50代女性「食事中に歯が欠けた」白いジルコニアで食いしばりや噛みしめで再度欠けにくくした症例

2023.10.12

過去の写真

以前

治療前

治療前

治療中(歯の整形と仮の歯)

治療中仮歯

治療後

治療後

 

 

年齢と性別 50代・女性
ご相談内容 食事中に左上小臼歯(左上5番)の歯が欠けたとお見えになられました。痛みやシミなどの他の症状はありませんでした。(治療前写真)
カウンセリング・診断結果 過去の写真と見比べながらお口を拝見すると歯の一部だけが当たり所が悪く何らかの拍子で欠けたのか、または食いしばりや噛みしめ癖による強すぎる噛む力で欠けたのかは不明ですが、ご自身の歯の一部が小さく欠けています。
こうした癖によって歯が痛む、歯がすり減るなどのトラブルを過去にもご経験のある方でしたので、後者を疑いました。虫歯はなく痛みやシミなどの症状もないことから歯の表面で欠けはとどまっていると判断しました。
行ったご提案・治療内容 このままでは欠けた場所に食べかすが詰まるため容易に虫歯になってしまいます。何かで欠けた部分を補修しなくてはなりません。
簡単な治療としては欠けた場所だけに保険のプラスチックを詰める方法があります。しかし歯が欠けるような強い力がかかっている場所に強度が弱く耐久性の劣るプラスチックではそう長く持たないこと、治療を繰り返すたびに歯を削らなくてはならず段々歯が弱くなることをご説明しました。またプラスチックは摩耗による噛み合わせの狂いが生じる可能性があります。
銀歯は歯に比べて硬すぎる材質のため噛み合う他の歯を摩耗させることがあり、噛みしめなどの癖のお持ちの方にとってはその弊害が非常に大きくなりますのでお勧めできませんとお話しいたしました。
それ以外の選択肢は金合金とジルコニアとセラミックですが、通常は問題なくとも食いしばり癖を考慮に入れるとセラミックは欠けるリスクがあります。この症例にとって最も適しているのは金合金、白い色調を求めるなら次善の策としてジルコニアです。金合金は噛みしめや食いしばりなどの慢性的な強い力に耐える耐久性があり、かつ適度の軟かさがあり他の歯の硬さと調和するためお口全体の変化に追随すること、治療精度が高く虫歯などにかかりにくいなどの優れた特徴があり金合金の持つ特徴が捨てがたい症例も存在します。しかし上の歯とはいえ奥歯より前方の歯で人目を気にされる女性としては金属色は受け入れ難いとのお考えでした。そこで近年登場した材質であるジルコニアを再度ご提案しました。セラミックの仲間であっても強度があるため、食いしばり癖にもある程度対抗できると考えました。難点は多少歯とは色調が違うことですが、金属色ではありませんので審美上は有利です。以前に入っていたハイブリッドセラミックを取り除き欠けた場所を含む形に整形しました。(治療中写真)欠けた部分だけではどんな材料を使っても長期間噛む強い力に耐えきれず取れるため、古い詰め物の形と一体化することによって強度と外れにくいことを狙うためです。続いて歯型を取り、仮の歯をお入れして初日の治療が終わりました。
次のご予約で出来上がったジルコニアの詰め物を歯に接着・噛み合わせ調整して治療が終わりました。(治療後の写真)
治療期間
治療回数 2回
費用目安 92,950円(仮歯を含めて)
術後の経過・現在の様子 歯が欠けて虫歯になるのでは、またさらに欠けるのではないかというご不安がなくなったとお喜びいただけました。
治療後も虫歯発生の心配がなくなり、また痛みや咀嚼、日常生活上の問題はなく快適な日々の食事をお送りになられています。この場所の歯は前歯でなくとも笑うと口角付近から顔を出す場所ですのでご希望に沿うことができました。
以前から定期検診にお通いのため、今後も経過を拝見させていただく予定です。
治療のリスクについて ・治療中に痛みを伴う場合があります
・治療後に正しい歯磨きやメンテナンスを怠ると、虫歯が再発する場合があります
・治療後は神経が過敏になっているため、痛みが生じる場合があります
クリニックより 歯は本来は咀嚼し続けることができることが最需要です。それには長年の耐久性、虫歯や歯周病にかからないことですが、近年は機能だけでなく審美が重要視されています。これら全てを満たすものは天然歯だけです。人工的なものには何かリスクがあるものです。
天然歯にはない人工的なものの特徴、メリット、デメリット、これらの中から治療で用いる何か一つをどうやって選んでいけばいいのでしょうか。皆さんお顔も違うようにお考えや価値観も異なります。その方に合ったまたはご希望に沿った方法をご提案するように日々心掛けています。

ジルコニアなど詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。
歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖について
歯同志の接触で痛みなどの症状がでる、またその対処法とは