当院の総入れ歯の作り方
当院で理想としている総入れ歯の作り方をお話しいたします。歯を失ってきた長い年月の間に知らず知らずのうちに色々なズレや狂いをお持ちのケースが多いため、現在のご不満内容によっては治療期間と費用がかかってしまうことがあります。
すべての方に当てはまる作り方ではありませんが、短期間で作製する健康保険の入れ歯では満足が得られない場合の理想とする治療の流れについてお話しします。ご希望内容や症例によって途中のステップを省略するなど、ケースにより異なってくることをご了解ください。
目次
お口の検査とご相談
現在抱えておられる不具合やご不満をお伺いします。お口の中の検査による現状の把握をし、ご不満等を解消する方法の検討の後、選択肢のご提示やメリット・デメリットと共に今後のご相談をいたします。
治療計画のご説明
ご不満を解消するための治療計画を作成し、その特徴や予想治療期間、費用などをご説明いたします。ご了解が得られ次第最初の入れ歯製作に入ります。
即時義歯
歯がないと外見が悪い、噛めないなど生活の不便を最小限にするための取り急ぎの応急処置的な入れ歯です。
入れ歯の完成度は不十分ですがその場を何とかしのぎ、この入れ歯を使いながら正式の入れ歯を作製することが目的です。抜歯後の傷や歯茎の状態が回復するのを待つ間に使う入れ歯ですから、抜歯前に予め作っておくこともあります。
症例やご希望によっては省略できます。現在使用中の入れ歯がある場合は必要ありません。
仮義歯(総入れ歯のみ)
歯を失くす前のあごや噛み合わせの位置が体にとって自然な位置のため、入れ歯が安定しやすく、噛むことなどの機能的な能力が最も得られやすい位置です。筋肉など口の周りの緊張状態が最も少ない位置でもあります。
しかし長い年月の間に歯を失くす過程で段々あごの位置やかみ合わせが本来の状態からズレてしまっていることが多いのが実情です。
このズレがある状態や筋肉の緊張がある状態のまま入れ歯を作ってもご不満のないいい入れ歯にはなりません。入れ歯を支える基礎に狂いがあるのに、その上でいくら頑張ってもうまくいかないのです。その本来の位置はご本人でもわからないため体に聞いていくことを繰り返すしか方法がありません。このズレを出来る限り本来の状態に戻すことが痛みもなく何でも噛める良い入れ歯を作る条件であり、それがこの入れ歯の役目です。
位置を模索するため足したり削ったりを繰り返し、治療に治療を重ねていきますので、審美性や咀嚼能力などの機能性は優先できません。仮義歯で入れ歯を受け入れるお口の中が変化し、またあごの位置も元々歯があった時代の位置に近づいてきます。次の入れ歯を作ることができる土台作りとお考え下さい。 そのため治療に期間がかかることを予めご了解ください。最低1ヶ月以上、 個人差がありますが2~3か月程度 入れ歯を調整しながら治療を進めていきます。いい入れ歯の土台作りの期間ですから気長にお付き合いください。
治療用義歯(総入れ歯のみ)
仮義歯で入れ歯作りの土台が出来上がると次のステップ、治療用義歯を作製します。
最後の入れ歯(最終義歯)を作り上げるために、仮義歯をお使いいただいた結果分かった、かみ合わせや顔貌との調和、発音、見栄えなどの良くない所を修正し、もう一段上の入れ歯を作り上げていくための入れ歯です。最終義歯の前の試行錯誤とテストでもあります。
どこで噛むのが最も力が入り安定するのか、前歯の位置はどこが自然で口元と調和するのか、発音は十分なのか、どういうときに外れやすいかなど実際に使ってみて患者さまと歯科医がお互いに確認しながら修正と調整を繰り返していくことになります。入れ歯の調整を繰り返しながら、さらなる入れ歯の実力アップを図ります。症例により1~数か月程度かけて段々いい入れ歯に変化していきます。
こうして日々の生活の中でのお口の動きを写し取りながら入れ歯の型を仕上げていいきます。期間をかけて体に合った型取りや噛み合わせを作ってきたことになります。治療が進むと、段々いろいろな問題が解消されてきますから、最終義歯のイメージがお互いに想像できるようになります。ここでお互いに納得のいくゴールを描くことができれば、目の前に最高の手本となる入れ歯あるのですから、それを元にいよいよ最終ステップの最終義歯に移ります。
最終義歯
ここまでの期間に色々な試行錯誤と修正の後たどり着いた治療用義歯は、治療に治療を重ねてかなりくたびれており、審美的とは言えなくなっています。しかしゴールを形にしたものでもありますので、それを元に作れば長く使えるきれいな入れ歯となります。それが最終義歯です。治療用義歯を元に最終義歯を作っていきます。概ね1ヵ月程度です。最終義歯を日常使いながらさらに微調整を繰り返して、ピッタリ合う入れ歯に仕上げます。
噛み合わせが狂わないように、人工歯を金属など食事で擦り減りにくい材質に置き換える方法もあります。こうすれば入れ歯が非常に長持ちします。修正しながら平気で10年以上使い続けておられる方々がいらっしゃいます。
ここまでして作り上げた入れ歯ですから後は日常のお手入れと定期検診を忘れずに末永くお使いください。
定期検診
お顔も全身も年々変化していきます。お口の中も同じです。入れ歯は変化しませんので、時折入れ歯をお口の変化に合わせる必要があります。末永くお使いいただけるように時折チェックされ、ご自分では気が付かない問題でも小さいうちに悪い目を摘むためにご来院ください。
〇入れ歯関連ページ
・入れ歯が外れやすい
・入れ歯が合わない
・入れ歯が痛い
・入れ歯で噛めない
・入れ歯で喋りにくい
・入れ歯の見た目が悪い
・入れ歯の手入れ方法と耐用年数
・入れ歯が気になる、食べ物がつまる
・入れ歯の種類
・入れ歯とブリッジとインプラント