八重歯になる原因と治療法

八重歯
「八重歯になる原因は何ですか?」とご質問を頂きました。
以前は日本人には八重歯を可愛いと感じる風潮がありました。
しかし欧米では昔からドラキュラの歯と呼ばれ嫌われている歯並びの一つで、欧米の影響か日本でも近年は気になる方が増えているようです。

ご質問されたご本人は歯ができる時から八重歯の形になってしまったのではとお考えでしたが、そうではありません。
一種の奇形を除いて歯は通常の形をしていますが、その歯(糸切り歯)の生えるスペースが狭くて本来の場所に生えることができずにズレた位置に生えてくるので八重歯と呼ばれる歯になります。
要は歯の問題ではなく歯の生える場所の問題なのです。

八重歯になる理由

生えるスペースの狭さは色々な原因で起こります。
あごの骨の発達が小さい、乳歯の虫歯を放置していたため奥の歯が前倒しに移動して本来のスペースがなくなった、糸切り歯が成長する位置がズレていたなどが一般的な原因です。

  • あごの骨の発達不足によるスペース不足

あごの骨の発達は、遺伝的要素や栄養バランスだけでなく噛み応えのある食物をよく噛んで食べることで活発になります。
子供の好きな食べ物はオムライス、カレーライス、アイスクリーム、サンドイッチ、ヤキソバ、スパゲッティー、メダマヤキと言われ、頭文字を取ってオカーサンヤスメと言われています。
どの食べ物もさほど噛まずに済むものばかりです。
子供時代に食べた物の記憶は味覚や志向傾向として一生残ります。
また子供時代は将来の身体を作り上げる時期でもあります。
噛むのに力が要らない食生活で育った子供はあごの骨の発達が不十分になるのです。
小さなお子さんがいらっしゃるお母さんは、栄養バランスとともに噛み応えのある食べ物を取り入れて見られてはいかがでしょうか。

  • 乳歯の虫歯放置による奥歯の前方移動によるスペース不足

昔と比べてひどい虫歯は激減していますが、歯と歯の間の虫歯は気づきにくいため放置されることがよくあります。
そこが虫歯になればその分だけ奥の歯が前に動くことがあります。歯には移動して歯と歯の間を埋めようとする特徴があるからです。
この歯の移動により最後に乳歯から永久歯に生え変わる糸切り歯の生えるスペースが狭くなり、糸切り歯は仕方なく唇側にズレて生えて八重歯になってしまいます。
乳歯はどうせ生え変わるのだから重要視されない傾向にありますが、永久歯の生える場所を決める働きがあることを忘れないでいただきたいと思います。

さらに、子供時代は1年で体重も身長も驚くほど増えます。
勢いよく成長する時期で、この時期に一生の身体の基礎を作ります。
この時期の栄養摂取を司るのは多くは乳歯なのです。乳歯を大切にしていただきたいと思います。
虫歯の存在に気づいたときはそれなりの大きさになっていることが一般的ですので、定期的に歯科健診をお受けになられるといいでしょう。

八重歯の治療法

年齢が若くまだあごの骨の成長が望める場合は矯正治療によってあごの成長を促す方法があります。
しかし成人になってからではあごの成長は多くは望めないため、永久歯を抜歯してできたスペースを使って小さなあごの中に糸切り歯を誘導する矯正治療が一般的です。