歯と歯茎に問題がないのに出る痛み

歯ぎしり・食いしばり・噛みしめ癖で歯や歯茎が痛い、歯がしみるなどの症状がでることをご存知でしょうか。歯が摩耗したり欠ける、歯が割れるだけではないのです。
さらに歯や歯茎には問題がないと診断され、原因不明の痛みの一部にも関わっていることをご存知でしょうか。

目次

虫歯でも歯周病でもないのに歯や歯茎が痛い理由

歯や歯ぐきに痛みや不快感があり他院を受診したものの歯と歯ぐきには問題がないと診断されたが痛みが止まらないなど、虫歯や歯周病(歯槽膿漏)にかかっていないのに歯や歯ぐきが痛むなどの症状で来院される方が最近増えてきています。その原因の一つがが、弱い力で上下の歯を長時間接触させる癖です。この弊害はまだあまり知られていません。

食事中に上下の歯同士が接触するのはほんの一瞬、食事の時間が仮に30分として実際に歯に力がかかる時間の合計は数分程度です。食事以外の歯の接触を入れても歯と歯が触れ合う時間は17分とされています。人類は何億年もかけて今の状態に進化してきました。24時間の内の短時間歯に力をかけたら歯がダメになるようでは生物として今生き残れていないでしょう。
ではなぜ虫歯もない、歯周病にも問題がない歯や歯肉が痛むのでしょうか?それは軽い力で歯同士が長時間接触することが原因であることが多いのです。 硬い物でもガリガリと砕くことのできる歯がそんなことで痛むのか?と信じられないかもしれません。
強い力で思いっきり噛むことは数分と続けられないものですが、歯が少し触れ合う程度の弱い力であれば非常に長い時間か噛むことができます。この弱い持続的な力であっても歯は休む間なく負担を背負い続けさせられるために、歯、歯を支える歯周組織、アゴの筋肉、顎関節に影響を及ぼし、歯の痛みやシミなどの症状を歯ぎしりと同様に引き起こすことが分かってきました。

皮膚を指で軽く押してみてください。皮膚から赤みが消えて白くなるでしょう?そうです、その貧血状態が歯を支える組織に長時間続いているのです。
そんな簡単なことでこんな痛みなどが出ることをまだ信じられないかもしれません。しかし血液の流れが止まると人の体は腐敗し、貧血状態が長時間続くと歯や歯茎などの組織は健康でいられなくなります。その初期症状として痛みという形で体は警告を発しているのです。
根本原因はまだ十分解明されているとは言えませんが、歯を無意識で接触させる原因はストレスの多い社会状況が関わっていると考えられます。実際に発症した時期を伺うと、仕事や家庭のストレスや疲労などの増加時期と不思議と重なることが多いので無関係ではないと思います。

長時間の弱い歯の接触(TCH)とは

TCH(Tooh Contacting Habit)(歯牙接触癖)とは東京医科歯科大学の顎関節治療部の木野孔司先生が考えた概念で、先ほど述べた上下の歯を持続的に接触させる癖です。 このTCHを改善すると原因が不明な痛みや顎関節症など多くの症状の改善が見られています。

TCHの発見の方法として何もしていない安静な時に上下の歯同士が接触していないかどうかで確認できます。
口を閉じ、一番楽な状態で力を抜いてみてください。その時上下の歯の間に正常であれば隙間があります。隙間がなく上下の歯が触れ合っていたら日常的に歯同士が接触している可能性が高いと思われます。
あなたは何もしていない時や仕事や家事の時に上下の歯が接触していませんか?正常な人は接触しておらず上下の歯は1~2mm離れているのが普通です。離れていないのが日常のため、それが正常だと思っておられる方が結構いらっしゃいます。この文章を読んでいる今、歯を接触させている方は実は正常ではありませんのでご注意ください。異常さに気づいていない、それが問題なのです。

持続的な力によって歯への障害だけでなく歯を支える組織の血行不良を招き歯肉や骨の健康を害し、また筋肉疲労が蓄積して顎の関節まで障害が及ぶこともあります。実際にTCHを解消することで原因不明の歯のしみや痛み、歯周病の軽減、顎関節症の軽減などがみられています。
歯を失う原因の中の一つが噛む力によるものですから侮ることはできません。

TCHの対処法とは

ご自分で作った症状ならご自分でしか治せません。そのためにはまずご自分が歯同士を接触させていることに気づくことから始める必要があります。それが最初の一歩でありかつ究極の治療法です。
しかし今の自分が異常な状態だと理解したとしても、歯の接触を無意識で行っていますからなかなかやめることができません。しばらくすれば忘れてしまってまた歯を接触させてしまいます。

歯の接触これに対してはしょっちゅう自分に「歯が接触していないか?」と問いかけ、接触していれば1mmでいいから歯同士を離す、この気づき回数を増やしていきます。この頻繁な自分への確認で歯を離すことを習慣化しその状態が無意識で継続できるように自分に刷り込んでいきます。地道な行動ですが続けていかないと効果は出ません。癖はそう簡単にやめられないからです。多少時間がかかりますが、気づきの回数が多ければ悪い習慣をやめて新しい良い習慣の獲得は可能です。

実際の方法としては職場や家庭の自分の周りにポストイットをあちらこちら目につく場所に多数貼ります。書くのは「歯を離す」でもいいでしょうし自分だけが分かるマークや文字でも結構です。それを見たら自分に「歯が離れてますか?」と問いかけるのです。一度問いかけをしても仕事や家事に注意が向かってすぐに忘れまた無意識に接触してしまうので、ポストイットに目が留まることを気づきのきっかけにするのです。

できれば貼るのは目立つ同じ色が望ましいでしょう。なぜなら一週間も経てばそのポストイットさえも通常の風景になり気づきのサインにならなくなるためです。その風景に慣れてきたらポストイットの色を変えてください。新しい色が刺激になりまたサインの役目を続けてくれます。こうして期間が経てばいつのまにか歯を接触していないことが通常になってきます。気づけばいつのまにか症状が消えていることに気づくでしょう。必要なのはポストイットだけですから是非試してみてください。「こんな簡単なことで?」と最初は疑いたくもなるでしょうが、たくさんの方々からお喜びの声を頂いています。

また疲労やストレスがあると、長時間の細かい仕事やパソコン、運転などをしていると無意識に上下の歯を接触させている場合があります。時折息抜きや休憩、歩く、ストレッチなどで気分転換することをお勧めします。

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