30代男性「右下奥歯でかむと違和感がある」根の中の治療(根管治療)後にジルコニアを被せてかめる日常を取り戻した症例
2024.12.23
治療前
右下奥歯でかむと違和感があるとお見えになられました。拝見すると右下6番には詰め物が入っており、表面的には虫歯は見られない状態でした。
レントゲンからは奥側の根の先に黒く写る骨の破壊像が見られました。何らかの原因で神経が感染し、感染が根の先にまで進行して骨が破壊されたと判断しました。
治療中
詰め物を外し根の中の治療(根管治療)を行っている状態です。治療中は歯の強度が極端に弱くなるため、歯を削って一段低くして治療します。歯の中の細菌感染を治すため治療中は唾液に含まれる細菌を歯の内部に入れないためにセメント(ピンク色)で毎回蓋をします。
根管治療が終わった状態のレントゲンです。根の先まで白く写っている材料がきれいに詰まっています。再度感染が根の先に侵入しないための封鎖です。根の先の黒い影は治療前より縮小傾向にあり、期間の経過に伴ってなくなります。
治療後
根管治療後にグラスファイバー土台を入れて歯の補強をした後にジルコニアの被せ物を歯に接着して治療が終了しました。
年代と性別 | 30代・男性 |
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はじめのご相談内容 | 右下奥歯(右下6番)でかむと違和感があるとご相談を受けました。 |
診断結果 | 拝見すると右下6番には詰め物が入っており、表面的には虫歯は見られない状態でした。 しかしレントゲンからは奥側の根の先に黒く写る骨の破壊像が見られました。 何らかの原因で神経が感染し、感染が根の先にまで進行して骨が破壊されたと判断しました。 感染がある以上、根の中の治療(根管治療)でこれ以上の感染の拡大を阻止することと、細菌を死滅させて破壊された骨を回復する必要があります。 その結果再度かむことに支障がなくなります。 |
行った治療内容 | 詰め物を外し根の中の治療(根管治療)を行うことで現在の症状を改善し、神経を失った歯は強度低下を起こすため被せ物で弱い歯を保護する治療方針をご提案しました。 現状のご理解と治療方針へのご賛同が得られましたので、治療を開始しました。 歯の中には神経が入っている管があります。感染は神経だけでなくその管の表面にも及ぶため、管を一層器具で削り取る必要があります。 このケースでは通常より管が細く管の歯質が硬かったため、根管治療に6回と回数を要しました。 管の内部の細菌が死滅したことを確認後、管の中をゴム質の材料で封鎖し再感染を防止しました。 この時点で当初黒く写っていた骨の破壊程度が少なくなっています。完全に回復するには半年から1年程度かかりますが、治癒傾向にあるため治療を先に進めていい状態です。(治療途中のレントゲン) その後歯の強度を向上させるため土台を歯の内部に入れてさらにその上に被せ物で歯を覆って補強する治療に入ります。 この時点での治療選択肢として保険治療の金属性の土台と銀歯の被せ物、自己負担になるグラスファイバー製土台と金合金やジルコニア、セラミックなどの被せ物があることをご説明いたしました。 後者をご希望されましたので、グラスファイバー製土台を入れて歯を被せ物に適した形に整え、仮の歯を入れて次回のご予約までお使いいただくことでかむことや異和感などがないことを確認しました。 その後歯型をお取りしてジルコニアの被せ物を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の写真) |
このケースのおおよその治療期間 | 2か月強、9回 |
おおよその費用 | 142,070円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む) |
現在の様子 | 根管治療によりかむ時の異和感などの症状はなくなり、治療後も食生活や日常の問題はみられません。 今後は定期検診とメンテナンスで維持していく予定になっています。 |
治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります |
クリニックより | 神経を失って歯質が弱く割れるリスクを軽減するためにかむ部分だけを被せ物で保護しました。 大きな虫歯により歯質を多量に失っていたケースではありませんでしたので、歯茎に近い部分の歯は削らずそのままの状態を維持しています。 通常は歯と被せ物の境目が目立つケースが多いのですが、この方のお口の状態からあまり目立たないと考え、歯を保存する方を優先しました。 写真をご覧になっても継ぎ目はわからないと思います。 |