30代男性「歯がボロボロでよく噛めないので何とかしたい」多数歯の治療で歯に自信が持てるお口の中に改善した症例

2023.10.31

治療前

初診上顎初診下顎

初診正面治療前PA

 

治療中(上顎)インプラントと根管治療

治療中右上治療中左上

治療中(下顎)インプラントと根管治療

治療中右下治療中左下

治療後

治療後上顎治療後下顎

治療後正面治療後レントゲン

年齢と性別 30代・男性
ご相談内容 「歯がボロボロでよく噛めないので何とかしたい。今まで歯を後回しにして受診を避けてきたがこの際しっかり治したい」とご希望されて来院されました。
お話を伺っていると、ご自身でもいつかは何とかしなければいけないとは思いつつも歯科治療が苦手で治療を先延ばしにされてこられたご様子で、周りの人から歯の状態を指摘されたことが受診のきっかけだったそうです。(治療前写真)
カウンセリング・診断結果 ご希望に沿うためには、多数の歯の治療と長期の治療が必要なこと、また長年虫歯を放置されていたため、お口全体の歯を虫歯の程度によりまだ助けられる歯と残念ながら手遅れの歯に分けてお口全体の治療計画が必要なことをご説明しました。
歯の状態から治療法によっては今ならまだ噛めて歯に自信を取り戻すことができると判断しました。このお話をした時に患者さんの表情がパッと明るくなったことを今でも覚えています。
行ったご提案・治療内容 治療はもちろん大切ですが、今までのお手入れと歯に対する関心を再確認することでこれから先の歯と口の健康が左右されることをお話ししました。過去は変えられないが未来は変えられるからです。日頃の歯磨きを含めたお手入れ方法や食生活のヒアリングとこの方に適した方法のご紹介をいたしました。

手遅れで抜歯せざるを得ない歯の代わりに入れ歯、ブリッジ、インプラントの選択肢とそれぞれの特徴やメリットをご説明しました。また治療により助けることができる歯の治療にも保険の範囲内と自己負担のものがあり、その選択肢のご説明もしました。

お口全体の治療が必要なケースですので費用負担も大きくなります。治療法によって回復できる程度や見栄え、日常の使用感と食生活、そしてこれから先の持続性などが変わってきます。その多数の項目を診療と並行してご紹介やご説明を行いながらご希望を何度も伺って最終的な計画を煮詰める作業を続けていきました。失った歯の部分全てにインプラントを入れると費用がかさむため一部はブリッジにして費用を抑え、被せものもセラミックではなくジルコニアを使うことで費用を抑えるご提案をしました。

こうしたご相談の結果作成した治療計画をご承認いただけましたのでその方針に沿って最初は抜歯と虫歯治療、歯の根の治療(根管治療)から開始しました。歯の治療と並行して歯石除去などの歯周病治療を合わせて行いました。来院を重ねる度に過去の反省から歯に対しての関心が高まってこられ、拝見するたびにお口の中のお掃除が上手になられてきました。
またこのような多数の歯の治療が必要になる場合には、歯が悪くなる前に比べて噛み合わせが狂っていることが多く、その場所だけ最終的な被せものを入れると歪んだ噛み合わせに合わせた治療になるため、当院では最終的な治療ゴールをまずご相談の上設定し、その治療計画にのっとって一部分から順次虫歯の治療や根の中の治療(根管治療)を行い仮の歯に置き換えていく治療法を取っています。
治療予定の歯が全て仮の歯に置き換わった時点で上下と左右、前歯と奥歯、全体の歯の噛み合わせの調和と機能の分担を考慮して仮の歯を修正する治療を行いました。崩れてしまった噛み合わせをできるだけ元の状態に近づけるためです。

この治療法の欠点は仮の歯の期間が長くなるため外れたり壊れるリスクが多いこと、仮の歯のため強度が低く噛むことに注意が必要な歯が多数あることが難点ですが、年数をかけて歪んで(崩して)きたものを元々の状態に近づけるためには避けて通れない過程です。

全体の治療が一段落して仮の歯に置き換わり噛み合わせの修正が終わった時点で、患者様と歯科医双方に問題がないことを仮の歯を使った日常生活で確認しました。こうして仮の歯で出来上がった治療のゴールの目標に合わせて最終的な被せものなどに置き換えていけば新たに獲得した噛み合わせを維持できます。
その後歯型をお取りして被せものを歯に接着して治療は終了しましたが、それまでの下地ともいえる抜歯や根管治療、インプラントなどの基礎的な治療に2年近くの長い期間がかかりました。基本的には治療中はその場所で噛むことを避けていただきたため、左側の治療中は右側の治療はしないなど治療中も噛める場所を確保しながらの治療であったことも長期化した理由の一つです。

具体的な治療内容は虫歯(プラスチック)2本、抜歯8本(右上5・6・8番、左上5・7番、左下6・8番、右下8番)と根管治療3本(左上4番、左下7番、右下5番)、そしてインプラント2本(右上6番、左下6番)、被せもの(ジルコニア)13本(右上4・6・7番、左上4・6・7・8番、左下5・6・7番、右下5・6・7番)、ブリッジ1か所(左上4・5・6・7・8番)でした。(治療後の写真)

治療期間 約2年
治療回数
費用目安 1,578,490円(インプラント2本、被せもの13本と仮歯を含んで)
術後の経過・現在の様子 お話を伺うと治療前は歯に自信がなく一種の劣等感のような感情をお持ちだったそうです。
治療により自信を取り戻され、治療でよくなったのは歯だけではなく人前で歯を気にせず平気で口を開けられるようになり歯に自信が持てるようになったと喜んでいただけました。
治療後も食生活や日常の問題はみられません。
治療のリスクについて ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います
・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。
・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。
クリニックより 長年放置されてこられた虫歯が多数あり、多くの歯の治療を余儀なくされました。また仮の歯で崩れてしまった本来の噛み合わせを取り戻すために治療予定のすべての歯に仮の歯をお入れして修正を行う必要があったため、多くの歯の治療が同時並行となり、期間も長くなりました。ただし一度獲得したこの噛み合わせを維持できれば末永く付き合っていけるものです。
ご本人も途中で疲れたり途中で中断しそうになったと伺っていますが、最初の「しっかり治したい」との初心を維持されたことで最後のゴールにまでたどり着けたのだと思います。この結果はご本人の忍耐と努力の賜物です。最初に治療計画をご説明し、今後の治療の展望や術後の日常生活のご想像をされたことと思いますが、ご希望を実現できたご様子に私たちも喜んでいます。「人と会食する際に以前はどこで噛もうかと考えながら会話していましたが、今は歯のことを忘れて喋っています。歯のことを忘れられる毎日がこんなに幸せな事だったとは想像もできませんでした。これでやっとスタートラインのつけたね、後はこれをどう維持していくかだよと妻に言われました」と最後の日に伺いました。この幸せを長続きさせるために、定期的歯科検診で問題点を早期に発見し、メンテナンスでそもそも病気にならない、今後は治療ではなくそうした関係を一緒に築いていきましょうとお話しさせていただきました。

右上の変化
治療前レントゲン治療後レントゲン

左上の変化
治療前左上治療後左上

右下の変化
治療前レントゲン治療後レントゲン

左下の変化
治療前レントゲン治療後レントゲン

治療の詳細は下記をご覧ください。
ジルコニア
根管治療(根の内部の治療)
はこちらをご覧ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
インプラントとは
インプラントの種類
インプラント治療を受けられない人
骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
インプラントと天然歯の違い
骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク