50代女性「レントゲンで黒く映る歯の根の先の病巣が大きくなった」根の治療後セラミックを被せた症例

2023.10.13

治療前

 

治療前治療前レントゲン

根の治療終了時(根の中の消毒と薬剤による封鎖後)

 

治療中レントゲン

治療後

 

治療後

治療2年後(根の先の黒い影はかなり縮小しています)

2年後

 

年齢と性別 50代・女性
ご相談内容 10年以上前に他院で被せた左下奥歯のセラミックの被せもの(左下6番)は機能的にも問題はなく日常の食生活面でのお困りはありませんでした。以前からレントゲンでその奥歯の根の先に僅かに黒い影がありましたが、症状もなく定期的に検診にお見えになられる方であったため経過観察中でした。
カウンセリング・診断結果 ところが2年前の定期歯科検診のレントゲン写真で黒い影が以前より大きくなってきていました。(治療前写真)
歯の根は歯全体を支える基礎となる部分ですので、そこに問題が起こると歯自体の存続に関わるからです。目で見えない、症状がないからと決して軽視できません。
行ったご提案・治療内容 そのためこれ以上の感染の拡大を防止し根の中の感染を治す根の内部の治療(根管治療)をお勧めしました。できるだけ歯の寿命を長くされたいご希望により根管治療をお受けになることに決まりました。
被せもの人工歯を外し、根の中を消毒する治療(根管治療)を行い、内部の細菌感染が治まった時点で根の内部を薬で詰め再感染予防に努めました。(治療中のレントゲン)根の先の黒い影が消えるには早くても数か月、場合によっては1年以上かかります。次回のご予約まで症状が出ないことを確認して、神経がなくなった歯の強度の弱さを改善して補強する目的でグラスファイバー製土台をお入れしました。旧来の金属性土台は強度があり過ぎることとしなりがないため、強い力がかかった場合に土台より先に歯の方が割れることがしばしば起こります。その点グラスファイバーは釣り竿やテニスラケットなど適度にしなりと弾力があるため、歯のしなりに合わせて一緒にしなり、歯の割れや破損を少なくする効果があります。同日に土台と仮の歯をお入れし、しばらくお使いになっていただいて、噛むことや異和感などの問題が出ないかをテストしました。
再度噛むためにはこの上に被せものを装着する必要があるため、選択肢のご説明をしました。
第一は保険の銀歯です。費用負担は最小ですが、材質的に硬過ぎて他の歯に問題が起こる可能性があり、また治療精度が劣るため虫歯などを起こすリスクがあります。
第二は金合金です。強度と耐久性に優れ治療精度がよく虫歯に抵抗するにはいいのですが、金色で目立ち費用がかかるのが欠点です。
第三はセラミックです。見た目がよく硬さも適度である反面、費用がかかります。
治療前にもセラミックの被せものをお入れになられていたことから、セラミックをご希望になられました。
仮の歯で日常生活を送っていただいたテスト期間中に問題がないことが確認できましたので、その後歯型を取って最終的なセラミック(カタナ)をお入れして治療は終わりました。(治療後の写真)
治療期間 約2か月
治療回数
費用目安 163,520円(仮歯とグラスファイバー製土台を含めて)
術後の経過・現在の様子 根管治療により根の先の感染が治り、歯の寿命を脅かす部分が解消しました。また以前は噛み合わせ部分に金属があるセラミックでしたが、今回は全体をセラミックにしたため、喋ったり笑ったりするときに目立つことはなくなりました。噛むことなどの機能的な問題もありません。
治療のリスクについて ・まれに根管治療後も再治療、外科手術、抜歯などの処置が必要となる場合があります
・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります
・装着に際し、天然歯を削る必要があります
クリニックより 治療後2年とまだ短い期間ではありますが、定期歯科検診時のレントゲン(治療2年後のレントゲン写真)では、根の先の黒い影はかなり小さくなってきています。まだ完全とは言えないことと、再発リスクもありますので今後とも定期健診で経過を追いかけていきたいと考えています。

詳細は下記をご覧ください。
セラミック(カタナ)など詰め物・被せ物の種類や特徴
根の治療(根管治療)の詳細