50代男性「銀歯が歯とピッタリ合っていない」根の再治療(根管治療)後に金歯入れ替えた症例
2023.09.28
治療前
治療中(銀歯除去時・根の治療後)
治療後
治療13年後
年齢と性別 | 50代・男性 |
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ご相談内容 | 特段の症状はありませんでしたが、定期検診時に銀歯の精度の問題から銀歯と歯の境目に隙間があり(歯と銀歯がピッタリ合っていない)虫歯になりやすいことをご説明したところ、再治療をご希望されました。 |
カウンセリング・診断結果 | 銀歯の不適合だけでなく、レントゲンからは根内部の治療が不十分で再発リスクがあると判断しました。 今回銀歯を外す機会に再治療を行うことが将来的な不安を取り除くことから歯にとって最適だと考えました。(治療前レントゲン写真) |
行ったご提案・治療内容 | 銀歯の被せものを撤去し根の内部の治療(根管治療)を行った後、2通りの治療法をご提案しました。今までと同じ保険の銀歯で被せる方法と奥歯で噛む力が強くかかる場所のため金合金にて被せなおす方法です。 銀歯は保険のためご負担は少なくなりますが、今回治療のきっかけである精度の不安は残ります。一方金合金は精度が優れており虫歯や歯周病に対して抵抗性があり歯と同程度の硬さのため、他の歯との調和に優れています。しかし費用がかかります。この歯も最初は虫歯になったことが治療の始まりで、その後何度も治療を繰り返し、神経まで取って今に至っています。 その歯にまた治療が必要になった経緯から、長持ちして歯にとっていい治療をお受けになられたいとのご希望でした。 ご希望に沿うのは今回再度根管治療を行い、耐久性と病気にかかりにくい金合金による被せものに入れ替える方法でした。最初に銀歯を外しました。その時のレントゲンですが根の内部の白く写る薬剤が細く根の中を緊密に満たしていません。この状態は再感染を起こすリスクがあることと、根の中にまだ細菌が潜んでいる可能性をはらんでいます。次の治療ステップでは古い根の中の薬剤を取り除き、根の中の消毒とクリーニングを毎週1回1か月行い根の中の細菌を死滅させました。根の中の細菌検査で問題が見つからなかったため、その後再感染の経路となる根の中をゴムに似た材質で封鎖しました。その時のレントゲンです。経過観察期間を挟んで、根の中に土台を立てて歯の補強を行い仮の歯を装着して噛むことや異物感などのテストを行いました。問題がなかったため、歯型を取り、最後に金合金の被せものを接着して治療は終了になりました。(治療後の写真) |
治療期間 | 約2か月 |
治療回数 | 8回 |
費用目安 | 136,620円(仮歯とグラスファイバー製土台を含めて) |
術後の経過・現在の様子 | 治療後は食生活だけでなく異物感などもなく、正常に機能しています。いつも歯のことが頭の片隅にあるのではなく、歯の存在を忘れてしまえることが最高の幸せではないかと考えています。 13年間定期的歯科検診とメンテナンスにお通いになられて治療後のいい状態を維持されていらっしゃいます。 |
治療のリスクについて | ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります ・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります ・装着に際し、天然歯を削る必要があります |
クリニックより | 根の中は直接見ることができない場所である上に根の中にはたくさんの脇道が存在することが多く、歯科治療での再発率が最も高い分野です。 そのため通常より長めの治療期間を持ち徹底的な消毒を行うことで再発を可能な限り少なくする配慮を行っています。 その分だけ治療期間が長くなり生活上の不便が生じますが、長い人生で何度も治療をするより一度は長くても再発が少ない方がいいと考えています。治療を重ねる度に歯が弱くなることも避けられます。この歯の治療してからも13年が経過した今も時折レントゲンを撮って確認していますが歯の内部の問題はありません。また被せた金合金も現在も健全であり日々の食事や生活面でのお困りはありません。 治療を繰り返してこられた過去と決別できていることがご本人と歯にとって何よりのメリットだと考えています。 |
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