保険と自己負担の入れ歯の違いとは

保険と自己負担の入れ歯の違いは、一般的に金属を使用して薄く仕上げたり、目立たない入れ歯、など主に材料的な違いとお考えになられている方が多いようです。
そうした側面も一部にはありますが、当院では両者の本質的な違いではありません。
精度が高くピッタリと合う、耐久性の違いなどがありますが、それも違いのほんの一部にすぎません。
入れ歯を作り上げていく過程にかける時間の差だと考えています。

ご自分の歯は骨の中にしっかり植わってびくともしないものでしたので何でも自由に噛むことができました。
しかし入れ歯は骨の中でなく粘膜というふにゃふにゃとしてぐらつく組織の上に載せるだけのものである上に、粘膜には知覚があり元来強い力を支えることができないものです。
その無理を承知で作るものが入れ歯ですから、時間と手間をかけて少しでもよく噛めて許容できるものに作り上げていこうとすると時間が必要です。

またなくされたのは歯だけではないのです。歯を支えていたあごの骨も痩せて少なくなっています。
かみ合わせやあごの位置なども昔の状態から変化してしまっています。
さらにその変化した状態に体は適応してしまっており、どこが元の位置なのか判断することが困難な場合が多々あります。
元の状態に印でもついていればそこまで回復するのは簡単ですが、口の中にはそのような印など一切ないからです。
変化した状態に慣れてしまった患者さまの感覚、本当の元の状態、現状の審美上や噛むことや発音などの機能、全ての最大公約数を模索していくのには試行錯誤を繰り返す必要があり、お互いに時間と手間がかかるものなのです。
これが保険の範囲を超えてしまう最大の理由です。

歯があった時代の本来の状態より入れ歯を短く薄く小さく作れば、こうした時間を省略することができます。
小さな入れ歯は邪魔に感じないので患者さまに受け入れてもらいやすい半面、入れ歯の安定が悪くがたつく、入れ歯と土手の間に食べかすが溜まる、よく噛めない、口元が痩せて貧相などの現象が生まれます。
歯があった元の状態から離れた状態なのですから当然といえば当然です。
患者さまに邪魔だと思われない限界ギリギリや機能向上を模索せず、手早く作れば限られた費用内で収まるため保険の範囲内でも成り立ちます。

ではすべてが保険適用外の入れ歯がいいかといえばそうでもありません。
今何を不便・不満に思っておられ、どうされたいのかが大切だと考えています。
噛める能力、痛みや異物感、見栄えなど人によって入れ歯に求めるものが違います。
どんな入れ歯が必要なのか、どんな食生活・日常生活を実現したいのか、そんな個人的なお考えでお決めになられるといいと思います。
その目標が保険の範囲内のもので手に入るのであれば費用も安くすむからです。

今後毎日お世話になる入れ歯ですから、納得のいくものが一番です。疑問やご質問はご遠慮なくお申し出ください。

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