20代男性「糸切り歯に神経近くまで深い虫歯ができた」神経を取らずに除菌治療で残した後、保険のプラスチックで治療した症例
2023.08.30
治療前
治療中(虫歯を青く染色した状態)
治療後
年齢と性別 | 20代・男性 |
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ご相談内容 | 他の歯の治療で来院された際に、左上糸切り歯(左上3番)に虫歯があることがわかりました。(治療前写真) |
カウンセリング・診断結果 | 正面からは虫歯が見えないことと、痛みやしみなどの症状もないため、ご本人は全く気づいていらっしゃいませんでした。治療前の写真で黒い点が写っているのがお判りでしょうか。この部分が虫歯の氷山の一角です。実際の虫歯はこの数倍以上内部で広がっています。治療中に虫歯だけ染まる染色液で虫歯を染めた状態(治療中の写真)ですが、まだまだ虫歯は残っています。
さらに年齢が20代と若いため内部の神経の大きさが大きく、そして虫歯の進行も早く深いことが多いため、すべての虫歯を取り除けば神経が露出し根の中の治療(根管治療)が必要になり歯の寿命が短くなる可能性があります。 |
行ったご提案・治療内容 | これから先の人生が長い20代で神経を失くし歯の寿命が短くなることはできれば避けたいものです。神経を取った後は差し歯も必要になり、外見や費用の問題も発生します。そうした観点から抗生物質を用いた除菌治療で神経を温存する方法をご提案しました。
しかしこの治療は確実なものではありません。現時点ですでに神経が感染している可能性が否定できず、また現時点で感染の有無を正確に判断することができないため、将来歯が痛んで神経を取る可能性があるのです。 ご本人に歯の寿命を長くすることに賭けてみたいとのご希望があり、こうしたご説明にご納得され、治療リスクもご理解いただけたので当日に除菌治療を行い、その後保険のプラスチックを詰めて治療は1日で終了しました。(治療後の写真) |
治療期間 | |
治療回数 | 1回 |
費用目安 | 6,600円(除菌療法)+保険の一部負担金 |
術後の経過・現在の様子 | 治療後も神経が助かったか否かの経過観察をしておりましたが、1か月を経過しても現時点では痛みやシミなどの症状はなくこのままの状態で生活されています。 今後は定期検診とメンテナンスで維持していきましょうとお話ししております。 |
治療のリスクについて | ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります ・神経が感染していた場合には将来痛みが発生して神経を取る治療が必要になることが稀にあります |
クリニックより | 糸切歯より奥の歯は食べ物を嚙み砕く仕事をするため強度と耐久性が必要です。そのためこの歯のようなプラスチックは不十分で強度と耐久性がある詰め物が適しています。 しかし今回は前歯である上に虫歯の深さは深いものの広さが大きくなかったため、健康保険内のプラスチックで十分でした。 |
詳細は下記をご覧ください。
・神経を取らない虫歯の除菌治療