70代女性「左上下の奥歯に違和感がある」抜歯後にインプラントで回復した症例
2026.03.23
治療前
左上下奥歯の周囲が時々腫れ、現在は違和感があるとお見えになられました。レントゲンと歯周病検査から上顎の症状は銀歯が被っている左上6番(右から2本目)であることがわかりました。
治療前の下顎の状態です。この写真からはわかりませんが、レントゲンと歯周病検査から時々歯茎が腫れ違和感があるのは左下6番(奥から2番目の銀歯)でした。
治療前のレントゲンからは左上6番と左下6番の歯を支える骨がなく保存が難しいことがわかりました。また根の中の治療が不十分です。さらに右側上下に4本のインプラントが入っていますが噛み合っていないため手前のご自身の歯に負担がかかっている状態です。
治療中
抜歯後のCTによるインプラントのシミュレーションを行いました。歯を悪くした時の炎症により骨の頂上が平らでなく斜めになくなっています。さらに骨の下部には下歯槽菅(赤く写っている部分)と呼ばれる神経と血管が入っている部分がありその手前までしかインプラントを入れることができません。最も短いインプラントでなんとか治療ができそうです。
上顎の骨の厚みが薄く、一番短いインプラントでも上顎洞(鼻腔とつながった空洞)に突き出て通常の方法ではインプラントを入れられないことがわかります。インプラントの周囲全体が骨で囲まれ支えられている必要があるからです。
左上6番・7番にインプラントをお入れした時のCT画像です。骨の厚みが薄く通常の方法ではインプラントを入れられなかったため、骨を増やして厚みを厚くした中にインプラントを入れました。
治療後
治療が間に合わなかった左上6番と7番を抜歯後インプラント、左上4番の根の中の治療(根管治療)後に4番と5番にセラミックの被せ物と詰め物をお入れしました。
今回ご希望された左上下の奥歯の治療が終了した状態です。
左下5番・6番の2本を治療した今回の治療終了時の画像です。銀歯がセラミックに置き換わっただけでなく、治療の及ばない左下6番を抜歯とインプラント、その手前の左下5番の根の治療を行い将来的な不安を減少させることができました。
その他
左上4番(画面左端)の根の治療(根管治療)と左上6番と7番にインプラントを2本入れた時のレントゲンです。
左下5番んの根の治療(根管治療)と左下6番にインプラントを入れた時のレントゲンです。
| 年代と性別 | 70代・女性 |
|---|---|
| はじめのご相談内容 | 左上下奥歯の周囲が時々腫れ、現在は違和感があるとお見えになられました。 |
| 診断結果 | 拝見すると左上下には銀歯が入っており、レントゲンからは左上6番(左上第一大臼歯)と左下6番(左上第一大臼歯)の根管治療が不十分であり、また歯を支えるあごの骨が黒く溶けていました。歯周病検査では2本の歯に8mmの歯周ポケットがありました。 状況から判断して治療の限界を超えており保存はかなり困難だとご説明しました。また左上7番(左上第二大臼歯)もポケットとぐらつきがあり、芳しくない状態であることもお話ししました。 |
| 行った治療内容 | お口全体に進行した歯周病があることから、徹底的な歯周病治療を行うこと。 また全体的に根管治療が不十分であり将来的な不安があることから、保存できる歯に関しては再度根管治療を行うこと。 保存が厳しい歯に関しては残念ながら抜歯をしてでもこれ以上あごの骨が溶けて周囲の歯にトラブルが出ることを阻止することをご提案しました。 お忙しいため噛み合っていない右上下の奥歯インプラントの人工歯の治療は次の機会にし、今回は左上下の歯の治療のみご希望されました。治療計画(治療箇所や方法、期間、費用)をご説明したところご了承いただけたので治療に入りました。 ご家庭での歯磨きなど日常の清掃方法や道具のご説明と院内での清掃練習を行いながら、並行して保存が難しい左上下6番と左上7番の抜歯を行いました。 抜歯後の傷の治りを待つ間に左上4番と左下5番の根管治療(根の中の治療)を実施し、土台と仮の歯までお入れしました。 その後抜歯した左上6・7番と左下6番のインプラント検査後にインプラント手術を行いました。術前にCTで最適な位置と角度にシミュレーションを行い、オペ中にもCTで確認を行いながら計画通りに手術ができました。 インプラントが骨とくっつくのを待ってインプラントに仮の歯を入れてお口全体の噛み合わせバランスや日常での使用感をテストし問題がなかったため、歯型を取って最終的な被せ物を装着して治療が終了しました。(治療後の写真) |
| このケースのおおよその治療期間 | 約16か月 |
| おおよその費用 | 1,849,700円(インプラント3本、骨造り2本、被せ物・仮歯6本) |
| 現在の様子 | 歯茎の腫れや歯の異和感は抜歯後なくなり、治療後も食生活や日常の問題はみられません。 現在は定期歯科検診とメンテナンスで維持されており、右奥歯の人工歯を入れ替えて噛み合わせを修正する時期を待っている状態です。 |
| 治療のリスク | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります |
| クリニックより | 当院への来院は今回が初めての方でしたが、もう少し早くお出会いできていれば左上下の奥歯を治療により延命できたかもしれません。 ご自分で症状を感じた時は相当重症化した後であることが多く、定期歯科検診の必要性を感じる症例でした。 この世の万物は経年劣化を起こしますが人の体も例外ではありあません。 一種の老化とも捉えることができますが、できるだけそのスピードを緩くすることは今の医学でも可能です。 可能な限り健康維持と老化のコントロールをご一緒に行っていきたいと考えています。 |
