80代男性「奥歯にものが詰まりやすく歯が浮いた感じがする」親知らずを抜歯して虫歯を治療した症例

2024.08.12

治療前

奥歯にものがつまりやすい状態である上に、画面左端の一番奥の親知らずまで歯ブラシが届いておらず汚れが残ったままになっています。

親知らずが斜めに生えているため食べ物がつまりやすいため、手前の歯に黒く写っている虫歯ができています。これらが症状の原因であることがわかります。

治療後

親知らずの抜歯と手前の歯の治療後1年の状態です。

親知らずの抜歯から1年後のレントゲンでは、親知らずが植わっていた部分の骨はきれいに回復しています。

年代と性別 80代・男性
はじめのご相談内容 右下親知らずと手前の奥歯間(右下7番と8番の間)にものが詰まりやすく歯が浮いた感じがするとご相談を受けました。
診断結果 お口を拝見すると右下7番までは歯ブラシが届いているようですが、一番奥の親知らず(右下8番)にはかなり汚れが残っています。親知らず(右下8番)まで衛生的に管理されることが難しいことが想像されました。(治療前画像1)
また右下8番(親知らず)が手前の7番につっかかる状態で斜めに生えていました。レントゲンから7番の後ろ側に虫歯があり、その虫歯で空いた穴に8番が入り込んでいるのがわかりました。(治療前画像2)
このまま放置すれば歯ブラシやフロスが届かない7・8番の間の虫歯は進行するだけですので、8番を抜歯して虫歯治療と共に磨ける環境を作る必要があると判断しました。

治療して残しても噛み合う右上8番はすでになくされており、噛める歯にはなりません。さらに最も奥の歯磨きがし辛い部分を残すことがご年齢から申して今後の衛生管理上有利な面がないと考えたからです。
行った治療内容 これらの現状のご説明とこれから先の衛生管理の観点のご説明をご理解いただき賛同が得られましたので8番(親知らず)をお抜きして7番の虫歯治療を行うことになりました。

7番の虫歯治療の選択肢として、保険のプラスチックや銀歯、金合金、ジルコニア、セラミックのご紹介を致しました。その結果外見より治療精度が高く虫歯に抵抗できる、また耐久性がある金合金をご希望されました。

8番(親知らず)の抜歯に先立って根の先が下歯槽管(太い神経と血管が入っている骨の中の管)に近接していたため安全を考えてCTを撮影しました。CT画像でも診断は同じであったため、安全を考慮して大学病院の口腔外科をご紹介し、抜歯をお受けになられました。

抜歯した傷が治るのを待ち、抜歯から約1ヶ月後に7番の虫歯除去と同時に歯型をお取りし仮の歯をお入れしました。次のご予約時に金合金の詰め物を歯に接着して治療が終了しました。
この治療の後他の歯の虫歯治療も行いました。(治療後画像1)
このケースのおおよその治療期間  約1ヶ月半
おおよその費用 103,340円(仮歯を含む)
現在の様子 この7番の治療後手前の4・5・6番も治療を行いました。
治療後には当初の食べ物の詰まりや歯が浮いた感じは消失し食生活や日常の問題はみられていません。
治療1年後のレントゲン(治療後画像2)ではお抜きになられた8番(親知らず)が植わっていた部分の骨はきれいに回復しています。
治療のリスク ・外科処置後に腫れ、出血が続く場合ががあります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを服用する必要があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 親知らず(8番)が正常に真っすぐに生えないケースが散見されます。日本人のあごの骨が小さく最後に生えてくる親知らず(8番)が正常に生えるスペースが少ないことが原因だと考えられています。
正常に生えなければ形態的にものが詰まりやすく、虫歯がよく発生します。歯周病にも不利なため、食べ物が詰まる場所は楊枝やフロスで取ればいいと安易にお考えにならず治療で詰まらないようにされておかれることをお勧めいたします。今回のように手前の7番が虫歯になっていなければ8番の抜歯や治療で解決することがありますのでご相談ください。

詳細は下記をご覧ください。
親知らずの抜歯
金合金など詰め物・被せ物の種類や特徴