40代女性「被せ物がとれた」割れた歯を抜歯後にブリッジで治療した症例

2025.10.20

治療前

右上5番(右上第二小臼歯)の被せ物が取れたとお見えになられました。根に黒く写っているヒビが確認できます。

レントゲンを撮ると縦にひび割れが確認できます。ほとんど歯質が残っていない上に根の方までヒビが入れば残念ながら助けることができません。

治療中

今回治療になった右上5番の8年前の状態です。白く綺麗なプラスチックの被せ物が入っています。笑ったり喋ると目立つ場所ですので銀歯などの金属の歯よりいいように一般的には思われることでしょう。

今回外れたた左上5番の4年前の状態です。噛み合わせの部分のプラスチックがすり減って下地の金属が露出しています。プラスチックは見栄えがいいものの、強度と耐久性が劣り摩耗が進行して噛み合わせが維持できていないことがわかります。

治療直前のまだ被せ物が取れていない時の状態です。噛み合わせ部分の白いプラスチックの摩耗が年数を重ねるにしたがって著しいことがわかります。一方で1本奥の金合金の被せ物は噛みしめや食いしばり癖によると思われる摩耗があるものの維持できています。

治療後

右上5番を抜歯後、前後の被せ物を3本つなげるセラミックブリッジ(カタナ)をお入れした状態です。

治療からまだ1年ですが異状なく機能しています。

年代と性別 40代・女性
はじめのご相談内容 右上の奥歯(右上第二小臼歯・右上5番)の被せ物がとれたとお見えになられました。
診断結果 拝見すると右上5番の被せ物が土台ごと取れ、残った歯にはヒビが入って割れている状態でした。
残った歯質が少ない上に根の部分が割れている以上、残念ながら歯を残すことは無理だとご説明しました。(治療前の画像、レントゲン写真)
行った治療内容 8年前から定期検診で拝見しており、被せ物の表面が異常に摩耗しており治療を以前からお勧めしていましたが残念ながら今日のその日を迎えてしまいました。
8年前、4年前、直前の画像を見比べると表面のプラスチックが摩耗して下地の金属が露出する面積が段々大きくなっていることがお判りいただけるでしょう。
噛みしめや食いしばり癖がおありのため過大な力がこの歯に加わったためですが、歯の内部の補強のための土台が硬い金属製であったため支えている歯が割れたと考えられました。

残念ながら抜歯が避けられない以上、抜歯後の日常生活のことを考えなくてはなりません。
入れ歯、ブリッジ、インプラントのご紹介をしたところ、ブリッジをご希望になられました。手前の歯は画像では一見健康な歯に見えますが、レントゲン写真に白く写っているようにすでに歯を削って大きなプラスチックが入っており、ブリッジのために歯を削る量はそう多くないことがわかります。またブリッジを支える手前の歯は糸切歯の1本後ろのため人目に付く場所であるため白い歯をご希望になり、セラミックブリッジをご提案しました。

現状のご理解と治療計画にご承諾いただけましたので右上5番の抜歯、前後の歯を削って仮の歯のブリッジをお入れしました。
その後抜歯後傷の治りを待って歯型を取り、最終的なセラミックブリッジ(カタナ)を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約5か月(抜歯後の経過観察期間3か月強を含む)
おおよその費用 400,560円(仮歯を含む3本)
現在の様子 まだ治療から1年しか経過していませんが、治療後には食生活や日常の問題はみられません。
今後は定期検診とメンテナンスで維持していくことをご提案しております。
治療のリスク ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、治療後に治癒不全を招く可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 噛みしめや食いしばり癖による歯のトラブルが後を絶ちません。
こうした癖を根本からなくす方法が現時点ではなく、治療後のマウスピース(ナイトガード)の装着や被せ物や土台の種類を考えるなどの対症療法が行われています。
今回のケースでも奥歯に入っていた金合金が最良の選択肢ですが、ブリッジを支える手前の歯を白くするご希望がありました。
セラミックが剥離しやすい旧来のメタルボンドクラウンを避け見た目が白い歯をお望みななったため奥歯もセラミック(カタナ)にすることになりましが、カタナの裏側はジルコニアであるため、奥歯はジルコニアにする方法もありました。