ロイテリ菌(善玉菌)で悪玉菌と闘う

三鷹駅から徒歩1分の歯医者、高岡歯科医院です。今回はロイテリ菌がどのようにして悪玉菌と闘うのか、お話ししてみたいと思います。

目次

ロイテリ菌(善玉菌)で悪玉菌と闘う

人類の生存は細菌などの感染症との闘いの歴史と共にあり、戦いに敗れた者は淘汰され戦いに打ち勝った者だけが生存し、そのDNAを後世が受け継ぎまた生存競争に挑み続けてきた歴史を繰り返して今日生きている私たちがいます。これからもこの戦いが延々と続いていきます。天然痘、コレラ、ペスト、スペイン風邪、結核、マラリヤ、インフルエンザ、サーズ、エイズ、最近では新型コロナCOVIT-19など多くの試練が過去や現在にあり、人類が根絶できたのは天然痘だけで、まだまだ現在進行形であるということができます。
感染症以外でも癌や白血病、心臓疾患などなど様々な疾患も淘汰の壁を作っています。

こうした壁を乗り越えるべく西洋医学を中心に感染症なら薬剤によって原因菌を死滅させる方向で奮闘していますが、体の中にいる善玉菌まで減らしてしまうという欠点を抱えていました。そこで近年見直されてきたのがそうした菌に打ち勝つ免疫を獲得する、または薬剤に頼らないで自然の力(善玉菌)を利用して善玉菌を減らさず悪玉菌を減少させる方法です。詳細は後述しますが、その方法をバクテリアセラピーと呼び、それを可能とするのがプロバイオティクスです。プロバイオティクスに属する乳酸菌の一種であるロイテリ菌が近年発見され、様々な検証を経てその効果が確認されて今私たちの手元に届くようになりました。

口腔内フローラとは

腸内フローラ(集合体)という言葉をご存知でしょうか。腸の中には約1000種類、100兆もの細菌が生息しており、これら多種多様の細菌がバランスを取りながら腸内環境を整えています。これら細菌は、体に良い働きをする善玉菌、体に悪い働きをする悪玉菌、そのどちらにも属さない日和見菌に大きく分類されます。3種類のバランスが崩れるとアトピーなどのアレルギー疾患や脳との相関などをはじめ体調不良や病気などを引き起こしやすくなるため、腸は健康の要と考えられています。

実は口の中にも口腔内フローラというものがあります。口の中に700種類、1000億もの細菌が生息しています。腸内フローラ同様、善玉・悪玉・日和見菌がバランスをとって存在し口の中の病気の発病や健康維持に関与しています。善玉菌が悪玉菌の増加を抑え、日和見菌の悪玉化を抑制することで健康を保っています。このバランスが崩れると虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。
さらに口は食道、胃、腸へと続く入口に当たるため、他臓器への影響も無視できません。歯周病原因菌が心臓から見つかったとの報告もあり、局部の問題と侮ることはできません。そして口は外界との出入口に当たるため、細菌などの感染物や異物が入る入口になることが多い特徴があります。こうした理由から人類は自らを守るために、適切な口腔内フローラや抗菌作用がある唾液を進化の過程で手に入れてきました。

細菌と「闘う」から「コントロール」への転換

細菌の単語からは汚い、危険のイメージが湧くことだと思いますが、皮膚には常在菌、腸内には腸内フローラ、口の中には口腔内フローラと実は人は菌と共生しており、菌の存在は不可欠なのです。問題となるのは菌がいる事ではなく、悪玉菌が増えることで起こる菌バランスの崩れです。

菌にも健康食として有名な発酵食品に欠かせない納豆菌や漬物のラクトバチルス、味噌の麹菌、各種乳酸菌などを始め、健康に欠かせない善玉菌が多数あります。しかし西洋医学的な考え方である殺菌は悪玉菌だけでなく善玉菌まで一網打尽に除菌・消毒・殺菌しようとするものです。その考え方に無理があることはご想像頂けると思います。そして口の中を消毒しても10分もすれば元通りの細菌数に戻るほど細菌の繁殖力は旺盛で、その場しのぎだということをご理解ください。口臭改善にマウスウォッシュと宣伝されていますが同じです。
人の身体には約700種500兆個以上、そして総重量が約2kg にもなる膨大な量と種類の菌が存在し共生しています。人類は進化の過程でこの共生を手に入れ、健康で生きて行くことができています。人の身体に不要なものなどなく必要だから菌と共生しているのです。この共生によって人本来の生きる力を生み、生涯の健康の鍵となることが研究で明らかになってきています。

薬剤によって悪玉菌もろとも死滅させるのではなく、善玉菌を増やし増えた善玉菌によって悪玉菌を減らして菌のバランスをコントロールする方法が薬剤による副作用もなく合理的かつ持続的な方法だと考えられるようになってきています。身体にとって有益な味方を減らさずに逆に増やすことができます。この考え方を実践しているのが一部の健康食品です。
知らず知らずに後で述べるバクテリアセラピーとプロバイオティクスを実践していることになります。さらに完全にはなくならない悪玉菌の増殖を抑えるために身体の免疫力をアップできればさらに安心です。この方法の一つがロイテリ菌を使った口腔内と腸内フローラの改善と維持です。ロイテリ菌の産生するロイテリンという抗菌物質により虫歯や歯周病、口臭抑制、体全体の免疫力向上に効果があることが判明しています。

バクテリアセラピーとプロバイオティクス

先ほど述べた薬剤による細菌の死滅からコントロールへの転換の考えかたを背景にして、病気の予防や治療を目的に善玉菌の補充という形で体内に常在する菌バランスを改善することをバクテリアセラピーと呼んでいます。
このバクテリアセラピーを実現するのがプロバイオティクス(共に生きるが語源)と呼ばれる善玉菌です。先ほど善玉菌で述べた納豆菌や味噌などの他にもキムチ、ピクルスなど多種多様の食品に含まれている善玉菌で、多くの発酵食品はプロバイオティクスですが一部ビールやワイン、ベーキングなどは逆の作用があると言われています。
プロバイオティクスは認知機能を改善し、うつ病、がん、アレルギー、関節炎、心臓病、喘息などの改善効果が確認されており、免疫システムを向上させて感染症や炎症、便秘、下痢などに対して効果があると言われています。
また乳酸菌には多くの株種がありそれぞれに特徴を持っていますが、今回ご紹介するのは乳酸菌の一種であるラクトバチルス・ロイテリ菌です。詳しくは「ロイテリ菌とは」でお話ししますが、ロイテリ菌にも色々な菌株がありその効能は様々です。全身状態、歯周病の程度や骨の状態によってもお勧めするロイテリ菌の菌種が違ってきますのでご自分に合ったものを選ぶ必要があります。

終わりに

人口増加による食料や水不足を背景に持つ大量生産や合理化、省力化、その結末ともとれるある種の食品添加物や農薬、環境汚染などが私たちの身の回りにあふれています。昔の生活に戻れない立場にいる我々は文明や進歩の代償ともいえる負の遺産と共に賢く生きていかざるを得ないでしょう。そんな食や環境の中に生きる私たちの身体に降りかかる感染などの病、多方面からの自己防衛が必要なのではないでしょうか。
歯科的な見地からは口腔内フローラを健全に維持していくこともその中の一つだと考えています。細菌と決別するのではなく副作用を生まずにうまくコントロールして共生していく、そして大きな努力や対価を必要とせず継続性がある、ロイテリ菌はその答えの一つだと思っています。
この効能に着目し私自身もほぼ毎日ロイテリ菌を摂取しています。身近な人にロイテリ菌を摂取してもらい体調が良くなったなどの肯定的な意見が多かったため、数年前から医院でもタブレットを取り扱うようになりました。ご興味がおありの方は一度お試しになられてはいかがでしょうか。

ロイテリ菌にご興味がおありの方は、当院ロイテリ菌ページをご覧ください。
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