30代女性「親知らずがズキズキ痛み、喉まで痛い」消炎後抜歯をした症例

2024.10.14

治療前

「親知らずがズキズキ痛み、喉まで痛い」とお見えになられました。拝見すると最も奥の歯である左下親知らず(左下8番)の奥の歯茎が赤みを帯びており、智歯周囲炎と判断しました。

レントゲンでは親知らずは後ろ斜め方向に生えており、歯と骨の異常が見られないため歯茎の炎症だけであることがわかります。歯ブラシが当たらなくて不潔になり炎症(智歯周囲炎)を起こしたものと思われました。

治療後

親知らずの抜歯治療から7年後の画像です。手前の歯との高さの違いがある(親知らずがちゃんと生えていない)場合には親知らずと手前の歯の間に食べ物が詰まり虫歯になるケースが多いのですが、このケースでは虫歯はなく抜歯しただけですみました。

親知らずが植わっていた部分の骨の穴はきれいに回復してふさがっており、手前の歯にも問題は見られません。奥から2番目の被せ物が入った左下6番の根の治療と土台に不安があることをご説明してあります。

年代と性別 30代・女性
はじめのご相談内容 5日前から左下の親知らず(左下8番)がズキズキ痛み、喉まで痛いとお見えになられました。
診断結果 拝見すると左下親知らずの周囲の歯茎に炎症が見られ、親知らず周囲の歯茎の炎症である智歯周囲炎を起こしていると判断しました。
行った治療内容 智歯周囲炎を起こす原因は親知らずの生え方が悪い場合や、歯磨きが親知らずまで届いておらず清掃が不十分になる場合、体調などがあります。
清掃を十分に行うことと、体に無理をせず栄養摂取と休息や睡眠を十分とることをお話ししました。同時に抗生物質と消炎鎮痛薬を処方し、親知らず周囲の洗浄と局部への薬の貼付を行いました。
上顎に親知らずがないことから咀嚼には関係しないこと、親知らずが最も奥でありさらに頬側にずれて生えているため日常的に清掃が不十分になりやすいことから、抜歯をご提案しました。
提案へのご理解と同意が得られましたので後日抜歯を行い傷口を縫い、当日の治療は終了しました。
翌日、3日後に消毒、1週間後に縫った糸を取り消毒を行い、その後は経過観察としました。
このケースのおおよその治療期間 4回
おおよその費用 保険の一部負担金
現在の様子 治療後ほとんどお痛みはなく、また腫れ、発熱などの症状はありませんでした。その軽い痛みも数日で治まりました。
糸を取る1週間後にはほとんど気にならない程度になりました。
術後1週間は反対側での咀嚼を行って術部に気を付けていただきました。以降は食生活や日常の問題はみられませんでした。
抜歯から7年が経過した時のレントゲン写真では骨はきれいに回復していました。(治療7年後の写真)
治療のリスク ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、治療後に治癒不全を招く可能性があります
クリニックより この症例では抜歯することのメリットが大きかったため抜歯をご提案しましたが、かみ合う歯や隣の歯など他の歯の状態によってはあえて親知らずを抜かないご提案をする場合もあります。
親知らずは厄介者扱いされますが、清掃管理ができて現在や将来に利用価値があるケースもあります。
親知らずだけを見て判断するのではなく、お口全体やその方によって変わるものだと考えておりますので、親知らずでお困りの方は一度ご相談されてみるといいでしょう。