50代男性「上の前歯の差し歯がとれた」仮の歯を使いながら根の治療(根管治療)を行い保険の被せ物を入れた症例

2024.12.09

治療前

上の前歯の差し歯がとれたとお見えになられました。差し歯が外れており歯がほとんど残っていない状態でした。

単に取れたのではなく、差し歯と歯の境目から内部で虫歯になって外れたことがわかります。

レントゲンからは右上1番の根の治療は問題はありませんが、左上1番の根の治療は不十分であるため再度の根の中の治療(根管治療)が必要だと判断しました。

治療中

治療中の外見維持を目的に仮の歯を入れました。噛むことはできませんが、人目に配慮しました。

右上1番の歯で仮の歯を保持しながら、もう一本の歯(左上1番)の仮歯の裏側に穴をあけて根の治療を行いました。

左上1番(画面右側)の根の治療が終わった状態です。再発予防のための歯の内部に白く写る材料が根の先までしっかり入っています。

治療後

最終的な保険の被せ物(硬質レジン前装冠)が入った状態です。

裏側は金属(金銀パラジウム合金)、表側はプラスチック(硬質レジン)の構造になっています。

年代と性別 50代・男性
はじめのご相談内容 上の前歯(右上中切歯・右上1番、左上中切歯・左上1番)の差し歯がとれたとお見えになられました。
診断結果 拝見すると右上1番と左上1番の差し歯が外れており歯がほとんど残っていない状態でした。
レントゲンからは右上1番の根の治療は問題はありませんが、左上1番の根の治療は不十分であるため再度の根の中の治療(根管治療)が必要だと判断しました。
行った治療内容 左上1番の根管治療後に補強のため根の中に土台(芯棒)を入れた後に右上1番と左上1番2本の新しい差し歯(被せ物)を入れる治療計画をご説明したところ、現状をご理解され同意をいただきました。
上の前歯で人目に付く場所であるため、治療中とはいえ外見をよくする必要があります。
そのために右上1番に土台を入れてその歯で隣の左上1番と2本の歯を支える仮歯を装着しました。
仮歯の裏側に穴をあけて左上1番の根管治療を行いました。(治療途中の写真)
根管治療により根の中の感染がなくなりゴム質の詰め物を根の中に入れて再感染を防止しました。(治療中のレントゲン写真)
その後左上1番にも土台を入れて日常生活上の問題がないかを仮の歯でテストしました。
問題が見られなかったため、歯型を取って保険の硬質レジン前装冠を歯に接着して治療を終えました。(治療後の写真)
このケースのおおよその治療期間 約3か月
おおよその費用 保険の一部負担金と仮歯3.290円が2本
現在の様子 治療当初から仮の歯をお入れしたため、見た目の問題はなかったと伺っています。
治療後も食生活や日常の問題はみられません。
現在は定期健診のご予約中で今後も経過を見守っていきたいと考えています。
治療のリスク ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 症例によっては仮の歯を入れることが難しいケースもありますが、今回は隣の歯をうまく使えたため外見の問題を最小限に抑えながら治療ができました。
ただし仮の歯は本物の歯ではありませんので、咀嚼に使ったり力を加えないように気を配っていただきたくことをお勧めしています。