40代女性、根の治療をやり直してセラミックを被せた症例

2024.07.15

治療前

定期歯科検診の際に右下第二小臼歯(右下5番・奥から3番目の歯)の根の治療が不十分であるため再発リスクがあることをご説明しました。

治療前のレントゲンでは根の先から根の内部には白く写っておらず、治療が不完全であることが読み取れます。

治療中

被せ物と金属製の土台を外し、根管治療中のレントゲンです。

根管治療が終わり根管充填(再感染予防のため根の中の管をゴム質材料で封鎖する)を終えた時点のレントゲンです。

治療後

セラミックの被せ物(セルコン)が入り、治療が終了した状態です。

治療終了後のレントゲンです。

その他

治療から3年が経過した状態です。

年代と性別 40代・女性
はじめのご相談内容 定期歯科検診の際に右下第二小臼歯(右下5番)の根の治療が不十分であるため再発リスクがあることをご説明しました。
診断結果 神経が感染を起こした場合に根の中を除菌治療する根管治療の後に、根管充填と呼ばれる元神経が入っていた歯の中の管をゴム質の材料で緊密に詰めて再感染を防ぐ治療があります。きれいに治療ができると根の先から歯の内部全体に白く写る根管充填がなされているレントゲン画像になります。
ところが今回の治療前のレントゲンでは根の先から根の内部には白く写っておらず、治療が不完全であることが読み取れます。また元神経があった根の中に白く細長く写っている補強のため金属製土台が入っており、金属は歯より硬い材質であるため強い力が歯にかかった際に歯が割れたり折れるリスクもあります。
現在歯の痛みなどの症状はありませんが、歯の先々を考えるとまだトラブルを起こしていない今だからこそ根の中の治療を再治療し、歯を割れにくくする効果のあるグラスファイバー製の土台で補強するメリットは高いと判断しました。

行った治療内容 現状をご理解いただけ、少しでも歯のリスクを減らして歯の寿命をできるだけ長くされたいご希望がありました。そのため残念ながら入っていたセラミックの被せ物を除去し、歯の内部に入っていた金属性の土台も取り除き、根の中の治療(根管治療)を行いました。根の中の治療には1週間に1回の来院で4回を要しました。
その後の治療の選択肢をご説明したところ、歯の補強のためのグラスファイバー製土台とセラミックの被せ物(セルコン)をご希望されました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約2か月、7回
おおよその費用 177,380円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む1本)
現在の様子 治療後も食生活や日常の問題はみられず、レントゲンでも歯の内部と根に先まで白く写るゴム質で封鎖されています。
治療のリスク ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 歯の神経を取り除くと歯は血流を失い乾燥してもろく弱くなるため、歯や根が割れたりヒビが入るケースが散見されます。元々の歯に戻せはしませんが、少しでも近づけるために土台は歯と一緒になってしなる適度の柔軟性があるグラスファイバー製土台が最も適していると考えています。
また歯に加わった衝撃が被せ物を介して根に伝わるため、被せ物の強度が高すぎると歯質や根が割れるリスクが高くなります。その意味で銀歯は硬すぎると考えています。