30代男性「虫歯で歯がボロボロになり、よく噛めない」抜歯後にインプラントとジルコニアで噛める食生活を取り戻された症例
2023.10.25
治療前
抜歯後レントゲン
インプラントCTシミュレーション
インプラント手術後
治療後
年齢と性別 | 30代・男性 |
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ご相談内容 | 虫歯で歯がボロボロになり、よく噛めない。これから先の食生活に不安があるとご相談を受けました。 |
カウンセリング・診断結果 | お口を拝見すると、左下6番は虫歯がかなり進行して根の部分しか残っていません。また左下8番が斜めに生えて手前の7番に当たっており、7番の後ろ側に進行した虫歯があることがレントゲンから読み取れます。左側での咀嚼機能を改善するためには、6番の場所に何らかの人工の歯を入れ、7番が虫歯になった原因である8番を抜歯して7番の虫歯治療をする必要があると判断しました。(治療前写真とレントゲン) |
行ったご提案・治療内容 | 左下6番8番の抜歯と7番の虫歯治療と並行して、失う左下6番の代わりに噛む機能回復のために入れ歯、ブリッジ、インプラントの選択肢のご提示とそれぞれの特徴やメリット・デメリットをご説明しました。
ご本人はまだ若いので入れ歯は避けたいこと、失う6番にかかる噛む力を長い年月手前の5番と奥の7番に肩代わりさせることによる歯への負担を嫌われて左下6番の代わりにインプラントをお入れになられたいご希望がありました。さらに目立つ銀歯は避けて白い歯にしたいが費用もできるだけ抑えたいとのお考えでした。 最初に左下6番・8番を抜歯し、左下7番の虫歯治療(神経まで感染を起こしていたため根管治療)を行いました。骨の回復を待つため左下6番抜歯後10か月(通常は3か月程度、他の歯の治療と並行したため通常より遅くなりました)経過した時点でCT撮影を行いました。CT画像でインプラントが可能であることが判明したため、実際にどの位置でどの角度にどんなインプラントを入れるのが最も有利なのかを、隣の歯や噛みあう歯など全体的な観点から手術計画を立て(インプラントCTシミュレーション画像)、手術を行いました。術中にもCT撮影を行って進行状況を確認するなど慎重に安全な治療に留意しました。(インプラント手術後レントゲン) インプラント手術から5か月経過した時点でインプラントの上に土台をネジ止めするための2次手術を行い、傷の回復を待って仮の歯を土台の上に装着しました。 |
治療期間 | 約1年半(他の歯の治療と並行したため) |
治療回数 | |
費用目安 | 517,750円(インプラント1本、被せもの3本とグラスファイバー製土台1本、仮歯3本を含んで) |
術後の経過・現在の様子 | 片側でしかものが噛めないことだけでなく、いつも歯が悪いと感じている気持ちは精神衛生上もよくありません。食事が楽しくなくなるからです。 治療後は左右両方で自由に食べられるようになり、食生活や日常の問題はみられません。 現在は歯を悪くしたまま放置してしまった経験から、定期検診とメンテナンスで維持されていらっしゃいます。 |
治療のリスクについて | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。 ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。 ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります |
クリニックより | インプラントは人工的なものの中では最も天然の歯に近い存在です。骨の中に植わってびくともせずよく噛めて異物感もないため、中には「自分の歯が蘇った」と感想を頂いたこともあります。しかし私は天然の歯には及ばないものだと考えています。 しかし残った歯の寿命の延長には確実に有利に働きます。特にこのケースのように年齢が若い方にとっては将来が長い分長期に渡る他の歯の負担を無視することは得策ではないと考えています。 この噛める状態を長続きさせるためには、日々の歯磨きと定期的歯科健診、メンテナンスが鍵を握っていますので、やりっぱなしにせず時折歯とインプラントを里帰りさせていただきたいと最後にお話ししました。 |
ジルコニアなど詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
・インプラントとは
・インプラントの種類
・インプラント治療を受けられない人
・骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
・インプラントと天然歯の違い
・骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク