30代男性「左下奥歯がしみて歯が痛い」親知らずを抜歯し、手前の歯の根の治療(根管治療)後にジルコニアを被せた症例

2023.10.20

治療前

治療前治療前レントゲン

治療中(根の治療後)

根の治療中

治療後

治療後

 

年齢と性別 30代・男性
ご相談内容 左下奥歯(左下7番)がしみて歯が痛いとお見えになられました。
カウンセリング・診断結果 拝見すると左下7番には銀歯が入っていましたが、奥の親知らずが斜めに生えて左下7番に食い込んでいる状態のため、左下7番と親知らずの間に食べ物が詰まりやすく虫歯がありました。その虫歯は神経まで深く進行していることがレントゲンから読み取れます。
虫歯発生の原因を作った親知らずを抜歯し、左下7番の感染を起こしている神経を取り除き感染の拡大を止める必要があると判断しました。放置すれば感染はあごの骨にまで進行してさらに重症化する危険があります。(治療前写真とレントゲン写真)
行ったご提案・治療内容 親知らずの抜歯と左下7番の神経を除去する根管治療をご提案しました。しみや痛みの原因と対処法に同意が得られましたのでご提案通りの治療を行いました。
親知らずの抜歯を先に行うことで左下7番の虫歯が明確に見える状態で根管治療を行い、根の中の細菌がなくなった時点で根の中をゴム質の材料で封鎖し再度細菌が入り込まない治療を行いました。(治療中写真)
その後歯の強度を向上させるためにグラスファイバー製土台をお入れして仮の歯を装着しました。神経を失った歯は水分と血液の補給が絶たれてもろく弱くなります。グラスファイバー製土台の目的は弱くなった歯質を補強して噛む力に耐える強度を確保すること、また歯と同じようにしなり歯が割れるのに抵抗するのが目的です。
その治療と並行して虫歯の進行で根の部分しか残っていない左下6番の抜歯、左下5番の虫歯、その他にも10本以上の虫歯があったため他の歯やご希望されたインプラントの治療を順次進めました。治療予定の全ての歯が仮歯に置き換わった状態でお口全体の噛み合わせのバランスを仮歯で試行錯誤しながら歯が健康であった時代の状態に近づける努力を行いました。その結果の新たな噛み合わせに基づいて最終的な被せものをお入れすればいい噛み合わせが維持できます。そのため左下7番の被せものを入れるのに期間がかかりました。その後歯型をお取りし、最終的なジルコニアの被せものを歯に接着して治療が終了しました。(治療後の写真)
治療期間 約2年(他の歯の治療を含む)
治療回数
費用目安 78,470円(グラスファイバー製土台と仮歯を含む)
術後の経過・現在の様子 治療後はしみや痛みはなく、食べ物がつまらなくなりよく噛めるようになったとお喜びいただけました。食生活や日常の問題はみられません。
治療のリスクについて ・外科処置後に腫れ、出血が続く場合ががあります
・外科処置後に痛みが長引く場合があります。必要に応じ痛み止めを服用する必要があります
・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・治療中まれに器具の破折、被せ物や詰め物など修復物の損傷、歯の破折が起こる場合があります
・治療中や治療後に不快症状が出たり、治療後に痛みや腫れなどが生じたりする可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
クリニックより 前から8番目の奥歯のことを親知らず(智歯)と呼んでいます。多数の日本人のあごの骨が民族的に小さいため、他の歯のように真っすぐに生えないことがあり、このケースのように斜めや真横に生える場合がよく見受けられます。そのため虫歯や智歯周囲炎など歯周病を起こしやすく、しみや痛み、腫れなどのトラブルが起こることがよくあります。こうした事情から昔から「親知らず」と他の歯にはない不名誉な名前で呼ばれているのです。

このケースでは虫歯の進行により手前の7番の神経を失ってしまい、歯の寿命が5-10年も短くなってしまっています。6番も失っておられるため将来の左側での咀嚼に黄色の信号がついてしまっているのです。もっと早く親知らずへの対処ができていればと思われ残念です。
食べ物が詰まりやすい、歯ブラシが当てにくいなどがあれば何らかの対処を歯科医院でご相談されておくことをお勧めいたします。

詳細は下記をご覧ください。
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