10代女性「歯が欠けてしみる」深い虫歯で神経を残して治療し白い詰め物を入れた症例

2023.06.08

治療前

治療前画像

治療後

治療後画像

年齢と性別 10代・女性
ご相談内容 「歯が欠けて冷たいものがしみる。症状を改善し、できるだけ歯は末永く残したい」とご来院いただきました。
カウンセリング・診断結果 拝見すると、左上奥歯(第1大臼歯/6番)の頬側の一部が欠け、中はかなり深い虫歯でした。

10代と若く歯の神経が大きく張り巡らされているため、虫歯を完全に取り除く治療を行うと、簡単に神経まで到達してしまうと判断しました。

行ったご提案・治療内容 虫歯を完全に削り取った時点で神経が露出した場合、神経を取り根っこの中をきれいにする「根管治療」という一般的な治療方法と、リスクはありますが一部の神経に近い虫歯を残し、抗生物質を塗布して虫歯の除菌をして神経を残す「除菌治療方法」の2つの治療法をご説明しました。

通常の処置をすれば歯の神経を取ることになります。
神経を取ると歯はもろくなり、歯が再度欠けたり割れるリスクが生じます。
また、治療期間が長くなるだけでなく、虫歯が再発した場合は今まで以上に歯を広範囲に削り、大きな被せ物を入れることになります。
そして、神経を失った歯の寿命は健康な歯と比べて5~10年短くなることを考えると、一生は持たない可能性が高いといえます。

しみる症状は神経が細菌に感染している可能性があり、感染していれば神経を残すことはできません。
除菌治療が間に合うかどうか削ってみなければわかりませんが、歯の寿命を長くすることを最優先し、仮に手遅れの場合はその時に神経を取ることになりますが、まずは間に合う可能性に賭けることにしました。
治療した当日は抗生物質で除菌をした後にプラスチックで覆い、形を整えた後に仮歯を入れました。
仮歯でしばらく経過を見ていましたが、幸いにも痛みやしみる症状はなく、神経を残す治療が間に合ったと考えられました。

除菌治療後は、詰め物と歯が隙間なくピッタリして、再感染を起こしにくくすることが大切です。

歯を削る量を極力少なくするため、白い詰め物「ジルコニア」をご希望され、型取りを行い、セメントで装着しました。

治療期間 約4週間(除菌治療後の経過観察期間2週間を含む)
治療回数
費用目安 除菌治療と仮歯を含めて108,560円
術後の経過・現在の様子 歯に隙間なく詰め物が入ったため、冷たいものがしみることなく、噛んでも問題はありません。
患者様からは「しみなくなっただけでなく、歯の神経が残せてよかった。歯のお手入れと検診は大事だと理解できた」とおしゃっていただけました。現在は、定期検診とメンテナンスにご通院いただき、再度虫歯にならない努力をされています。
治療のリスクについて ・装着に際し、天然歯を削る必要があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります
・神経が感染していた場合には将来痛みが発生して神経を取る治療が必要になることが稀にあります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です
クリニックより 患者様はまだお若く、その分これからの人生も長いため、今後はここまで虫歯を進行させない日頃のお手入れと、定期的な歯科検診をお勧めしました。
今回も深い虫歯でなければ通常の虫歯治療で済み、神経感染リスクを心配することもないからです。
当院では除菌治療を始めて10年程経過しますが、多くの方々の神経を助けることができています。しかし、中には数年経って歯の痛みが出てきた症例も少数ありますので、将来まで全く心配がないとはいえません。
しかし全体のごく一部であることを考えると、虫歯が進行した現状における選択肢としては有益だと考えています。

その他

治療中

虫歯を染め出した画像
青く染まっている部分が虫歯です。虫歯の大きさがお分かりになることでしょう。
仮歯で経過観察
仮歯が入った状態です。

治療後

ジルコニアの詰め物咬合面

詳細は下記をご覧ください。
神経を取らない虫歯の除菌治療
ジルコニアを含めた詰め物・被せ物の種類