40代男性「銀歯の詰め物がとれた」除菌治療で神経をとらずにセラミックの詰め物を入れた症例
2025.04.07
治療前
奥歯(左上第二小臼歯・左上5番)の銀歯の詰め物がとれたとお見えになられました。来院当日はご自分で銀歯をはめてお越しになられました。歯の色調から内部で虫歯がある可能性がありました。
治療後
治療終了から3年後です。銀歯がセラミックに変って見栄えが良くなったことよりも、除菌治療により神経を取らずに済んだことの方が意味があると考えています。
その他
治療から6年が経過していますが、しみる・痛むなどの症状はなく正常に咀嚼などの機能を維持できています。歯質の色が他の歯より若干暗く見えるのは除菌治療に用いる薬剤の副作用だと思われます。
年代と性別 | 40代・男性 |
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はじめのご相談内容 | 奥歯(左上第二小臼歯・左上5番)の銀歯の詰め物がとれたとお見えになられました。 |
診断結果 | 拝見すると左上第二小臼歯(左上5番)の銀歯の詰め物がとれ、内部に虫歯が確認できました。 来院当時はとれた詰め物をご自分で歯にはめておられました。(治療前の画像) シミや痛みなどの症状はありませんでしたが、虫歯の広がりと進行程度によっては神経にまで感染が及んでいる可能性があるとご説明しました。 |
行った治療内容 | 歯の神経を失うと歯は乾燥しもろく弱くなり、歯の寿命は5~10年短くなることが統計上わかっています。 また神経を取って弱くなった歯を噛む力から守るために、歯全体を削って被せ物を入れる必要がでてきます。 できることなら神経を取らない方が現在も将来も得策であるため、治療が間に合わず将来神経を取らなくてはならなくなるリスクはあるものの、神経を温存する除菌治療の存在をご説明しました。 銀歯の詰め物の内部が虫歯になった経緯から、虫歯になりづらい精度の高い治療を、神経が助かる可能性に賭けて除菌治療を、銀歯の見た目をよくされたいご希望によりセラミックの治療をご希望されました。 治療初日は虫歯除去と除菌治療を行い、仮の歯を入れて終了しました。 2週間経過を観察しましたが、異常が見られなかったため後日歯型を取り、ガラスセラミック(e-max)インレー(詰め物)を歯に接着して治療が終了しました。(治療3年後の画像) |
このケースのおおよその治療期間 | 約1か月 |
おおよその費用 | 107,890円(除菌治療+仮歯を含む) |
現在の様子 | 治療後は食生活や日常の問題はみられず、安心て噛めるとようになりました。 その後は今回の経緯から定期歯科検診とメンテナンスにお通いいただいて健康を維持されていらっしゃいます。 治療後6年が経過していますが神経の感染を疑うシミや痛みなどの症状はなく、正常に機能しています。 歯の色調が他の歯や治療後3年の画像より若干暗くなっていますが、除菌治療の用いる薬剤の副作用だと考えています。(治療6年後の画像) |
治療のリスク | ・神経の細菌感染は肉眼で判定できないため、治療時に神経に細菌感染が起こっている場合には、治療後に痛みが出て神経を取る治療が必要になる場合があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります |
クリニックより | 除菌治療にはリスクがあります。神経の細菌感染の有無は実際に神経を取りだして顕微鏡で見ない限り正確な診断はできません。 神経を取りだした時点で神経はなくなるため、それも行うことができません。神経の感染の有無を臨床的な判断で行うため確実性が劣るのです。 除菌治療を行っても後で痛みなどが出て神経を取る場合があることがリスクです。 しかし安全策を取って感染一歩手前も含めて最初の治療で神経を取り除くか、可能性に賭けてみて治療が間に合わなかったことが判明した時点で神経を取り除くかのタイミングの違いと考えることもできます。 神経を失って歯の寿命が短くなり、再発リスクもあることが避けられるかもしれないのです。 治療が間に合って神経が助かることの方が多いことを考慮するとやってみる価値のある治療だと考えています。 除菌治療の詳細は下記をご覧ください。 https://mitaka-takaokadental.com/column/1174/ |