入れ歯はどうして合わなくなるの?


入れ歯の耐用年数についてご質問をいただくことがあります。
一般的には3~5年と言われているようですが、10年以上お使いの方も多数いらっしゃいます。
結論から申しますと、どなたにも合致する正確な年数はございません。
それは入れ歯が耐用年数を迎えて使えなくなることより、圧倒的に歯や入れ歯を支える粘膜・骨の経年的な変化によって入れ歯が合わなくなって来ることが多いのが実情だからです。
この変化の程度は人様々であるため、何年で使えなくなると断言できないのです。

どうして入れ歯が合わなくなるの?

  • 虫歯や歯周病で歯が悪くなった、歯を失った

部分入れ歯は残った歯に針金などを引っかけて入れ歯を安定させる構造になっています。
その歯が虫歯や歯周病で弱くなると入れ歯を固定することが十分にできなくなり、入れ歯の具合が悪くなってきます。また歯を失うとその分入れ歯の大きさが大きくなり不安定になり、入れ歯を支える歯の本数が減っても同じく不安定になります。その分だけ以前より具合の悪い入れ歯になってしまうのです。
また噛めていたご自身の歯を失ったため、余計に入れ歯に負担がかかることも一因です。

  • 入れ歯を支える粘膜や骨(土手)が痩せた

基本的に入れ歯は歯と違いあごの粘膜で噛む力を負担しています。
本来噛む力を負担するのは骨の役割なのに無理を承知で粘膜に負担させているため、入れ歯の使用が長年に渡ると骨が痩せていく構造になっています。
これが年数が経つと段々入れ歯が合わなくなってくる一因です。
正確には入れ歯が合わないのではなく、口の中が変わっていっているとご理解いただきたいと思います。

お口の中の変化を加速させるものとは

このなだらかな変化を加速するのが、残っている歯の健康状態(虫歯や歯周病)、噛みしめや食いしばりの癖の有無、入れ歯の作り方や設計などです。
こうした事柄がどの程度あるのかによって変化度合いが左右されます。
そしてその変化はあごの骨が痩せていくなどマイナスの方向です。
合わなくなったから作り直すのはいいとしても、このまま今までと何も変えなければどんどん具合の劣る入れ歯しか手に入らなくなることをご理解ください。
変化のスピードを遅くしていくことを治療やご自身のケアによって改善することができれば今よりもいい入れ歯ライフが手に入ります。

変化を最小限に抑えるために

このマイナスの変化、実は入れ歯の不具合の大半を占めているものですが、患者さまも歯科医も入れ歯に原因を求めているので何度も入れ歯を作り直しているのが現状です。
少しでも長く使ってもらえる入れ歯はマイナスの変化の少ないことの証明ですから、持ちうるいろいろな方法を駆使していかなければなりません。
一例を挙げると昔は難症例であったものが、近年インプラントの出現により入れ歯と併用することで不便の解消とマイナスの変化の減少が同時にできるようになってきています。
変化の減少が結果的に長くお使いいただける入れ歯につながって、患者さまの努力とともに快適な入れ歯ライフのお手伝いができると考えています。

入れ歯とインプラントを併用してしっかり噛める入れ歯を入れた症例

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