60代女性「前歯の差し歯が壊れた。奥歯の銀歯がとれた。」お困り部分を保険の範囲内で治療した症例
2024.05.20
治療前
左上1番の差し歯の表面が壊れたと来院されました。多数の虫歯があることから丁寧な歯磨きをされておらず、また歯に関する関心が高くないことが想像されます。
左上1番の差し歯の表面に貼り付けてある歯の様に見せるための白いプラスチックが剥がれています。
右下6番(画面左下)の銀歯が取れたことも来院のきっかけですが、虫歯でボロボロになった歯もあり、他にも多数の虫歯がありました。
治療中
虫歯がかなり進んだため助けることのできない左下4番、右下6番、右下8番の抜歯、右上1番、左上1番、右下5番の根の中の治療(根管治療)後に下顎左右奥歯のブリッジ、ご希望された右上1番、左上1番の差し歯の作製をご提案しました。
隣の歯にも初期の虫歯がありましたが、ご希望により前歯2本だけ差し歯を外し根の中の治療(根管治療)を行いました。治療中は仮の歯を用いて外見の維持に努めました。
右下6番の抜歯後、手前の右下5番の根の中の治療(根管治療)を行いました。
治療後
ご希望された箇所だけの治療に留まりましたのでまだ小さな問題は残っていますが、前歯2本の外見の回復と下顎左右奥歯で咀嚼できるようになりました。
上顎は(正面の前歯2本)の治療後の状態です。
下顎の主な治療は抜歯後にブリッジにより噛む機能を回復したことです。
年代と性別 | 60代・女性 |
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はじめのご相談内容 | 左上中切歯(左上1番)の差し歯の表面が壊れ、右下第一大臼歯(右下6番)の銀歯がとれたとお見えになられました。 |
診断結果 | 拝見するとご相談を受けた部分以外にも虫歯や歯周病がありました。 お口の中のお手入れの問題もあり、ご自身の歯を維持していくための清掃と悪くなった部分の治療が必要だとご説明しました。(治療前の画像) |
行った治療内容 | 最小限の歯の治療を保険の範囲内でご希望されました。 治療箇所をご相談の上決め、治療計画をご説明しましたところ、ご了解を得られたため治療に着手しました。 現状を招いた根本原因はお口の中のお手入れが不十分であったことです。 そのため、日々の清掃方法や道具のご説明と実地練習を行いました。 それと並行して助けることができない歯の抜歯(左下4番、右下6番、右下8番)や根管治療呼ばれる根の中の再治療(右上1番、左上1番、右下5番)を行いました。(治療中のレントゲン画像) また小さな虫歯は取り除いた後プラスチックを詰め虫歯の進行を止めました。 治療の進行に伴ってお口の中の清掃が上手になってこられ、清潔な環境が維持できるようになってきました。 その時点で順次歯型を取り、最終的な人工歯(右上1番と左上1番の被せ物、左下345番ブリッジ、右下567番ブリッジ)を入れて治療は終了しました。(治療後の画像) |
このケースのおおよその治療期間 | 約8か月 |
おおよその費用 | 26,320円(仮歯8本)と保険の一部負担金 |
現在の様子 | 治療後も食生活や日常の問題はみられません。 ご希望された部分だけの治療であったため不安が多少残りますが、今後は定期歯科検診とメンテナンスで観察を続けていきたいと考えています。 |
治療のリスク | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・治療中に痛みを伴う場合があります ・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります |
クリニックより | お口の中の清掃が今後の鍵を握っています。 歯に関する関心をお持ちいただけるようになられたことが8か月間の治療を継続される動機となり、結果として治療後には最初にお会いした時と比べて別人のようなお口の中になりました。 この結果は歯に関するモチベーションを維持された患者さまの努力の賜物です。 治療による変化が目立つかもしてませんが、この意識の変化の方がもっと大きく、また今後の健康に有意義であることを長年の臨床から感じます。 |