70代男性「下の奥歯が噛むと痛い」抜歯後にインプラントを入れて噛める毎日を維持した症例

2023.10.28

治療前

 

治療前治療前レントゲン

インプラント術後

インプラント術後

治療後

治療後

治療6年後

 

年齢と性別 70代・男性
ご相談内容 下の奥歯(左下7番)が噛むと痛いとご相談を受けました。
カウンセリング・診断結果 拝見すると左下7番の歯には被り物が入っておりレントゲン撮影をすると神経がない歯でしたが、根の周囲に病巣はなく歯周病検査では頬側中央部の極一部だけにポケットの深い場所がありました。(治療前写真とレントゲン写真)
行ったご提案・治療内容 最も強い力がかかる一番後ろの歯であることとすでに神経がない歯であるため、根が割れたりヒビが入っている可能性を考えましたが状況証拠の範囲を出ません。
仮に割れていれば歯を助けることはできず、抜歯せざるを得ません。割れが確認できなければ根の中の再治療(根管治療)を行ってみて症状が変化するか否かを確認することになります。被り物を外して内部、特に根の部分を確認する必要があると判断し、ご提案いたしました。治療方針をご了解いただけましたので被せものを外し歯の内部を確認したところ、歯の頬側の歯周病検査で一部だけポケットが深かった場所にヒビが確認できました。当初の悪い予想通りであり、残念ながら抜歯せざるを得ない状態です。
抜歯後の選択肢としては、歯を抜いたまま放置する、入れ歯かインプラントを入れて噛む機能を回復する、この3通りがありご説明いたしました。抜いたまま放置をすれば噛む機能が減少することと、上の歯が下に伸びだし上の歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなり長い視点からは上の歯の寿命が短くなる懸念があります。患者様は入れ歯は避けたいとのお考えによりインプラントを選択されました。

抜歯後4か月後にCT撮影を行い、得られた画像からインプラント治療の可否、最も有利な治療位置と角度を探り、治療計画をご説明いたしました。
ご了解が得られたので抜歯7か月後に手術を行いましたが、事前のCT画像とは異なり実際の骨の回復が不十分でしたのでインプラントは入れずに骨の回復を後押しするために骨が不足している部分に骨の成分と近い人工材料を入れる造骨治療を行いました。インプラントは天然の歯と同じく十分な骨で支えられることが必要だからです。
その後抜歯1年後に再度CT撮影を行い、再度手術を行いました。今回は骨が十分回復しておりインプラントを入れることができました。(手術後のレントゲン写真)術後は翌日と3日後の消毒、1週間後に縫った糸を取り、後はインプラントと骨がくっつくのを待ちました。
骨の回復に期間がかかった経緯から通常より期間を開けて術後4か月で歯茎の下にもぐっているインプラントに土台をネジ止めするための2次手術を行いました。
そして骨とインプラントがしっかりくっついたのを専用の機械を用いて確認した後に仮の歯を被せて実際の食生活や日常生活上の問題がないかを確認しました。問題がありませんでしたので歯型をお取りしてセラミック(カタナ)をインプラントにネジ止めして治療が終了しました。(治療後の写真)

治療期間 約18か月
治療回数
費用目安 518,980円(インプラントと2回の造骨治療、仮歯を含む)
術後の経過・現在の様子 術後にはなんでも噛めるようになったとお喜びいただけました。
抜歯から7年、インプラント手術後6年が経過していますが、咀嚼や食生活・日常の問題はみられません。年4回定期的にメンテナンスと定期健診で通院されており、いい状態を維持されていらっしゃいます。
治療のリスクについて ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。
クリニックより 時折ご高齢の方から年齢的にインプラントを受けられるかとご相談をいただきます。投薬やご病気による制限がなく、歯を抜くような外科的な治療ができる方であれば治療は可能です。
今回は骨の回復に若干期間を要しましたが、その程度の違いしかありません。
それよりも年齢と共に食べることへの喜びの比重が大きくなってくる傾向にあることを考えると、日々よく噛めておいしいと感じられることの方が重要だと私は考えています。

セラミック(カタナ)の詳細はこちらをご覧ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
インプラントとは
インプラントの種類
インプラント治療を受けられない人
骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
インプラントと天然歯の違い
骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク