80代男性「歯に穴が開いている」虫歯治療後に金合金の詰め物を入れた症例
2025.01.06
治療前
画面一番下の金属の詰め物が入っている左上親知らず(左上8番)の奥側の歯質に穴があいているとお見えになられました。歯の奥の裏側のため画像ではよくわからないと思います。
小さなカメラで撮影した画像です。茶色く写っているのが虫歯で歯に穴があいた部分です。
治療後
以前に詰まっていた詰め物を外し、虫歯の部分を含む形の詰め物を入れ直しました。以前の詰め物の精度が高いため詰め物の周囲には虫歯はなく、その部分の外形は変わっていません。虫歯だけを削ることですみました。
年代と性別 | 80代・男性 |
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はじめのご相談内容 | 左上奥歯(左上8番)に穴が開いているとお見えになられました。 |
診断結果 | 拝見すると左上8番(親知らず)には詰め物が入っていましたが、歯の奥側の歯質に虫歯があり(写真で茶色く写っている部分)その部分の凹みを穴が開いたように感じておられたことがわかりました。 親知らずは最も奥の歯であり、さらにその歯の喉に近い奥側部分であるため、歯ブラシが届きにくいことが原因だと考えました。 虫歯の進行を止めるために現在入っている詰め物を外し、虫歯を取り除いた穴とつなげた詰め物を入れる必要があると判断しました。 虫歯を取り除いた穴だけに詰めると噛む力で容易に取れると考えたからです。 |
行った治療内容 | 詰め物には保険のプラスチック、銀歯、自己負担の金合金、ジルコニア、セラミックがあります。 そうした選択肢のご紹介とそれぞれの特徴をご説明いたしました。 上の親知らずという人目につかない歯であるため見栄えより耐久性を重視したい、かつ虫歯になりづらい詰め物を入れたいとのご希望でした。 ご希望に沿って噛みしめ癖がおありのため適度な硬さを持ち他の歯と協調して変化する摩耗性、適合がよく虫歯になりづらい点から金合金をお勧めいたしました。 初日に麻酔で痛みをなくした状態で虫歯と詰め物を取り除き、詰め物の形に合わせて歯を整えました。 歯型を取り仮の歯をお入れして初日の治療は終わりました。 次回のご予約で金合金の詰め物を歯に接着してすべての治療が終了しました。(治療後の写真) 以前に入っていた詰め物は外しただけであるため、その部分の形はほとんど変わっていません。 奥側の虫歯部分に詰め物が伸びた形となっています。 |
このケースのおおよその治療期間 | 2回 |
おおよその費用 | 103,340円(仮歯を含む) |
現在の様子 | お困りであった歯の穴は虫歯除去と共になくなり、治療後も食生活や日常の問題はみられません。 虫歯が初期の内に治療ができたため、歯を削る量を最小限に抑えることができました。 今後は定期検診とメンテナンスで維持していきたいと考えています。 |
治療のリスク | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります |
クリニックより | 日本人のあごの大きさが小さいため、親知らず(8番)は正常に生えることが多くありません。 そのため咀嚼に関与していないケースがあります。 さらに一番奥の歯であるため歯磨きがやりづらく、虫歯や歯周病だけでなく清掃不良により周囲の歯茎が炎症を起こす智歯周囲炎を起こすことがあります。 こうした理由からよく邪魔もの扱いをされ、先ほどのトラブルが起こると抜歯も選択肢の一つとなることがあります。 他の歯にはない扱いに親知らずは憤慨しているかもしれません。 しかしこの症例のように咀嚼に役立つ場合や、手前の歯をなくされた時の入れ歯やブリッジの支えとして利用できる場合もあります。 歯ブラシが奥まで届く歯磨きは楽ではないですが、親知らずをどうするのかは、お口全体と清掃性の観点からお考えになられることをお勧めいたします。 |