が低いのが現状です。
しかしいくらきれいなセラミックが入っていても歯自体の問題が出れば壊して再治療になります。根管治療はすべての治療の基礎なのです。砂上の楼閣にならないようお互いに時間と手間を惜しむべきではないと考えています。

詳細は下記をご覧ください。
セラミック(カタナ)など詰め物・被せ物の種類や特徴
根の治療(根管治療)の詳細