70代男性「銀歯の詰め物がとれた」虫歯治療後に金合金の詰め物を入れた症例

2024.03.04

治療前

左下奥歯の銀歯の詰め物がとれてお見えになられた70代男性の方です。銀歯が入っていた部分の歯に黒く写る虫歯がありました。

取れた銀歯を歯に戻すと、銀歯と歯の境目にわずかに褐色部分が見られます。取れて虫歯になった歯の状態と比べるとこの部分から虫歯が内部に広がったことが想像できます。この部分の銀歯と歯がピッタリ合っていなかったことが原因です。

治療中

虫歯だけを染色液を使って慎重に取り除いていきました。黒い部分はなくなりましたが、歯には大きな穴が開いています。

虫歯は口の中の虫歯菌の侵入によって起こります。虫歯除去で大きく開いた穴は神経にも近いため、再感染を防止するために詰め物だけでなく内部にプラスチックを埋めて二重に歯を保護しました。その後歯を詰め物に合わせて整形し歯型を取りました。

初日の治療は仮歯を入れて、歯の保護と歯の移動防止をしました。仮歯は次回取ることが前提ですし強度が弱いため食事で噛むことはできません。

治療後

見た目より虫歯再発リスクが低く耐久性がある金合金をご希望されましたので、来院2回目にできあがった金合金を歯に接着して治療が終了しました。

年代と性別 70代・男性
はじめのご相談内容 左下奥歯(左下第二大臼歯・左下6番)の銀歯の詰め物がとれてお見えになられました。
診断結果 拝見すると銀歯が入っていた部分の一部の歯に黒く見える虫歯が確認できました。(治療前画像1)
とれた銀歯を歯に戻すと銀歯と歯の境目に小さな褐色部分が見えます。(治療前画像2)
この部分は銀歯が歯に合っていないためその隙間から虫歯が発生し、銀歯内部で虫歯が拡大進行していったことが推測されます。虫歯を除去した後とれた銀歯を再接着することは不適合部分を残す結果になり、虫歯の再発を招くため詰め物自体を再製作する必要があると判断しました。
行った治療内容 痛みやしみる症状はなく、見た目にも虫歯があるとは考えておられなかった、銀歯の下にこれだけの虫歯が存在していた事実に驚かれました。
虫歯除去後に詰め物を入れ直す必要がありますが、今までと同じ銀歯、セラミック、ジルコニア、金合金の特徴やメリット・デメリットをご説明いたしました。
すでに左下奥歯を1本なくされていることと、歯を守ってこれからも長く快適に噛んでいきたいとのご希望により、見た目を譲ってでも噛みしめや食いしばり癖があるため耐久性と虫歯予防の観点から金合金の詰め物に決まりました。
初日に麻酔で痛みをなくした状態で虫歯を取り除くと、以前の詰め物で空いていた穴からさらに深く穴が空いてしまいました。(治療中画像1)
その穴を歯質保護の観点からプラスチックで埋め、さらにその上から詰め物を入れて歯を二重に守ることにしました。(治療中画像2)
この時点で詰め物に適した形に歯を整形し、歯型をとり、その日は仮歯を入れてお帰りいただきました。
後日でき上った金合金の詰め物をかみ合わせ調整後歯に接着して治療が全て終了しました。(治療後画像)
このケースのおおよその治療期間 2回
おおよその費用 103,340円(仮歯を含む)
現在の様子 治療後も食生活や日常の問題はみられません。
現在定期健診とメンテナンスでお通いになられており、今後も経過を観察し続けていく予定になっています。
治療のリスク ・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
クリニックより このケースのように銀歯が取れる、外れるケースによく出会います。
銀歯が取れるだけならまだしも、虫歯になったケース、さらに虫歯が進行して歯の神経まで感染を起こして神経を取らざるを得なかったケース、そうしたケースを見ると考えさせられます。
何とかしてもっと早く手が打てなかったのか、それともそもそ虫歯にならない選択肢はなかったのかとの思いです。
限られた保険財政の中で制限があるとは思われますが、銀歯の功罪を日々思います。