50代男性「銀歯が歯に合っていないため虫歯になった」歯を削る量と耐久性を重視し金合金の詰め物に入れ替えた症例
2023.09.04
治療前
治療後
治療7年後
年齢と性別 | 50代・男性 |
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ご相談内容 | 左上一番奥の大臼歯(左上7番)に痛みやシミなどの症状はありませんでしたが、他の歯の治療で来院された際に肉眼的に銀歯が歯とピッタリ合っていないことをご説明しました。(治療前写真) |
カウンセリング・診断結果 | レントゲンでは白く写っている銀歯と歯の間に黒く写る微細な空間があることが読み取れます。このことは銀歯の下に虫歯か空間、またはセメントなど歯や銀歯とは異なるスペースがあることを意味しています。仮に虫歯であっても大きくないためシミや痛みなどの症状が出ない程度ですが、もし虫歯であれば進行することが予想できます。(治療前レントゲン) |
行ったご提案・治療内容 | 目視やレントゲンから銀歯が歯に合っていないことは確実であるため、仮に虫歯でなくとも作り直すメリットはあると考えました。 銀歯を外した後の治療の選択肢は3つあります。 第一は現在と同じ銀歯です。費用面ではご負担は少なく済みますが、作製精度の問題から現状と大同小異であるため、多少なりとも歯を傷つけてまで現在の銀歯を外すメリットがどれだけあるかですが、仮に虫歯があれば虫歯を取り除き進行を止めることができるのでそれでも価値はあります。 第二は治療精度を上げて虫歯抑制に有利に働くことと硬さが歯と同等で硬いものを噛んでも壊れない丈夫さと耐久性から金合金を使った治療にする方法です。費用が掛かる点が難点です。 第三はセラミックなど歯と同系色の材料で治療する方法です。審美面では有利ですが上の奥歯に審美がどの程度必要か個人差があることと、強い噛む力に耐えるには現状より多少歯を削る必要が生じます。費用も掛かります。治療する歯が上の奥歯で目立たない位置であることから今回は審美より噛むなどの機能と歯を削る量を最小限に抑え、耐久性と虫歯の再発を可能な限り少なくする精度の高い治療である金合金をご希望されました。初日に銀歯を外して中を見ると予想以上の虫歯があり、残った歯質が一部薄くなったため強度的に弱くなるため詰めるインレーではなく、ある程度歯質を覆うアンレータイプが必要になりました。 当日は仮の歯をお入れして次回まで経過観察としました。噛み合わせや異物感など使用上や経過に問題がなかったため、次回のご予約時に歯型をとりました。その次のご予約で金合金を噛み合わせ調整後、歯に接着して治療が終了しました。(治療後写真・レントゲン) |
治療期間 | |
治療回数 | 3回 |
費用目安 | 113,920円(仮歯を含めて) |
術後の経過・現在の様子 | 無症状であっても銀歯の下や周囲に虫歯があるケースが多々あります。今回もその一つでしたが、早期に治療できたことが二度と手に入らない歯にとって非常に有意義なことでした。 噛むことなど機能面での問題もなくしっかり噛めて日々の食生活を下支えしてくれています。 |
治療のリスクについて | ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります ・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります |
クリニックより | 7年経過していますが、何の問題もなく食生活を陰ながら支えてくれています。 当時は歯を削る量を最小限にするにはセラミックではなく金合金という選択肢しかありませんでした。 しかしその後ジルコニアの登場により今なら選択肢に加えることができるでしょう。他に銀歯が多数入っていることから多種金属によるアレルギーの懸念もあるからです。しかしそれがなく金属色を嫌わなければ精度が最もよく耐久性のある金合金は今でも大変優れている選択であることに変わりはありません。 |
金合金(PGA)など詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。