30代男性「親知らずと手前の歯の間によくものが詰まる」セカンドオピニオンを受けたい。親知らずを抜歯し手前の歯の虫歯をジルコニアで治療した症例

2025.03.17

治療前

画面上では見えづらいですが、一番奥の左下7番の後ろにほんの少しだけ親知らず(左下8番)が歯茎から顔をだしています。この隙間に食べ物がつまることが来院の理由でした。

レントゲンを撮ると、親知らずは真横に生えておりいくら待ってもこの状態が続くことがわかります。食べ物がつまりやすいことからレントゲンから手前の左下7番の後ろ側に初期の虫歯があることがわかりました。咀嚼に関わっている7番の将来を考えると親知らずを思い切って抜くことが有益だあるとご説明しました。

治療後

親知らずを抜歯後、手前の左下7番の虫歯を治療しジルコニアの詰め物が入った治療が終わり1年が経過した状態です。ジルコニアの色調は天然の歯と異なりますが、薄くても丈夫なため歯を削る量を最小限に抑えることができました。

年齢がお若く、抜歯1年後には親知らずが埋まっていた骨はすかりきれいに回復しています。

年代と性別 30代・男性
はじめのご相談内容 他院で親知らずの抜歯を提案され、その診断と治療方針の確認のためセカンドオピニオンで来院されました。
お困り内容は左下親知らず(左下8番)と手前の左下7番との間によく食べ物が詰まり臭うことでした。
診断結果 レントゲン撮影を行うと左下親知らず(左下8番)が真横に生えているため、手前の左下7番との間に食べ物が詰まりやすく、虫歯ができていることが判明しました。
親知らずは噛んでいない、すなわち咀嚼に貢献していない歯ですが、左下7番は咀嚼して機能している歯です。
左下7番をこれから先も維持していくためには、食べ物が詰まらない、すなわち虫歯になりづらい環境にする必要があります。
親知らずの生え方から詰まりにくくすることが困難である上に、歯磨きもしづらい場所です。
噛む仕事をしていないこともあり、親知らずがなければ食べ物が詰まらなくなるため親知らずを抜歯するメリットが大きいとご説明しました。
行った治療内容 ご説明内容に納得され、当院での治療をご希望されたため左下親知らずを抜歯し、傷が癒えるのを待って虫歯になった手前の左下7番の治療を行うことをご提案しました。
治療方針への同意が得られ、左下7番にお口の中に銀歯を入れたくないご希望があったためご希望に沿った治療の選択肢をご紹介しました。
色調は悪くはありませんが耐久性が劣り長持ちしないプラスチック、歯とは色調は若干異なりますが白っぽい色調のジルコニア、歯とほぼ色調が似ているセラミックのご説明をしました。その結果ジルコニアをご希望されました。

親知らずの抜歯から約2か月後に左下7番の虫歯除去と歯型を取り、当日は仮の歯をお入れして終了しました。
次回の来院時にジルコニアの詰め物を歯に接着してすべての治療が終了しました。(治療1年後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約3か月(親知らずの抜歯と傷の治癒期間を含む)
おおよその費用 47,040円(仮歯を含む)と親知らずの抜歯(保険の一部負担金)
現在の様子 治療後は食べ物が詰まらなくなり臭いもなくなりました。
抜歯した傷口も治癒し健康な歯茎になりました。
また手前の左下7番での咀嚼や噛み合わせに異常はなく、食生活や日常の問題はみられません。
ジルコニアの多少天然の歯と色調が違うことも、奥歯で目立ちにくいとのことでご納得されています。

最近歯科検診時に拝見しました。
治療からまだ1年しか経過しておりませんが、外見や機能面での異常はありません。
レントゲンでは親知らずを抜いた後の骨の穴はきれいに回復しています。
治療後は食べ物が詰まらなくなっています。(治療1年後の画像とレントゲン)
今後は定期健診とメンテナンスで今の状態を維持しながら経過を見ていきたいと考えています。
治療のリスク ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、外科治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、治療後に治癒不全を招く可能性があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 横に生えている親知らずのトラブルで来院される方がたくさんいらっしゃいます。
ご本人の歯磨きなどの努力を持ってしても健康を維持できないことが多く、傷を治す力が旺盛なお若い時代に解決しておかれるのも選択肢の一つだと長い臨床経験上感じています。
ご説明の際にもお話ししましたが、このケースは手前の左下7番の虫歯がそう大きくなかったため、色調の面では劣りますがセラミックより歯を削る量が抑えられるジルコニアが適していました。