50代女性「噛むと痛い」根の中の治療後にセラミックを被せた症例

2025.06.16

治療前

画面右から3番目の左上第一小臼歯(左上4番)でものを噛むと痛いとお見えになられました。外見上は虫歯や歯周病などの異常がないように見えますが、他の歯より若干色が暗いのが気になります。

歯には過去の虫歯治療によるプラスチックが入っています。プラスチックは奥歯に用いると強度不足のため中で何らなの問題がある可能性が否定できませんが、安易に削ることは避けました。

レントゲンからも特段の異常は見つかりません。神経のダメージを調べる電気歯髄診断で神経が傷んでいることが初めてわかりました。

治療中

神経が死んでいたことが今回の噛むと痛い症状の原因であったため、根の中の治療(根管治療)を行いました。

治療後

根管治療後にセラミックの被せ物(カタナ)を歯に接着して治療が終了しました。

年代と性別 50代・女性
はじめのご相談内容 左上第一小臼歯(左上4番)でものを噛むと痛いとお見えになられました。
診断結果 拝見すると外見上やかみ合わせ、レントゲンでは異常が確認できませんでしたが、歯の中の神経の診断では神経が死につつある検査結果となり、何らかの原因により歯の内部での感染が疑われました。
行った治療内容 一つの検査結果だけで安易に神経を取ることを避けたいため、次の処置をご提案しました。麻酔をしないで現在入っている詰め物を削ってみて感覚がなければ神経に問題がある、感覚があればまだ神経が生きている証拠になります。
処置中に全く感覚がなかったため、神経がダメージを受けていることがわかりました。そのまま慎重に少しずつ歯を削っていくと死んだ神経が露出したため、根の中の治療(根管治療)に切り替えました。

細菌感染は神経だけでなく神経が入っていた根の中の管の歯質に侵入しているため、管内部の消毒を8回行い、検査で細菌がいなくなった時点で再感染予防のため根の中をゴム質の材料で緊密に詰め封鎖しました。(根管治療後のレントゲン)

その後歯の補強のため歯の内部にグラスファイバー製土台を入れ、歯の表面を削って被せ物の形をした仮の歯をお入れし、経過観察を行いました。治療のために歯にあいた穴だけでなく歯を削ってまで被せ物の形にしたのは、神経を失うと歯の強度が落ち割れるリスクがあるためです。

被せ物の選択肢を4種類ご紹介したところ、糸切歯の1本後ろの歯であり容易に人目につくことから、セラミックの被せ物をご希望されました。
経過観察で咀嚼や日常生活の問題がなかったため、歯型を取って最終的なセラミックの被せ物(カタナ)を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約3か月
おおよその費用 163,520円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む)
現在の様子 根管治療中には当初の痛みはなくなり、それ以降痛みなどの不快な症状は見られていません。
また治療後も食生活や日常の問題はみられず、外見の問題もなく快適な状態が維持できています。
今後は定期検診とメンテナンスでご一緒に維持していく予定です。
治療のリスク ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 一般的には神経が感染を起こす場合は虫歯や重度の歯周病が多いのですが、今回はそうした状況ではありませんでした。鼻腔とつながっている上顎洞からの感染か、以前に虫歯になった際の感染の残りなのか、現在も理由は特定できていません。
しかし原因はともかくとして、神経が死んでいたことは事実であるため今回の治療は必要でした。