60代男性「食べ物が挟まり歯茎が腫れて噛むと少し痛む」抜歯後ブリッジを入れて噛める日常を取り戻した症例

2023.11.23

治療前

4~5日前から左上奥歯(左上5番)によく食べ物が挟まり、また歯茎が腫れて噛むと少し痛むと当時60代の男性の方がお見えになられました。左上には被り物が入っており、外見上の異常は認められません。

治療前のレントゲン写真です。画面右から3本目の左上5番は神経がない歯であり、根の右側に黒く写っている骨の破壊像がみられます。何らかの感染が起こっており、それが原因で歯茎の腫れや噛むと痛い症状がでていることがわかります。

治療後

左上5番の根が割れていたため抜歯となり、その後前後の歯と失った歯をつなげた金合金のブリッジをお入れしました。噛みしめる癖がおありで、さらに強い力を歯にかける方のため丈夫で耐久性があり、歯と同じように摩耗する適度な硬さを重視して金合金をお勧めしました。左上5番だけ見た目を考慮してハイブリッドセラミックで表面を加工しました。

その他

治療2年後の状態です。食いしばりなど慢性的な強い力によって被せ物の表面が傷つき荒れています。もしこれが硬すぎる銀歯であればこうした摩耗は起こらず、歯を失った原因の一つであるこの力はすべてが歯の負担となったことでしょう。またセラミックであれば欠けたり割れたかもしれません。正に金合金で正解だったと思わせる画像です。

治療から12年後です。ブリッジの金合金部分は傷つき摩耗しながらも壊れることなくお口全体の変化に追随してくれていますが、歯がない左上5番のハイブリッドセラミックが一般より強すぎる力に負けて欠けてしまいました。

虫歯や歯周病の異常はなく、レントゲン上でも問題がみられません。欠けた左上5番のセラミックは、ご本人は「十分噛めるからこのままでいいよ」とおっしゃるように咀嚼上大きな問題ではないことと再製費用面から鋭利な部分を研磨をしてそのまま使用することになりました。

年代と性別 60代・男性
はじめのご相談内容 4~5日前から左上奥歯(左上5番)によく食べ物が挟まり、また歯茎が腫れて噛むと少し痛むとお見えになられました。
診断結果 拝見すると左上5番に少しぐらつきが認められ、頬側と内側の歯茎に腫れがありました。
食べ物が挟まりやすいのは虫歯の存在、歯と歯の間に隙間がある場合、歯と歯の間に噛み合う歯の凸部が噛みこんでいる場合、歯周病により歯にぐらつきが出ている場合などでも起こります。
しかし今回はレントゲンや歯周病検査などから歯にヒビ(割れ)による炎症を起こして歯茎が腫れたり歯がぐらついている可能性が高いと判断しました。噛みしめ癖がありまた噛む力が一般の人よりかなり強いこと、さらに5番は神経がないためもろく強度が弱くなっていることも理由の一つでした。
行った治療内容 仮に歯にヒビ(割れ)がある場合は歯を助けることができません。ヒビ(割れ)がなければ他の原因を探る必要がありますが歯を助けられる可能性があります。ヒビ(割れ)の有無が今後の治療法と歯の寿命に関わってきます。そのため銀歯を外して歯の内部を確認する必要があると考えご提案しました。しかし根の先など銀歯を外しても直接見ることができない場所のヒビである可能性も否定できません。

ご説明へのご理解と同意が得られましたので、銀歯を外しました。しかし内部を見るとヒビの存在が確認できませんでした。しかし麻酔をかけて歯茎を歯から剥がしてみると、根の部分での骨の破壊と歯のヒビ割れが確認できました。そのためご説明後その場で抜歯を行いました。

その後失った左上5番の代わりに噛む機能回復方法についてご相談いたしました。入れ歯、ブリッジ、インプラントをご紹介し、それぞれの特徴とメリット・デメリットをご説明しました。5番は神経がなく強度が弱い上に一般的な人より強い力を日常的に加えておられることから失ったと考えられるため、第一選択肢は力の分散の観点からインプラントです。ブリッジは手前の歯を現状より削る必要もありますが、支えになる4番と6番は神経がある比較的強い歯ではあります。こうしたご説明の後患者様はブリッジをご希望されました。

抜歯から2か月後に左上4・6番を支えにしたブリッジの仮歯をお入れしました。次回のご予約まで経過観察を行い、問題がなかったので歯型をお取りし、その次のご予約で金合金ベースで5番だけ金合金の上にハイブリッドセラミック(エステニア)を盛り付けたブリッジを歯に接着し治療が終了しました。
このケースのおおよその治療期間 約4か月
おおよその費用 318,580円(仮歯を含む3本)
現在の様子 通常より強い力を慢性的にかけられる方ではありますが、ブリッジを支える2本の歯に神経が残っているため5番のように割れることなく正常に機能しており、治療後も食生活や日常の問題はみられません。
治療のリスク ・治療中や治療後に痛みを伴う場合があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
クリニックより 一般の人より強い力をかかることは事前に予想できたのですが、5番は人目につく場所であるためハイブリッドセラミックで金属色を隠した設計に致しました。
これが仇になって治療から10年後にはハイブリッドセラミックの一部が欠けてきてしまいました。
表側はハイブリッドセラミックで白くしても噛む部分だけでも金合金を露出させて丈夫にした方がよかったと思われ、反省点です。
欠けた状態でも咀嚼能力の大きな低下は見られないご様子で、また再製費用面から鋭利な部分を丸く研磨して現在に至っております。

詰め物・被せ物の種類


噛みしめや食いしばり・歯ぎしりとその対応