60代男性「歯に穴があいた」金合金の詰め物に入れ替えた症例

2025.03.24

治療前

右上第二大臼歯(右上7番)に穴があいたとお見えになられました。拝見すると詰め物の一部が取れてなくなり歯に穴があいた状態でした。

詰め物が欠けてなくなる前の状態です。長年お使いのため歯とセラミックの境目に多少の変色が見られますが異常はない状態でした。硬いものがたまたま当たったなど何かの拍子で欠けたものと思われます。

治療後

上の奥歯で人目につかない場所であるため、審美面より強度的に丈夫な物で虫歯になりにくい治療をご希望され金合金の詰め物に入れ替えました。

年代と性別 60代・男性
はじめのご相談内容 右上第二大臼歯(右上7番)に穴があいたとお見えになられました。
診断結果 拝見すると右上7番の詰め物の一部が取れてなくなり歯に穴があいた状態でした。(治療前の画像)
6年前にセラミックの詰め物をお入れしたのですが、4年後(今から2年前)の今回穴があいた部分のセラミックが欠けました。
セラミックの厚みは十分でしたので、この歯に日常的に強い力がかかっていることが想像できました。
通常はこれだけの厚みがあればほとんど壊れるケースに遭遇しないからです。

しかし作製から長い年月が経っておらず、詰め物の再製作は忍びないと考えて保険のプラスチックを詰めた場所でした。(以前の治療後の画像)
さらに今回は歯に残っているセラミックにもヒビが入っていることも確認できました。
歯の状況から以前から強い力が加わることを懸念して、マウスピースを就寝時にお使いになられていましたが残念ながら防ぐことができませんでした。
しかし再度取れてしまった以上、同じことを繰り返しても歯が傷むだけで、強い力に耐える材質に変更することが長い目で見て有利だと判断しました。
行った治療内容 最初の治療時には金属の見た目を避けて白い歯にされたいご希望でしたのでセラミックを選択されましたが、今回の経緯から耐久性を重視して金合金の詰め物をお勧めしました。

金合金は色合いは金属色になりますがセラミックの脆弱性がなく、銀歯より治療精度が高く歯との境目の適合がよいため虫歯や歯周病に対して抵抗性が高い特徴があります。
また強い力が加わっても壊れないだけでなく、硬さが天然の歯とほぼ同じであるため他の歯と協調して摩耗するためお口全体の噛み合わせのバランスを崩すことがありません。

現状と詰め物のご理解をいただけたので、古い詰め物を外し仮の歯に入れ替えました。
次回のご予約で歯型を取り、その次のご予約で金合金の詰め物を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 3回
おおよその費用 103,340円(仮歯を含む)
現在の様子 詰め直すことでかけた穴に食べ物が詰まってきたのが解消し、穴から虫歯になることも防ぐことができました。
治療後は食生活や日常の問題はみられません。
現在はご相談の上、定期健診とメンテナンスで健康を維持する予定になっています。
治療のリスク ・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
クリニックより 日常臨床において食いしばりや噛みしめ、歯ぎしりなど慢性的な強すぎる力による歯と歯茎のトラブルが目につきます。
このケースでも通常は壊れないと考えられる状態でも、そうした強い力がかかるとトラブルに発生することを再認識させられました。

セラミックが欠けたことは残念な結果ではありますが、今回のようにセラミック自身がかけることで強い力を開放できたものが、壊れない銀歯の代わりにご自分の歯が欠ける・割れる懸念があることも事実です。
ご自分の歯の代わりにセラミックが欠けた・壊れたと考えれば、壊れないことだけがいいとは思えないのです。