歯周病治療の流れ
歯周病は生活のありようによって引き起こされる生活習慣病の一つです。
そのため歯磨きをする、歯石を取るだけでは改善しないこともあり、もっと広い範囲から生活とお口を見直していくことが重要です。
実際の歯周病治療の流れについてご説明いたします。
現状の把握と今後の予測
治療の前に現状を把握するため、レントゲン検査と歯周病検査、かみ合わせなどお口の中の検査を行います。
これらにより歯周病の進行度合いを判定することに加えて日頃のケアや現在お口の中にある歯の力、今後の予測などを検討します。
治療の前提条件
歯周病は生活習慣病であるため、今までの生活に潜む病気になった原因を解消しない限り治らない病気です。
医療機関にお任せではなく、一緒に病気と向き合うことが改善への鍵になります。
具体的には生活リズムや日頃のケアの問題点をご一緒に探していきます。
一見地味な項目に見えるかもしれませんが、これらがこれから行う治療の成否を握っているといっても過言ではありません。
病気になった原因がここにあるからです。
治療計画の立案
病状は人により様々です。例えば歯茎の下がりは歯周病でも起こりますが、歯並びや食いしばりなどの癖、強いブラッシングなどいくつかの原因があります。
歯茎の腫れも歯周病だけでなく歯の内部の感染でも起こります。
現状の問題点を起こしている原因を明確にした上で歯周病の進行状態を勘案することで今後の治療の方針を立てることができます。
お口の中の状態や今後の治療方針、治療の流れ、日々の生活で注意することなどをご説明いたします。
歯周病治療の開始
歯周病治療のポイントは3点です。
① 生活の見直し
歯周病は生活の在り方で発症する生活習慣病ですので、まず最初に今の生活を見直されることが大切です。
歯周病を起こしやすい生活（睡眠不足や生活リズムなど）や食生活（栄養素だけでなく咀嚼の仕方など）がないか、ご一緒に検討していきます。
仕事面やご自身のお考えもおありでしょうが、身体あってのことですから、歯周病の目線で一度検討されてみることをお勧めいたします。
ここに原因があれば、治療で一時的によくなってもすぐに再発してしまうからです。
② ご自宅でのお手入れ
今おやりになられている歯磨きなどのケアが正しいのかどうかを検討されてみてはいかがでしょうか。
日頃の臨床では意外にやったつもりになっているケースが多いからです。
ご自身に合ったケアの方法なのか、適した道具をお使いなのか、不得意な箇所はないのか、やったこととやれたことのズレを実際に歯科衛生士と一緒になって埋めていくことは非常に大切です。今の病状の改善だけでなく、これから先の再発と予防にも関わってきます。
必要な場所がきちんと磨けているのか、歯磨きの頻度、力の入れ方や動かし方、どのような道具をお使いなのかなど、たくさんの確認すべき事柄があります。
歯並びや食べるもの、口の大きさや形、全て人それぞれです。
ご自分に合った歯磨き方法を取り入れれば、効率と効果が全く違うことにお気づきになられると思います。
歯磨きについては「正しい歯磨きの基本やコツ」をご覧ください。
③ 歯周病治療
歯周病の進行度合いにより治療内容は変わりますが、上記①②が治療の前提となります。
歯肉炎など軽度の歯周病の場合は、歯茎から上の歯についた歯石やプラーク（歯垢）の除去と歯面の研磨が基本です。
中度の歯周病の場合は、軽度の治療後に歯茎の下の根の周囲についた歯石やプラークの除去と歯と根の表面の研磨、時により投薬も行います。
必要に応じてかみ合わせの調整や歯の連結固定なども行うことがあります。
重度の歯周病の場合は、軽度・中度の治療後に投薬や3DSなど局所的な薬の貼付を行います。
治療の限界を超えている場合は抜歯になることがあります。
治療内容の詳細は「歯周病治療とは」をご覧ください。
歯周病治療のステップ毎に治療の効果確認やその治療で改善が及ばなかった場所の確認を目的として歯周病検査を行います。
治療で改善しなかった場所について次の歯周病治療ステップを行い、その治療ステップが終了した時点で再度歯周病検査を行うことを数回繰り返していきます。
歯周病検査で問題点がなくなった時点や、歯周病が消退状態になった時点で一旦治療を終え、次の定期検診とメンテナンスに移ります。
定期検診とメンテナンス
治療で改善した状態を維持することで歯の寿命や日常の食生活水準の向上を目指します。定期検診は6か月毎、メンテナンスはその中間の3か月をめどにお勧めしています。
定期検診は虫歯や歯周病を早期に発見して被害が大きくなる前に進行を止めることが目的で、メンテナンスは歯と歯茎のクリーニングとも呼ばれるように病気になりづらい体を目指す予防目的です。
当院では多くの方々が治療後に定期検診とメンテナンスにお通いになられて健康を維持されていらっしゃいます。
私たちと一緒にお口の健康と楽しい食生活を守っていきましょう。