歯が悪い

歯が悪いという言葉をよく耳にしますが、悪いという言葉はお困りや不安を感じた時の感情表現で、その中身は多岐にわたっています。お困りや不安内容によって対処法が変わってきますので、個別にご紹介いたします。

目次

虫歯がある(歯がボロボロになった)

虫歯と歯周病は歯を失くす2大疾患ですので、逆に見ればこれら疾患に無縁であれば歯は長持ちして豊かな食生活を送ることができます。一見大きな虫歯に見えても奥深く虫歯が進行していないケースや逆に小さな虫歯に見えて実は内部で大きく広がっているケースも混在しています。また自覚症状がない場合もあります。見た目や症状だけで判断できないのです。歯がボロボロだとおっしゃって来院された方でも、治療を終えた今は歯の事を気にせず毎日美味しく食事をされていらっしゃる方がたくさんいます。虫歯になりやすい、虫歯が沢山あると諦めないで欲しいと思います。そうした今は歯に悩まされなくなった方々に共通するのは、途中で投げ出さず最後まで治療や予防を続けられたことです。

現在の虫歯の歯科治療はダメージを受けた箇所を修理して噛む・喋る・見栄えなどの回復を行うもので、虫歯になる前の健康な歯を残念ながら取り戻すことはできません。ですからなおのことダメージが小さい内に受診され、被害を最小限に抑えることが末永く歯と付き合っていく最善の方法だと思います。時計を戻すことはできませんので、いまこの記事をお読みになった今が虫歯に悩まされているご自分と決別するチャンスなのではないでしょうか?
詳細は虫歯治療をご覧ください。

虫歯になりやすい(歯質が弱い)

虫歯はお口の中の虫歯菌の出す酸によって歯が溶かされることで起こります。あまり熱心に歯磨きしないのに虫歯にならない人、毎日頑張って歯磨きしているのに虫歯になりやすい人がいます。不公平な話ですが事実です。この違いは遺伝的に歯質が弱く虫歯になりやすい家系だからだと思っておられる方がいらっしゃいますが、実は虫歯は歯質でなくお口の中の環境によって決まります。

一昔前には虫歯の原因は砂糖の摂取量が多い、歯磨きが不十分だと言われていましたが、現在は虫歯も科学的に研究され原因は口の中の環境だと考えられています。
詳細は虫歯になりやすい(歯質が弱い)をご覧ください。

歯周病がある

歯周病は口の中にいる歯周病菌の出す毒素や免疫細胞が歯周病菌と闘うために出す活性酸素による組織破壊を伴う感染症です。歯茎から血が出る初期の歯肉炎はお口の中の環境を改善すれば元通りに治りますが、さらに進行して組織破壊を伴う歯周炎になれば元通りには回復できないことが多い病気です。歯茎が腫れる、噛むと痛い、歯がグラつくなどの症状があれば歯周炎が疑われます。

日本人の成人の歯を失くす5人に4人が歯周病であり、生涯自分の歯で食事をし続けるためには避けて通れない病気です。重症を除けば現在は進行を遅らせる・止めることも可能になってきていますので、いかに炎症をコントロールできるかが鍵になります。そのためにはできるだけ進行させないうちに治療をお受けになられることをお勧めいたします。
詳細は歯周病歯周病治療をご覧ください。

歯が痛い

歯は痛みに敏感な三叉神経領域にあるため、その痛みは我慢できない程つらいものです。その痛みの原因は虫歯だけではなく、色々な原因で痛むことがあります。中には歯と歯茎に何の問題もなくても痛むことすらあるのです。

基本的には歯の痛みは鎮痛剤の服用では効果がないか、あっても痛みの原因はそのままなので一時的な症状の緩和しか期待できません。また今のひどい痛みもこれから襲ってくるさらにひどい激痛の前触れかもしれないのです。思い立った時がその時です。できるだけ早く受診され、痛みの原因を特定し治療を開始することが痛みの解消とこれから将来の歯の寿命に大きく関わってきます。
こうした色々な原因とその対処法に関しては歯が痛い原因と治療法をご覧ください。

歯が欠けた・折れた

歯が欠けたり折れる原因はいくつかあり、原因を特定しなければ同じ歯がさらに欠けたり、今度は他の歯が欠ける可能性もあります。今気づいた欠けは実際に起こっているダメージの一部でしかないかもしれないのです。
歯が欠けたまま、歯が折れたまま放置しておくとどうなるのか?どうして歯が欠けたり折れたのか、その際の治療法や応急処置に関しては歯が欠けた・折れたをご覧ください。

歯がグラつく

歯がぐらぐらする感覚を感じるのは、その原因は歯周病だけでなく骨や歯の根の周囲などの歯周組織に炎症が起こっている可能性、歯の根が折れた場合などで起こります。その直接の原因が発生した根本の背景を知ることが大切です。それはグラついた歯への対処法の判断に必要なだけでなく、他の歯にもこれから問題が起こる可能性があるからです。
どんな原因で歯がグラつくのか、その原因毎の治療法はどのようなものなのか、その詳細は歯がグラつくをご覧ください。

歯がしみる

歯がしみると虫歯と知覚過敏をご想像されることと思います。確かに頻度としてはそれらは多いのですが、その他にも原因となるものがあります。しみる程度なら我慢もできると安易にお考えにならず、次に襲ってくる痛みの前触れの可能性もありますのでご注意ください。この原因の特定には検査が必要なため、受診をお勧めいたします。
なぜ歯がしみるのか、どうすればしみは止まるのかなどの詳細は歯がしみるをご覧ください。

噛むと痛い

噛む度に歯の痛みや異和感を覚えるのは不愉快なだけでなく、食事が楽しくない、美味しくない、食べるのが面倒になってしまいます。噛むことは栄養補給だけの働きでないことが近年の研究からわかっています。認知症にも関与していると考えられており、宇宙飛行士の食事は以前のチューブに入った噛まずに栄養補給するタイプから固形食に変わっているのもこうした理由です。
噛むと痛い原因は虫歯や歯周病だけではありません。原因が違えば治療法も変わってきます。どうして噛むと痛むのか、その痛みは治るのか、どんな治療法があるのだろうか、そうした疑問やご不安をお持ちの方は噛むと痛いをご覧ください。

歯茎から血が出る

歯茎から血が出る場合は、歯茎に細菌感染による炎症が起こっていると考えられます。その原因は歯周病や外傷だけではありません。原因に合わせた治療法が必要なため、歯と歯茎の検査が必要になります。
歯茎からの出血は病状の一部であることが多く、実際の病気が表面化する前に出る症状であることが多いのが実情です。ちょっと血が出る位と甘く見ず小さな問題の内に病気の芽を摘むことがこれからの歯と歯茎の健康には大切です。原因によっては比較的簡単に治る場合とそうでない場合がありますので、受診をお勧めいたします。
詳細は歯茎から血が出るをご覧ください。

歯茎が腫れた

歯茎の腫れは細菌による感染が起こっている証拠です。歯茎だけの問題ではなく、歯茎を腫らしている根本原因が他にあることが多いため、歯磨きなど口の中を清潔にしたり薬を飲んで様子を見ることは賢明ではありません。
その根本原因は何なのか、その治療法はどのようなものなのか、歯茎の腫れは治るのか、などの詳細は歯茎が腫れたをご覧ください。

歯をなくした

歯を一本失い、また一本と次第に歯の本数が少なくなり、失った歯の本数が一定レベルを超えると急に噛めなくなる実感をお持ちになって医院にお見えになられることがあります。歯を失ったからといって人は食生活を変えることはあまりなく、少なくなった歯で同じ食生活をしようとするため、残った歯には以前より大きな負担がかかります。お神輿の担ぎ手が減った状態です。これが最初の一本を失うと五月雨式に次の歯さらに次の歯と失う負のドミノです。年齢と共に足腰が弱る歯に、さらに失った歯の負担まで押し付けている状態は長く続かないのです。
このドミノを止めるには、噛む力を負担する歯を増やすことが最も道理に合っています。噛む力を分散できるからです。失くした歯を補う方法には、入れ歯、ブリッジ、インプラントがありますが、それぞれの選択肢の違いや特徴が巷では語られていますが、この本質的な道理があまり語られていないような気がしています。
詳細は歯を失ってしまった方へをご覧ください。

歯並び・噛み合わせが悪い

歯並びが悪いことは噛み合わせが悪いことを意味します。しかし歯並びがよくても噛み合わせが悪いこともあります。
歯並びが悪い場合は審美上だけでなく、歯の機能が劣る、虫歯や歯周病に罹りやすく歯の寿命に悪影響がある、などのデメリットがあります。
噛み合わせが悪い場合は、一部の歯に強い力など負荷がかかりトラブルを起こしやすい、顎がスムーズに動かしづらい、口の周囲など肩から上の筋肉に緊張が起こり顎の痛みや頭痛、肩こりなどが起こりやすい、などの現象が起こることがあります。
詳細は歯並びが気になる方へをご覧ください。

歯の色が悪い(歯の黄ばみ・歯の色が黒い)

歯の色が悪いと感じる場合には、自分の歯の色に不満がある場合と、歯に詰めたものの色調が悪く歯の色と合っていない場合、歯と人工物との境目の色調が悪い場合、歯に被せた差し歯の色調が他の歯と調和していない場合、などがあります。
詳細は歯の色が悪い(歯が黄ばんだ・黒ずんだ)をご覧ください。
 
 

歯の形が悪い

人それぞれ顔には個性があるように歯の形にも個性があります。そして頭部の骨格や筋肉にも個性があり顎の動かし方も千差万別です。そのためその人固有の動きと調和した歯の形が最もその人にとって相応しい形なのです。人の歯の形が綺麗だからと言って自分の歯をその形にすることが生体にとっていいとは限りません。人工的な歯を作る時には、生体の許容範囲内でのきれいに見える形を模索する必要があります。
一方でご自分の歯が生えて来た時から他の歯や世間一般的な標準的な歯の形から逸脱している場合や、元は不自然ではない歯の形をしていたものの虫歯や歯が欠けるなどの後天的な事由により現在の歯の形に不満がある場合があります。
虫歯歯が欠けた場合はその程度にもよりますが、治療により修復することができます。

生来の形態から逸脱している場合についてお話しいたします。ご自身の歯が虫歯などに侵されていない場合は基本的には歯を削るような医療介入をせずそのままの状態が歯にとってはいいと考えます。
しかし審美上の不満が強い場合は、ラミネートベニアという人工的な歯を貼り付ける、差し歯などを被せる方法で改善することができます。歯と審美、どちらを優先されるかはご本人のお気持ちやお考え次第だと思います。