歯の詰め物・被せ物が取れた
詰め物・被せ物が取れた時
三鷹駅から徒歩1分の歯医者、高岡歯科医院です。詰め物や被せ物が取れたことで来院されるケースがあります。
取れるにはそれなりの原因があることが多いため、単純にそのままつけるだけでは容易に再度取れることがあります。
その原因をなくすことでそうしたトラブルを防ぐことができるため、取れた原因を知ることが大切になってきます。
詰め物や被せ物が取れた原因は?
近年の歯科の接着剤は昔のものと比べると格段に性能が上がってきています。より強く接着するように、セメント自体の強度も強くなってきています。
しかし、現在使われている優秀な接着剤がない過去の時代の物が簡単に取れていたかというと実はそうではありません。現在でもかなり昔に治療がなされたであろう物を見かけることは多く、それらは今も問題なく機能しています。
つまり詰め物やかぶせ物が取れたということは、単純に接着だけの問題ではなく他に原因が必ずあります。
その問題を解決しなければ、再び付け直したり、同じように治しても同じ結果がまた起こります。
さらに今度取れる時には虫歯になっていたり、取れる時に一緒に歯が欠ける場合もあります。今以上の歯の損害と再治療による余分な時間と費用が必要になります。
得なことが一つも見つからないのです。
特に被せ物が取れた場合は歯が大きく削られていたり、神経を取る治療がされていたりと、歯が脆くなっているケースが多いため、歯の根が折れている可能性も考えられます。
被せ物は残っている歯をくるむ形で付いているため、歯の残っている量が少ないと同じ治療をしてもまたすぐに取れてしまいます。強いセメントを使っても結果は大同小異です。
そのようなケースではご自身の歯質の量を増やすことはできないため、取れにくいように別の対策を講じる必要が出てきます。
詰め物や被せ物が取れる代表的な原因は次の4つです。
第1は歯と詰め物の間にある隙間から発生する虫歯です。
銀歯など精度の劣る人工物に発生することが多い隙間から虫歯が段々奥に進行してセメント接着面積が減少したため接着力の低下を起こして何かの拍子で外れます。
第2は人工物の噛み合わせが他の歯と調和していない場合です。噛んだ時やあごを動かしたときに強く当たるケースが多くみられます。
そうした噛み合わせでは慢性的な力の蓄積で接着力が低下して外れることが起こります。
第3は詰めものや被せものなどの人工歯を受け入れるための歯の形作りが不適切な場合です。
歯と人工物はセメントの接着力だけでくっついているのではありません。
外れにくくするためには、力学的に安定する歯の形が接着力以上に重要なのです。
この原理は昔から変わらないため、接着力の劣る昔のセメントでも今でも外れない人工歯が存在する理由です。
第4は詰め物やかぶせ物を支える歯が欠けたり、歯を支えている根っこが割れて外れる場合です。
詰め物がとれたまま放置するとどうなってしまうのか
歯は表面のエナメル質、その下の象牙質、内部の神経という構造になっています。
内部へ行くほど感染に弱いため、虫歯で破壊されたエナメル質の代わりに詰め物や被せもので皮膚の表皮と同じように感染から歯を守っています。
ところが詰め物が外れるということは歯の中の象牙質がむき出しになっている状態です。皮膚の切り傷と同じで、非常に感染を起こしやすい状態です。外敵から身を守るためのエナメル質という城壁が破られた以上、ここからの虫歯の進行は早く、放置すればするほど深刻になります。
象牙質の感染では痛みやしみを感じないこともあるため、まだ症状があまりないと受診を先延ばしにされ、痛みやしみを感じて初めて来院される方がいらっしゃいます。
しかし症状を感じるということは、神経間近まで感染が起こっていることで、悪くすれば神経を失い歯の強度が落ちて長い目で見ればその歯の寿命を短くしてしまいます。その分だけ将来入れ歯になることが早まるとお考え下さい。忙しい、面倒と後回しにしたツケとしてはあまりにも大きい代償だと思います。詰め物が取れた場合はできるだけ早く受診をされることをお勧めいたします。
取れたのが被せ物であった場合は詰め物より歯を削っている量が多く虫歯から身を守るエナメル質が少ないため、虫歯が進行した場合より深刻な状態になりやすくなります。
また取れた状態は下と隣の歯同志の間に隙間ができている状態になっているため、そのまま放置すると噛みあう相手や隣の歯などが支えがなくなりその隙間に向かって歯が移動してしまいます。こうなれば取れただけでなく噛み合わせも狂わせて、問題が取れたその歯だけにとどまらず、お口全体の問題になってしまいます。
こうして問題が大きくなればいざ治そうとしても治療の範囲が広くなり、また本来削らなくてもよい歯を余分に削らなければならなくなります。
詰め物も大きければ同様のことが起きますが、かぶせ物はより問題が大きくなる、損失が大きくなるとお考え下さい。
詰め物と同様に取れたら出来るだけ早めの受診をお勧めいたします。
詰め物や被せ物が取れた場合、応急処置はどうしたらよいのか
応急処置はありません。救急車で済むなら病院は必要ないのと同じで、歯を歯ブラシで良く磨き、受診のご予約を早急に入れることだけです。
詰め物や被せ物が取れるにはそれなりの理由があって取れています。磨いても細菌は残り、理由も解消していません。
虫歯が原因なら進行の一途ですが、取れた場所の凹みに食べかすやプラークが残りやすく、虫歯の進行を助長したり歯茎の炎症を起こして腫れる場合もありますので磨かないよりはましとお考え下さい。
ただし治療時の歯と歯茎の状態を悪くしないで治療の正確性や痛みなどが減少するメリットはあります。
来院までの間は歯と歯の間に物が詰まりやすくなっている状態なので詰まったものを歯ブラシやフロスで取る様にしてください。
細菌の繁殖源になるので、虫歯や、歯肉炎、歯周病が進行しやすくなります。
くれぐれも接着剤でくっつけることはされないでください。取れる理由が残っている上に、後の治療が大変になる恐れがあります。
詰め物や被せ物が取れたところが臭い原因は?
臭いは残った食べかすの腐敗、細菌感染による臭いが考えられます。
食べかすの腐敗が起こることは虫歯と歯周病が発生しやすい環境です。
歯や神経のダメージが大きい可能性があり、大がかりな治療が予想されます。治療により歯の形が変わるため、取れとものを付け直すことは原則的にできなくなります。
この他にも神経まで感染、歯の根が割れている、あごの骨の感染などの可能性もあり、歯の寿命が短くなるだけでなく手遅れなら今歯を失うかも知れないのです。
症状は歯の損傷程度とあまり関係ないため、参考にされることなく歯の被害を拡大させる前にできるだけ早く受診されることをお勧めいたします。
詰め物や被せ物が取れた場合の治療法
先ほど述べたように取れるにはその原因があります。原因を無視して再度付け直しても歯にとって不利益になるケースが多いため、基本的には原因を解消する治療を行った上で再製作をお勧めいたします。
最も多い原因である虫歯の発生は、歯磨きの問題や人工歯の製作上の精度の問題などがありますが、歯科医に任せるのでなく一緒になって原因を考えることが大切だと考えています。
同じことを繰り返さず、歯を長持ちさせるためです。
今回は虫歯によってさらに歯質を失う、または根の中の感染による治療が必要で歯が弱くなることもあるかもしれませんが、今回の失敗から学ぶことができればその歯の損害は他の歯に生かすことができるため無駄ではなくなります。
当院では場当たり的な治療でなく、今と将来を考えた治療をご提案・実施しております。