60代男性「左上奥歯に時々違和感がある」根の治療(根管治療)後にブリッジを入れた症例
2025.12.29
治療前
左上奥歯に時々違和感があるとお見えになられました。銀歯の摩耗が見られ、歯ぎしりや食いしばりなど慢性的に強い力をかけておられることが推測されます。
左上6番(左上第一大臼歯)を以前に失っておられ、左上5番(左上第二小臼歯)から左上7番(左上第二大臼歯)までつながった銀歯ブリッジが入っていました。神経がない歯であるため歯のヒビや割れ、歯の内部の治療が不完全であるため歯の内部の感染の再発の2つが考えられます。
ブリッジを外し左上7番の内部を見るとひび割れが確認できなかったため、根の治療をやり直すことになりました。
治療中
ブリッジを外した時のレントゲンからは根の中に薬剤は見られず、根の治療(根管治療)で症状は改善してきました。
根の治療(根管治療)後の確認のためのレントゲンです。根3本の内部に白く写る薬剤が根の先まで入っています。
続いてブリッジを支えるもう一本の左上5番の根の治療をやり直した時のレントゲンです。
治療後
ご相談の上ジルコニア製のブリッジをご希望されました。治療終了時の画像です。
その他
治療から1年後の定期検診時では見た目だけでなく検査上でも異常はなく正常に機能しています。
| 年代と性別 | 60代・男性 |
|---|---|
| はじめのご相談内容 | 左上奥歯に時々違和感があるとお見えになられました。 |
| 診断結果 | 拝見すると左上6番(左上第一大臼歯)を以前に失っておられ、左上5番(左上第二小臼歯)から左上7番(左上第二大臼歯)までつながった銀歯ブリッジが入っていました。(治療前画像) 銀歯の表面はかなり摩耗をしており、日常的に平均的な方より強い力をかけていることが推測されます。 レントゲンを撮るとブリッジを支える左上5番と左上7番双方はすでに神経がなく歯の強度は落ちているため、歯のヒビ割れも可能性としてありました。 またレントゲンから2本の歯の根の治療(根管治療)が不完全であることもわかりました。それが原因の異和感の可能性も否定できません。 症状の原因の特定のため、ブリッジを外して歯内部を観察する必要があると判断しました。 |
| 行った治療内容 | ブリッジを外して歯の内部を観察し、歯が割れていれば抜歯、割れていなければ根の中の治療(根管治療)を再度やり直すことをご提案し、ご了解が得られたので治療に入りました。 ブリッジを外し歯を観察したところヒビは確認できなかったため、2本の歯の根管治療を行いました。(治療中のレントゲン写真) 根管治療により異和感は消失したため、再度噛むことを回復するための治療方針のご相談を行いました。 歯がない左上6番に以前と同じようなブリッジを入れる方法、入れ歯を入れる方法、インプラントを入れる方法をそれぞれの特徴とメリット・デメリットをご説明いたしました。 その結果ジルコニア製ブリッジをご希望されました。ジルコニアブリッジをご希望された理由は不自然な金属色をなくされたいことと、少しでも治療精度を上げて長持ちさせたいとのご希望からでした。 治療方針が決まったため、根管治療後にグラスファイバー製土台を入れて歯の整形後仮の歯でブリッジを作製ししばらく日常生活上の問題がないかテストしました。 経過観察中に異常がなかったため、歯型をお取りしてジルコニアブリッジを歯に接着して治療が終わりました。(治療後の画像) |
| このケースのおおよその治療期間 | 約3か月 |
| おおよその費用 | 205,410円(グラスファイバー製土台2本と仮歯3本を含む) |
| 現在の様子 | 根管治療中に当初あった異和感はなくなり、治療後も再発していません。 治療後1年が経過していますが食生活や日常の問題はみられません。(治療1年後の画像) 現在は定期検診とメンテナンスで維持されていらっしゃいます。 |
| 治療のリスク | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります |
| クリニックより | 歯の異和感や痛みの症状はいろいろな原因で起こります。 容易に原因が特定できる場合もありますが、難しい時もあります。 この方のように噛みしめる力を慢性的に歯にかけておられる方は特に原因の特定が複雑になります。 |
