歯茎のトラブル

歯茎が腫れた、出血する、痛いなどの症状が起こっても、歯茎に原因があるとは限りません。歯や骨に根本原因があって結果として歯茎にトラブルが起こっていることがあるからです。

目次

歯茎に起こるトラブルの種類

歯茎のトラブルとその一般的な原因をご紹介いたします。

歯茎が腫れる・痛い

歯周病(歯槽膿漏)、智歯(親知らず)周囲炎、根尖性歯周炎、歯の根の割れやヒビ、外傷(ケガ)などが原因で起こります。原因が多岐に渡り原因毎に治療法も変わりますので、詳細や治療法は「歯茎が腫れた」をご覧ください。

歯茎から出血する

歯周病、虫歯、根尖性歯周炎、歯の根の割れやヒビ、歯並びや智歯周囲炎、外傷(ケガ)、ビタミンC不足などが原因で起こります。原因が多岐に渡り原因毎に治療法も変わりますので、詳細や治療法は「歯茎から血が出る」をご覧ください。

歯茎がむずがゆい

歯周病による軽度の炎症が考えられます。また歯のかみ合わせに問題がある場合、歯ぎしりや食いしばりで歯に慢性的な力がかかっている可能性もあります。
詳細は「歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖」「歯と歯茎に問題がないのに出る痛み」をご覧ください。

歯茎に違和感がある・歯茎を押すと痛い

歯周病根尖性歯周炎歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖、最も奥の歯であれば智歯周囲炎が考えられます。原因が多岐に渡り原因毎に治療法も変わりますので、リンク先ページをご覧ください。

歯茎にしこりや硬い物がある

歯茎を触ると歯茎が締まっておらずグニャと動く場合は内部が化膿している、脂肪の塊、唾液腺などが考えられます。化膿している場合は歯茎の腫れや痛みを伴う、またはそうした症状が一時休止した後に歯茎のしこりとして感じることが多いでしょう。化膿は細菌感染による炎症の結果であるため、早急に治療が必要です。原因としては歯周病根尖性歯周炎、最も奥の歯であれば智歯周囲炎が考えられます。
一方で歯茎を触ると硬く動かず出っ張っているものは骨隆起(外骨症)だと思われます。痛みを伴わず年月をかけて大きくなりますが、ある日突然気づき驚くことが多いようです。炎症や歯ぎしりなどの外力に反応して歯を支えている骨が歯茎の下で増殖して触ると硬く感じます。基本的には放置しておいていいものですが、増殖した骨は小さくなることはありませんので、邪魔になるようでしたらば外科的に削り取ることになります。

歯茎に入れ歯が当たって傷ができる

入れ歯が触れる頬の内側やピンク色した入れ歯の淵や内側と接する粘膜にできる潰瘍で、触れると痛みがあります。入れ歯が不安定な場合に食べ物が入れ歯の下に入り込んだ状態で噛むと傷ができて潰瘍になります。また入れ歯の淵に潰瘍ができる場合は、入れ歯の大きさが口に合っていない場合もあります。こうした場合は入れ歯の調整が必要です。
しかし入れ歯には問題がない場合もあります。服用中の薬の副作用などで唾液分泌量が少ない、または口呼吸により口の中が乾燥すると唾液の潤滑作用が失われて粘膜と入れ歯がこすれて傷ができやすくなります。この場合は水で濡れた状態の入れ歯を入れる、保湿ジェルを入れ歯の内側につけて装着するといいでしょう。また入れ歯や口の中が不潔な場合にも傷ができやすく感染して痛みやすいため、歯の歯磨きに加えて粘膜をガーゼで拭っておくといいでしょう。そして入れ歯を入れっぱなしにしておくと、粘膜が押され続けられることと不潔になるため、粘膜が入れ歯の形に赤く腫れぼったくなり傷に弱くなりますのでご注意ください。就寝時は原則的に入れ歯を外す、日中も時折入れ歯を外すなどで歯茎を休めてあげるといいでしょう。

歯茎に出来物がある

歯茎の出来物には多種多様のものがありますが、代表的なものをご紹介いたします。

口内炎・アフタ

周囲に赤味のある直径数ミリの円形で、表面が白っぽい潰瘍です。触ると痛みがあり、刺激がある食べ物や熱い、塩辛いものがしみます。原因は物が当たって粘膜に傷がついた、口の中の金属などのアレルギー反応、ストレスや栄養不良などが原因と考えられていますが、原因不明なものもあります。通常は1~2週間で治りますが、つらい場合にはステロイド軟膏の塗布を行います。再発を繰り返すこともあります。

口腔カンジダ症

偽膜性カンジダ症は点状や線状の白っぽいものが粘膜に付着しており、拭うと白いものが取れて下から赤みを帯びた歯茎が出てきます。白い付着物がなく赤味がある萎縮性カンジダ症もあります。カンジダ菌は誰の口の中にもいる真菌(カビ)の一種ですが、糖尿病や免疫力低下、ステロイドや抗菌剤の服用、唾液量の減少などにより菌バランスが崩れると増殖して発病します。

白板症

表面が白い点ではカンジダ症と似ていますが、範囲が広く拭っても取れてきません。原因はアルコールや喫煙、入れ歯などの慢性的刺激、加齢、ビタミンAやB不足などが関与すると考えられています。前がん病変(がん発症前に起こる疾患)でもあるため専門の医療機関にご紹介させていただきます。

その他の疾患

上記以外には、紅板症、扁平苔癬、ヘルペス性口内炎、帯状疱疹、手足口病、ヘルパンギーナ、口腔がんなどがあります。

歯茎の色が悪い

日常臨床でよく見かける部分的な歯茎の変色の代表的なものをご紹介いたします。
第一は皮膚と同様に生理的や加齢に伴ってメラニン色素が沈着するメラニン色素沈着です。病気ではありませんので特段の治療は必要ありませんが、審美上気になる場合は薬剤・レーザー照射による脱色や除去が行われています。
第二は過去に口の中に入った鉛・水銀・銀・亜鉛などの重金属による色素沈着があります。特に歯科材料で銀合金を使った場合に重金属色素沈着をよく目にします。歯に被せたものだけでなく、歯の内部に用いた場合でも起こることがあります。
この他にも悪性黒色腫など多くの疾患に伴って歯茎の変色が起こることがあります。

歯茎の病気の危険因子

歯茎を健康に保つ、歯茎のトラブルを解消するためには、大きく分けて2つの危険因子のコントロールが重要です。

プラーク(歯垢)のコントロール

虫歯と歯周病はプラーク(歯垢)の中の細菌が原因で発病します。根尖性歯周炎は主に虫歯が進行した結果です。こうした全ての元凶がプラーク(歯垢)ですので、これを除去する日々のお口の中の清掃(コントロール)が非常に大切なのです。
プラーク(歯垢)のコントロールの詳細はこちらへ

噛む力のコントロール

歯ぎしりや食いしばり、歯並びの悪い歯などにかかる強い力や慢性的にかかる力で詰め物が外れる、歯が欠ける、歯が割れるなどが起き、歯茎に炎症や感染が起きて腫れる事があります。こうした噛む力のコントロールが症状の軽減や解消だけでなく歯の寿命に関わってきます。
歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖の詳細はこちらへ

歯茎の病気を防ぐ方法

歯磨きなどの毎日の口の中のケアや定期的なメンテナンスで先ほど述べた「歯茎の病気の危険因子」を持たないことと、定期的歯科検診で危険因子の兆候があれば早期に治療することが大切です。いつまでも健康で美味しく楽しい食事をお送りください。