60代女性「歯の治療後からこめかみとあごが痛く、噛み合わせがしっくりこない」抜歯後にインプラントを入れてかみ合わせを修正した症例
2023.09.30
治療前
治療中
治療後
治療2年後
年齢と性別 | 60代・女性 |
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ご相談内容 | 半年前に左上奥歯(左上6番・7番)に前医でセラミックを入れてから噛み合わせがしっくりこず、左こめかみと下あごに痛みがあるとお見えになられました。 セラミックを入れた後の発症から考えると第一は噛み合わせに問題がある可能性、第二は噛み合わせを支えている歯に問題がある可能性が考えられるとお話ししました。(治療前写真) |
カウンセリング・診断結果 | レントゲンで左下奥歯(左下7番)の根左の先に黒く写っている病巣がありました。(治療前レントゲン) この状態では噛み合わせに支障がでても不思議ではありません。 |
行ったご提案・治療内容 | 2つの可能性のうち確実に問題があるこの歯(左下7番)の治療を優先するご提案をしました。せっかくセラミックを入れたのですから、治療を進めても症状が変わらない場合に半年前に治療した左上の人工歯を噛み合わせ調整や外すなどの治療に着手しても遅くはないと考えました。
根の先に陰のある左下奥歯(左下7番)の銀歯を外したところ、歯はほとんど残っておらずすでにかなりダメージを受けた歯でした。(治療中の写真) 抜歯後数か月を経てインプラントの可否や診断のためのCT撮影、治療計画のご説明を経てインプラント手術と足りない骨を増やす治療(増骨治療)を行いました。(治療中レントゲン) 数か月後に仮の歯で経過観察をした後問題がありませんでしたので、最終的なセラミック(カタナ)を入れて治療が終了になりました。(治療後の写真) |
治療期間 | 約1年半 |
治療回数 | |
費用目安 | 510,990円(インプラント・骨造り・仮歯を含めて) |
術後の経過・現在の様子 | 以前のつらい症状はなくなりましたが、時折軽くでることもあります。 噛み合わせは歯だけの問題ではありません。そうした時は噛みしめていないか、姿勢など歯以外のことも気をつけて症状のコントロールを行っています。食事以外にも過剰に歯に負担とあごに負担をかける食いしばり傾向にあることと、左側に荷重がかかりやすくなる頭を左に傾ける癖など姿勢にも注意を払っていただいています。現時点では治療後まだ2年しか経過しておらず、現在も病気の再発予防と早期発見のための定期歯科健診とメンテナンスにお通いされながら経過観察中です。(治療2年後の写真) |
治療のリスクについて | ・外科手術のため、術後に痛みや腫れ、違和感を伴います ・メンテナンスを怠ったり、喫煙したりすると、お口の中に大きな悪影響を及ぼし、インプラント周囲炎等にかかる可能性があります。 ・糖尿病、肝硬変、心臓病などの持病をお持ちの場合、インプラント治療ができない可能性があり、高血圧、貧血・不整脈などの持病をお持ちの場合、インプラント治療後に治癒不全を招く可能性があります。 ・噛み合わせや歯ぎしりが強い場合、セラミックが割れる可能性があります |
クリニックより | 噛み合わせは噛んだ時の歯同士がどこで噛み合うかだけが注視される傾向にありますが、他の歯との高さだけでなく材質的な硬さや左右上下全体のバランスが大切だと考えています。 今回も手前の歯は歯より軟かいプラスチック、なくした歯には歯より硬い銀歯、噛み合う上の歯のセラミックと左上下がバラバラの硬さで調和が取れておらす、一部の歯やあごの周囲に負担がかかる一因になっている可能性がありました。その観点から他の歯の治療も行うことになりました。さらに噛みしめ癖や姿勢も噛み合わせや歯とあごの症状を生む一つの原因となっていると考えています。そこまで踏み込めば、歯医者だけでなく患者さんも一緒にご協力いただく必要がでてきます。 また歯科医としてできることとできないことがあります。噛み合わせは歯科だけの問題と考えられがちですが、全身の色々なものとの関連していると捉えています。しかし歯科医として踏み込めるのには限界もあるのが事実です。 患者さんと一緒に模索しながら治療に当たっています。 |
セラミック(カタナ)など詰め物・被せ物の種類や特徴はこちらをご参照ください。
インプラントの詳細は下記をご覧ください。
・インプラントとは
・インプラントの種類
・インプラント治療を受けられない人
・骨が少なくてもインプラントを受ける方法はあるのか
・インプラントと天然歯の違い
・骨が痩せてしまった場合の将来的なリスク