50代男性「噛むと奥歯が痛い」噛みしめによって欠けた歯を詰め物で治療した症例

2025.05.19

治療前

以前から噛むと痛かった左下奥歯(左下7番)の歯が欠けたと来院されました。銀歯が入っている歯の後方部分の歯質が欠けていました。

歯が欠ける前の以前にお越しになられた時の状態です。1年前に噛むと痛いとお見えになられた経緯があり、噛みしめ癖があるため普段からマウスピースをお使いでしたが、欠ける数日前から外しておられたそうです。

治療後

欠けたままでは虫歯になるだけでなくさらに歯が欠けるリスクがあるため、欠けた部分とそれまで入っていた銀歯をつなげた形の金合金の詰め物をお入れしました。ご相談の上プラスチックや銀歯を選択しなかった理由は噛みしめ癖による強すぎる力に抵抗できる強度と治療精度が高く虫歯になりづらい点、さらに他の歯と調和して摩耗する適応力の高さからです。

年代と性別 50代・男性
はじめのご相談内容 以前から噛むと痛かった左下奥歯(左下7番)の歯が欠けたと来院されました。
診断結果 この歯には経緯があり、1年前にも一度左下奥歯で噛むと痛いとおっしゃっておられましたが、歯に異常が見られなかったことと、食いしばりと噛みしめ癖をお持ちのためマウスピースを装着して経過を見ていました。
それから6か月後にマウスピースを3日外していたら再度噛むと痛くなったとお見えになられました。
マウスピースを装着することをお勧めして症状の軽減が見られましたので経過観察を続けることになりました。(以前の画像)

しかしその6か月後に同様の症状が出て来院され、お口を拝見すると左下第二大臼歯(左下7番)の後ろ部分の歯が一部欠けていました。
欠けた時に一時的に痛みがでて、現在は冷たいものがしみる症状がありました。(治療前の画像)

欠けた歯には虫歯等の病気は見られず、食いしばりと噛みしめ癖により噛むと歯が痛い症状が出て、今回同じ理由で歯が欠けたと判断しました。
マウスピースを装着する時間が限られており、装着していない時間帯の歯に加わる強い力の蓄積の結果と考えられました。
行った治療内容 根本的な解決は強すぎる力を歯に加えないことですが、ご本人もその点は重々ご存知であっても無意識で行う行為のためなかなかなくすことができないのが現状です。
そのため治療は対症療法となり欠けた部分の歯を補うこと、今回は現在入っている銀歯の詰め物を外し欠けた部分も含んだ形の詰め物に入れ替えることをご提案しました。

さらに強い力に耐える材質が必要であり、また他の歯の摩耗による噛み合わせの変化と調和できる材質として金合金の詰め物をご紹介しました。
保険のプラスチックは強度不足であり、銀歯は硬すぎて他の歯の摩耗と調和しないこと、セラミックでは欠ける懸念があるためです。
色調は不自然ですが、強すぎる力がかかる環境で維持できるのは他に選択がないと考えたためです。

現状のご理解が得られ治療方針への同意をいただけたので、銀歯を外し欠けた部分の整形を行い仮の歯を入れて経過を見ました。
特段の異常が見られなかったため、後日歯型を取って金合金の詰め物を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約1か月(経過観察期間を含む)
おおよその費用 103,340円(仮歯を含む)
現在の様子 欠けた部分を仮歯で覆った時点で冷たいものはしみなくなりました。
経過観察中も含めて治療後も症状はなく、食生活や日常の問題はみられません。
マウスピースをできるだけ装着することがトラブル防止に有効であることを再度ご説明しました。
噛みしめるという根本原因は解決していないため、今後も継続して経過観察を定期歯科検診とメンテナンスで拝見していくつもりです。
治療のリスク ・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
クリニックより 近年食いしばり・噛みしめによる歯のトラブルが後を絶ちません。
特に神経がない歯に起こる歯の破折(割れやヒビ)です。
最悪の場合歯を失うことがあります。
今回は神経があるはであったため、欠けることで済んだのが不幸中の幸いでした。