60代女性「銀歯の中で虫歯が神経近くまで進行した」除菌治療で神経を取らずに残し、白いジルコニアで治療した症例

2023.10.30

治療前

 

治療前

治療後
治療後

 

年齢と性別 60代・女性
ご相談内容 過去に銀歯の周囲や内部から虫歯が見つかった経緯から、他の銀歯とほぼ同時期に治療した右下親知らず(右下8番)に被せてあった銀歯を外して治療を受けたいとのご希望でした。(治療前写真)
カウンセリング・診断結果 銀歯を麻酔して外したところ、内部でかなり大きく深い虫歯が見つかりました。残念ながら銀歯はレントゲン上では白く写るため、銀歯の内部を外さずに確認する方法がありません。
虫歯は歯の内部の神経近くまで進行しており、シミなどの症状がないのが不思議なほどでした。
行ったご提案・治療内容 一般的な治療法では虫歯をすべて削るため神経を取り除く必要があり、そうすれば歯の寿命は短くなります。手前の2本の歯はすでに失っておりインプラントが入っていますので、右下奥歯で唯一ご自分の歯であるこの歯を長持ちさせたいとのご希望により、抗生物質を使った神経保存治療をご提案しました。すでに神経が感染している場合はこの治療は間に合いませんが、症状がないことから絶対ではありませんが間に合う可能性があると判断しました。

初日に銀歯を外した後神経近くの虫歯以外の虫歯を取り除き、抗生物質を虫歯部分に塗布しその上からプラスチックで覆って保護しました。さらに被せものの形に整えた後、仮の歯を入れてしばらくの間日常生活を行っていただき、痛みなどの症状が出ないか確認する期間を設けました。問題がないことを確認後歯型を取ってジルコニアを歯に接着して治療が終了しました。(治療後の写真)

治療期間 約1か月
治療回数 4回
費用目安 128,420円(仮歯とジルコニアと除菌療法)
術後の経過・現在の様子 ご本人も気が付かなかった虫歯を治療することができてよかったとお喜びいただけました。
5年経過した現在でも症状はなく、神経は温存できています。噛むことなどの日常生活上の問題もありません。
治療のリスクについて ・装着に際し、天然歯を削る必要があります
・硬い素材の場合、他の天然歯を傷つけることがあります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、ジルコニアが割れる可能性があります
・神経が感染していた場合には将来痛みが発生して神経を取る治療が必要になることが稀にあります
・一部の治療を除き、自費診療(保険適用外治療)です
クリニックより 抗生物質で神経を取らずに温存する治療にはリスクがあります。しかし通常の治療通りに現時点で神経を取るか、リスクをご理解の上神経を残してみて神経が助かればよし、治療が間に合わなければその時点で神経を取るというタイミングの違いになります。歯の寿命という大きなものがかかっていますので、賭けてみる価値のある治療だと考えています。また過去の治療成績を見ても助かる確率が圧倒的に高いこともお勧めする理由です。