40代女性「上の前歯の差し歯がぐらついた後とれた」15年前にセラミックで治療した症例

2025.06.02

治療前

左上1番(左上中切歯)の被せ物が取れたとお見えになられました。歯が折れて歯ごと被せ物が外れていました。痛み等はありませんでした。

今回取れた差し歯がまだお口に入っていた、以前来院された時の状態です。

歯が途中で折れていましたが、他にヒビや根の中の問題が見られない状態でしたので、大掛かりな治療は必要なく被せ物を作り替えるだけで済むことがわかります。

治療中

グラスファイバーの土台を入れて歯の補強を行いました。隣の左上2番も治療をご希望になられましたので被せ物を外しました。

左上2番も歯の内部には問題がなかったため、同じくグラスファイバーの土台を入れて仮の歯を装着しました。

治療後

左上1番・2番(向かって右側)2本をセラミックの被せ物を入れて治療が終わった状態です。反対側の右上1番の歯の神経がないため、多少茶色っぽく見えます。その歯の色調に今回の2本をその色調に合わせると口元が暗くなります。そのため他の歯の色調に合わせることにご相談の上決まりました。

その他

治療から1年が経過した状態です。治療後と変化がみられません。

治療から15年が経過した状態です。セラミックは経年変化を起こさずきれいな状態を維持できています。また15年の間に反対側の右上1番・2番も同じセラミックに置き換わっており、口元が明るく綺麗になりました。

年代と性別 40代・女性
はじめのご相談内容 左上中切歯(左上1番)に被せてあった差し歯が10日ほど前からぐらついていたがその後とれてしまった。とお見えになられました。
診断結果 拝見すると歯が折れて被せ物が歯と共に外れていました。
補強のための土台(歯の中の芯棒)が入っていなかったことも原因の一つだと判断しました。
幸いにも痛みや腫れなどの症状、炎症所見はなくレントゲンでは根の割れなど根の中の異常は見られませんでした。
行った治療内容 残った歯の部分の問題がなく、また前歯がない状態を早期に解消するため土台を歯の中に入れて仮歯を装着して外見や咀嚼の改善をすることをご提案しました。ご希望になられたため、グラスファイバー製土台と仮の歯をお入れしました。
その後隣の左上2番もレントゲンから土台が入っていないことが想像されることをご説明したところ、その歯も土台と被せ物を作り直しされたいご希望があり、治療を行いました。(治療中のレントゲン)

最終的な被せ物には現状と同じ保険の硬質レジン前装冠と自己負担の金属の被せ物の表側にセラミックを焼き付けるメタルボンドクラウンをご紹介しました。
現在では金属を使わない治療法が主流ですが、16年前の当時ではまだジルコニアが臨床応用されていませんでした。セラミックの美しさを評価されご希望になりました。

仮歯が入った状態で他の歯の治療を挟みましたので全体としての治療期間は長くなりました。
治療を要する他の歯が奥歯であったため、かみ合わせの観点から奥歯の治療を先に行う必要があったためです。
仮歯での外見や使用感を確認後、歯型を取って最終的な被せ物(メタルボンドクラウン)を歯に接着して治療が終了しました。(治療後の画像)
このケースのおおよその治療期間 約10か月(他の歯の治療も並行したため)
おおよその費用 332,980円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む2本)
現在の様子 治療から15年が経過していますが食生活や日常の問題はみられておらず、またセラミックの変色しないことや耐久性から当時の美しさは変化していません。
この治療後は定期検診とメンテナンスで維持されていらっしゃいます。
治療のリスク ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより セラミックは保険のプラスチックより色調の再現性が高く、また変色がなく耐久性があります。今回のケースではお作りする2本の歯の色調をどの歯に合わせるかご相談しました。

隣の右上1番の歯と左下1番の歯は神経がないため他の歯より若干茶色ぽく変色しています。その歯に今回治療する歯の色調を合わせると口元が暗くなります。
将来変色した2本の歯をお口全体の歯の色調に合わせて白くする方法があることをご紹介したところ、今回の被せ物の色調を健康なご自身の歯の色合いに合わせることにご相談の上決まりました。

実際にこの治療8年後に右上1番はセラミックの被せ物により他の歯と調和のとれた白さの色調になっています。また12年後に左下1番はブリーチング(歯の内部からの漂白)で若干変色が緩和されています。(治療15年後の画像)