30代男性「歯が悪く食事中にどこで噛めるかいつも考えている」抜歯後にインプラントを入れた症例

2023.10.04

治療前

治療前治療前F

治療前レントゲン

治療中(インプラントCTシミュレーション)

CT画像

治療中(インプラント手術後)

治療中レントゲン

治療後

治療後治療後F

治療後レントゲン

 

年齢と性別 30代・男性
ご相談内容 「歯が悪く何とかしたい。どこで噛むか考えながら食事をしている状態なのでこの際しっかり治したい」とご希望されて来院されました。歯科治療が苦手で治療を先延ばしにされてこられたご様子でした。
カウンセリング・診断結果 噛める日常を回復するには奥歯が必要です。右上奥歯2本(右上5番・6番)は歯が虫歯でほとんど残っておらず助けることはできない状態ですので抜歯して何らかの人工歯を入れて噛める機能回復を行う必要があると判断しました。
また右上の親知らず(右上8番)は手前の歯に食い込む形で生えており食べ物がつまりやすいため手前の7番に虫歯ができやすい状態でした。右上の噛める奥歯は右上7番だけですので、何としてもこの歯は守らなくてはなりません。その観点からすると歯を悪くする可能性があり、下の歯と噛み合っていないこの親知らずを抜歯して7番を守るのが妥当だと考えました。(治療前写真とレントゲン)
行ったご提案・治療内容 右上の親知らずと助けることのできない奥歯(右上5番・6番・8番)を抜歯し、右上5番・6番部分に入れ歯、ブリッジ、インプラントのいずれかを入れて咀嚼できる状態にすることをご提案し、それぞれの特徴をご説明しました。
・入れ歯は外して歯磨きができるなど簡便ではありますが使用感に劣る面があること
・ブリッジは異物感がなくよく噛めますが、失くした歯の前後の歯を削る必要があることと噛む力を失くした歯の分までその前後の歯だけで支える構造のため支える歯が弱くなる傾向にあること
・インプラントは最もよく噛めることと、前後の歯を削る必要がなく前後の歯に負担をかけないためその歯には有利に働く反面、費用が最も高額になること
(このケースでは前後の歯の虫歯治療のため歯を削らざると得ないため、ブリッジで歯を削るデメリットはありません)まだ30代とお若くこれからの人生が長いため他の歯の負担になる治療は避けたいことと、ここまで虫歯を放置した反省から今できることをできるだけ行いたいとのご希望があり、ご相談の上失う右上5番・6番の代わりにインプラントを1本お入れしその上にジルコニアの被せものを入れて右上で噛める環境を作りたいとのお考えでした。また前後の歯(右上7番・右上4番)の虫歯も治療しジルコニアで機能回復することをご希望されました。治療計画をご説明しご了承されたので、2本の抜歯(右上5番・6番)と右上7番・4番の虫歯治療を行い仮の歯をお入れしました。その後インプラントの可否、骨の状態や隣の歯と噛みあう歯との調和を考慮してインプラントをどの位置でどの角度に入れるのが最も有利なのかをCT画像を使ってパソコン上でシミュレーションしました。
抜歯から11か月(通常は3ヶ月程度)骨の回復を待ち治療計画に基づいてインプラント手術を行い、さらに5か月(通常は2ヶ月程度)インプラントと骨がくっつくのを待ちました。どちらの期間も他の歯の治療と並行したため通常より長くなりました。この期間中に右上8番の親知らずを抜歯しました。
その後歯茎の下にもぐっているインプラントに土台をネジ止めするための2次手術を行いました。歯茎の傷が治るのを待って土台の上に仮の歯を装着しました。仮の歯を装着した状態で隣の歯や噛みあう歯、左側の歯などお口全体の噛み合わせを修正し、その新たな噛み合わせを実際に日常生活で使うことで患者さんと歯科医双方で確認をしました。
問題がなかったため歯型をお取りし、できあがった最終的な被せもの(ジルコニア)を歯には接着、インプラントにはネジ止めして治療が終了しました。(治療後の写真)
治療期間 約2年(通常は半年程度、多数の歯の治療と並行した治療のため)
治療回数
費用目安 547,480円(インプラント1本、被せもの3本と仮歯を含んで)
術後の経過・現在の様子 噛む場所を考えながら食事をされておられたのが、治療後はよく噛めなかった右側でも噛めるようになり、食生活や日常の問題はみられません。
現在は定期検診とメンテナンスで維持しておられます。
治療のリスクについて ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
クリニックより インプラントには入れ歯やブリッジにないメリットがあります。よく噛めることや異物感のないこと、他の歯に負担をかけないことなど優れた面がありますが、ご自身にとって最高のものはご自身の歯です。歯の代用品ともいえるインプラントを長持ちさせることは残ったご自身の歯の延命につながります。
今後は定期健診とメンテナンスで年に4回お会いさせていただきこの幸せを一緒に維持していくことに同意いただけています。

ジルコニアなど詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
インプラントとは
インプラントの種類
インプラント治療を受けられない人
骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
インプラントと天然歯の違い
骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク