定期歯科検診とメンテナンス(クリーニング)

定期歯科検診とメンテナンス(クリーニング)の違いをご存じでしょうか?
目的が異なることと、その内容が違っています。その両者についてお話ししたいと思います。

定期歯科検診の効果

食事風景
欧米では早くから治療から予防に軸足が移っており、歯科に訪れる目的が大半が検診とクリーニングになっています。
そのおかげで多くの人々がご自分の歯で毎日の食事を楽しんでおられます。
やっと近年日本もその後を追いかけ始めました。
厚生労働省の調査では歯科検診の受診率は58%で6割近い人が利用しています。
昔は歯科医院といえば治療する場所でしかなかったものが、近年では予防や病気の早期発見のために訪れる場所に段々変わってきています。
この健康に対する意識の高まりを受けて、歯を失う割合がかなり減少してきました。
昔は高齢者といえば入れ歯が欠かせないものでしたが、現在はご自分の歯でおいしく食べておられる方々が増えてきたのです。
この背景には日本人の健康意識の変化による歯科検診受診率の高まりがあると考えられています。
歯科検診の義務化

定期歯科検診の目的

歯みがき1
虫歯や歯周病などの口の中の病気を重症化する前に早期に発見し、小規模な治療で済ませることが第一の目的です。
さらに現状の問題点を把握することで予防や病気の改善に役立てることも第二の目的です。

早期発見・早期治療(小規模治療)

歯科イメージ
歯科治療では病気になる前の健康な状態に戻すことが難しい側面があることと、
大規模な治療が必要になると噛むなどの機能は回復できても歯の寿命は確実に短くなること、
この2点からできるだけ治療を小規模で済ませられることが非常に大切なのです。

健康への軌道修正

長い年月自己流を貫き健康から大きくずれていく前に軌道修正を行うこと、
すなわちできるだけ健康から外れていかないようにする調整の役割が定期歯科検診にはあります。
そのためにできるだけ早期に病気の兆候を捉え、健康への軌道修正を行うことがこれからの人生において今できる最大の身体への補給なのです。
人生は長い道のりです。そして生きることは消耗することです。
途中で補給を怠れば道半ばで挫折することになります。
ここまでの人生を支えてくれた身体に「ありがとう、これからもよろしくね」と言ってあげて欲しいと思います。

定期歯科検診について

定期歯科検診の料金(費用)と保険

当院では保険で定期歯科検診を行っており、成人の場合は後でお話しする定期歯科検診の項目(内容)を行った場合には4,000円前後のご負担となります。

定期歯科検診の頻度

定期検診とメンテナンス
保険で定期歯科検診を行っているため、保険のルールで6か月毎の実施となっています。
しかし継続して健康状態を維持するためにはこの6か月間は長いため、その中間時点3か月で後でお話しするメンテンナス(クリーニング)をお受けいただきその間の経過や異常を拝見することをご提案しています。

定期歯科検診の時間

定期歯科検診における問診や検査、現状のご説明や注意点のご説明など下記の定期歯科検診の内容に要する時間は1時間ほどです。

定期歯科検診の内容(何をするのか)

1.治療後の経過のチェック

治療6か月後
虫歯や歯周病、詰め物や被せ物、入れ歯などの治療後の状態を拝見し、異常がないか維持できているのかなどの維持管理を行っています。
何らかの異常があれば現状の問題点のご説明やその解決策のご提案をいたします。

2.虫歯のチェック

今回治療の9年前のレントゲン
目視だけでなくレントゲンやレーザー検査機などを併用して歯と歯の間や詰め物・被せ物の下など一見してわかりづらい初期の虫歯がないか調べます。
初期の虫歯はしみる・痛むなどの症状がないため自己判断は難しく、
治療でも元には戻せない貴重な歯を最小限の被害で済ませることができます。

3.歯茎のチェック

歯周病3DS治療前
歯茎の炎症状態の有無、歯周ポケットの深さや出血の有無、歯のぐらつき程度、歯垢や歯石の量と付き方などを調べます。
初期の歯周病は無症状のため重症化するまで当人は気づかないものですが、
初期の兆候を捕まえることで重症化する前に治療を行うことができます。
歯周病がない方は健康である証が得られるだけでなく、歯石除去による歯周病予防につなげていきます。
検診後にはご自分では取ることができない歯にこびりついた歯石をきれいに取り除き、歯の表面をポリッシングして再付着を抑制します。

4.詰め物や被せ物のチェック

銀歯
当院での治療の有無にかかわらず、全ての詰め物や被せ物などに不具合がないか確認します。
特に詰め物や被せ物と歯の境目に虫歯ができることが多いため、目視だけでなく針で探る、レントゲンなども併用して検査します。

5.かみ合わせのチェック

歯周病検査やレントゲン検査で異常が見つかった場合やかみ合わせの問題が想定される場合には、かみ合わせのチェックを行います。
また来院時にかみ合わせがしっくりこないなどの感覚をお持ちの方にも行います。

6.磨き方のチェック

歯みがきをする女性2
虫歯と歯周病予防にとって最も効果があるのが日々のご家庭での歯磨きです。
今の歯磨きが将来のあなたの歯の健康を握っています。
しっかり磨けていると思っていても思わぬ場所に磨き残しがある、自己流の磨き方で歯垢が取れていない場所など、ご自身の磨き方の問題点を把握し、今日からの歯磨きに生かしていきます。

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定期検診

メンテンナスの目的

定期検診とメンテナンス
定期歯科検診は保険のルールにより6か月後となるため、その間の健康維持や変化の観察には少し期間が長すぎます。
次の6か月後の定期歯科検診との間の経過を観察することと、健康維持がメンテナンスの目的です。
後でお話しする内容により健康を維持するだけでなく、歯の着色や汚れを取り除き綺麗で白い歯を維持することができます。
メンテンナスのコンセプトは綺麗で健康な歯を維持し、治療を必要としない口の中になることで歯の寿命を延長して楽しくおいしい食生活を送るサポートなのです。

メンテナンスの頻度と費用


メンテナンスの目的が定期歯科検診間の健康維持が主目的であるため、その中間の定期歯科検診終了後3か月をめどにお勧めしております。
当院にはメンテナンスは3種類あり、費用は30分\4,400、60分\8,800、90分\13,200となっており、それぞれ行う内容に違いがあります。内容の詳細は下記料金表をご覧ください。
料金表

メンテンナスの内容(何をするのか)

DR
歯科検診は病気の早期発見が主目的ですから色々な検査を行います。
一方でメンテナンスは健康を維持するためのクリーニングが主目的ですので検査等は行わず、目視での経過観察とクリーニングを行います。
メンテンナスの内容は歯のクリーニング、PMTC(着色の除去を含む)、インプラント洗浄、歯と歯茎のトリートメントケア、歯肉マッサージなどです。
メンテナンスの種類により内容は異なります。
3つあるメンテナンスの実施内容は「料金表」をご覧ください。

メンテンナスのエヤーフロー、PMTCについて

PMTC
歯の着色や汚れを取り除き、その歯本来の色調を取り戻す方法です。
着色や汚れがないきれいな歯に戻すだけではなく、歯の表面をピカピカに磨くことで着色や汚れ、細菌の塊であるプラークを付きにくくする効果もあります。
虫歯や歯周病予防にも有用です。

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