40代女性「前歯の被せ物の付け根に虫歯ができた」根の治療後にセラミックを被せた症例
2025.07.14
治療前
右上側切歯(右上2番)の被せ物の付け根に虫歯ができたとお見えになられました。保険の被せ物と歯茎の境目に黒く見える虫歯がありました。
裏側は金属ですが、表面上は虫歯はないようにみえます。
レントゲンからは白く写っている金属の人工物と歯の境目に黒く写っている隙間があるようにみえます。今回の虫歯はその隙間(不適合)による可能性があります。被せ物を外して内部を確認する必要があるとご提案しました。
治療中
被せ物を外した状態のレントゲンからは、不適合部分だけでなく根の中の治療が不完全なことも将来を考えると問題です。
根の中の治療をやり直した状態です。根の先まで白い薬剤が緊密に入っています。このことにより再感染を防ぎできるだけ長く歯を保つことができる基礎となります。根管治療や根の中は外部から見ることができない部分ですが、家の基礎と同じくその上に建てる家(被せ物)を支える非常に大切な部分です。
治療後
気にされていた虫歯はなくなり歯茎とセラミックの被せ物(カタナ)の調和と適合も申し分ありません。口元がきれいになりました。
裏側(上あご部分)は金属からセラミックに変っています。
その他
まだ治療から1年しか経過していませんが、治療時と変化なく綺麗な状態が維持できています。
裏側も同じく変化はありません。見た目だけでなく咀嚼や発音などの機能面でも異常はなく、いつも通りの日々の生活と食生活が送れていることが地味ではあってもありがたいことだと思います。
年代と性別 | 40代・女性 |
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はじめのご相談内容 | 右上側切歯(右上2番)の被せ物の付け根に虫歯ができたとお見えになられました。 |
診断結果 | 拝見すると右上側切歯(右上2番)に裏側が金属で表側がプラスチックの保険の被せ物が入っていました。その被せ物の付け根(歯と被せ物の境目)に黒く見える虫歯が確認できました。(治療前画像) 治療前のレントゲンでは白く太い土台(芯棒)が歯の中に入っていますが、土台と歯の間に隙間があるように見えました。 単に虫歯を取り除くだけでなく、歯とピッタリ合っていないことは虫歯の現在か将来の可能性が否定できないため土台を外して内部を確認することがこの歯の将来のために必要だと判断しました。 |
行った治療内容 | 現状へのご理解が得られ治療をご希望になられたため、被せ物を取り除きレントゲンで確認しました。(治療中のレントゲン画像) 不適合は当初より少ないものの存在することと、根の内部の治療が不十分であることがわかりました。隣の歯の根の内部は白く写る材料が均一に詰まっていますが、この歯は形も細く不均一であるため、将来の再発リスクがあることをご説明しました。 患者様は根に中の治療もやり直されたいとのご希望があり、金属性の土台を慎重に取り外し、根の中の治療(根管治療)を行いました。(治療中のレントゲン画像) その後被せ物の選択肢のご紹介では隣の歯と同じセラミックをご希望されたため、グラスファイバー製土台で適度に歯の補強を行った後に仮の歯で歯の出っ張り程度や形、発音や咀嚼など日常生活上の不便がないことを確認し、確認後に仮の歯の外形を型取りして最終的な歯の外形の参考にしました。 最後に歯型を取って歯にセラミックの被せ物(カタナ)を接着して治療が終了しました。(治療後の画像) |
このケースのおおよその治療期間 | 約2か月 |
おおよその費用 | 163,520円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む) |
現在の様子 | 気になられていた正面からの虫歯はなくなり、隣の歯と調和が取れた形と色調が得られたため、綺麗な口元になりました。治療後も食生活や日常の問題はみられません。 まだ治療から1年ですが現在は定期検診とメンテナンスで維持されていらっしゃいます。 |
治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります |
クリニックより | 虫歯は食べ物が残りやすい場所に多くできます。代表的な場所は奥歯の歯磨きがし辛い場所、歯と歯の間、歯と歯茎の間、歯の溝、歯並びが悪くて磨きづらい場所などですが、今回のケースでも歯と被せ物の境目に食べ物が残ったことが原因でした。 人工の歯は虫歯にならないと考えてあまり熱心に歯磨きをされない方がいらっしゃいますが、被せ物があることはそれを支える歯がその下にあるということですので、歯と被せ物の境目の隙間をできるだけ小さくする精密な治療とともに、他の歯と同じように歯磨きをされることをお勧めします。 |