80代男性「銀歯周囲の虫歯が多いので銀歯をやりかえたい」銀歯をジルコニアと金合金に入れ替えた症例

2023.09.16

治療前

奥様のご紹介で年齢的に通院できる内に虫歯治療をしておきたいとお見えになられた80代の方です。

一見大きな虫歯はないように見えますが、重症の歯周病箇所や虫歯が多数見つかりました。

日頃のケアの問題点を話しながらこの方に合った歯磨きの方法などをお話しさせていただきました。また最小限の治療を考えながらも、ご来院目的の現在の歯を守るための治療箇所や治療法などをご相談しました。

治療中

右上7番は重度の歯周病のため歯を支えている骨をかなり失っておられ、残念ながら保存が不可能な状態でした。

右下奥歯に入っている銀歯と歯の境目に黒く写る隙間があります。銀歯が不適合で現在虫歯になっているかこれから先に虫歯になるか、どちらにしても放置することは得策ではありません。他の銀歯も大同小異でした。ご来院の目的からするとこうした問題点は今回の治療で失くしておく必要があります。

治療後

治療後の上顎の画像です。右上7番がない状態でも最小限の咀嚼は可能であるため、医療介入を最小限に済ませるため抜歯したままにすることになりました。左上2番も同様です。虫歯治療後は見た目より耐久性と虫歯予防の観点からご相談の上金合金の詰め物が入っています。

治療後の下顎です。手前の奥歯(小臼歯)は白いジルコニア、奥歯は金合金の治療です。

歯の治療がきっかけになり、歯と食べることに関心が出て来られたと奥様から伺いました。思わぬ副産物にご家族と私たちスタッフ一同喜んでいます。

年代と性別 80代・男性
はじめのご相談内容 以前治療した銀歯の周囲に虫歯が多数見つかったため、年齢的に通院ができる今しっかり治療しておきたいご希望でした。
診断結果 お口を拝見すると銀歯周囲や歯ブラシが届きづらい場所など虫歯が多数ありました。また右上7番は重度の歯周病で歯を支える骨がかなり溶けてなくなっており、ぐらつきも顕著でしたので保存は不可能と判断しました。(治療中右上レントゲン写真)
右上奥歯(右上6番)左上奥歯(左上6・7番)左下奥歯(左下4・5・6番)右下奥歯(右下4・5・6番)にかなり以前に治療された銀歯やプラスチックが入っていましたが、レントゲン写真から銀歯と歯の間に黒く写る隙間があることが判明しました。(治療中右下レントゲン写真)
隙間があれば細菌の繁殖を招き虫歯になっているか、またはこれから先に虫歯になるか、どちらにしても得なことではありあません。また左下奥歯(左下7番)のハブラシが届きづらい頬側から後方にかけて大きく広い虫歯がありました。多数の虫歯があるものの、今なら神経にまで進行しておらず、早めに治療をするメリットが高いと判断しました。
行った治療内容 残念ながらお出会いするのが遅く助けることのできない右上7番を抜歯し、理想は入れ歯かインプラントによる機能回復ですが、ご年齢とこの歯がなくても食生活の影響は大きくないと考え、抜歯後は何も入れずそのままの状態にしておくことをご提案しました。
右上奥歯(右上6番)左上奥歯(左上6・7番)左下奥歯(左下4・5・6・7番)右下奥歯(右下4・5・6番)の詰め物を入れ替えることを後提案しました。

それぞれの歯の治療法選択肢のご説明を、例えば左下7番の虫歯除去後の詰め物には現在と同じ保険の銀歯、金合金、ジルコニア、セラミックがあり、プラスチックは詰める場所の噛む範囲が比較的広いため強度的に不足であることをご説明しました。
銀歯と歯の境目の隙間ができる理由は、治療の精度が劣るためです。その理由をお話ししたところ、今回の治療目的が将来の不安をできる限り取り除くことですので不安のある箇所全ての治療をお望みでした。最も治療精度が高い金合金をご希望されましたが、奥様のアドバイスもあり目立つ一部の歯(下顎小臼歯)は色調が白いジルコニアを選択されました。

噛み合わせの狂いが見られなかったことと、治療中の食生活を考慮して治療予定全ての歯を仮歯にする治療法ではなく上下左右4ブロックに分けた治療法を採用しました。
詰め物を外し、歯型を取り、仮歯をお入れして当日の治療を終え、その次のご予約時に金合金やジルコニアを接着してその部分の治療が終了することを上下左右4回行いました。(治療後の写真)
このケースのおおよその治療期間 約1年
おおよその費用 1,175,540円(仮歯を含む12本)
現在の様子 治療後も食生活や日常の問題はみられず、これで今後も安心して食べられるとお喜びいただけました。
治療のリスク ・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
クリニックより 以前からお越しであった奥様のご紹介で初めてお見えになられた方でした。奥様のおっしゃるには近頃食事に興味がなくなりご主人の健康が心配であったそうです。食事の作り甲斐もないし、自分の足で治療に通える内にしっかり治療しておきたいとのお話でした。

自分の両親を見ていても老いは色々な形で訪れてきます。通院に期間がかかる歯科治療を足腰に不安がない時代に受けておかれることや、万が一通院がかなわなくなった事態が起きた時にできるだけ歯科治療を避けるためにも今回治療することは有効だと考え、僭越ではありましたが今回多数の治療をご提案させていただきました。
治療後は歯を悪くしたくないとのご希望でメンテナンス(クリーニング)にお越しいただいています。奥様のお話では治療後は食べることに興味が出てこられたそうで、期間はかかりましたが噛めることが維持できただけでなく思わぬ副産物に皆で喜んでいます。

詰め物・被せ物の種類