入れ歯の見た目が悪い

見た目に関わる部分とその対処法をお話ししてみましょう。

目次

きれいな口元と人工歯

前歯は口元や唇と調和し、かつ発音に支障がない位置に配置するのが見た目が綺麗になります。具体的には、前歯の長さ、唇との関係、出っ張り具合、口元から見える量などが審美上は重要です。
前歯の形や大きさがお顔の形や大きさに調和していると綺麗に見えます。例えば男性で四角いお顔の方には四角ぽい人工歯、女性の丸顔には丸みのある人工歯、またお顔と唇の幅に調和した人工歯の大きさ(幅)などで雰囲気は変わります。
また自然な笑顔の時に見える前歯の量も見栄えには大切です。口元から前歯が見えすぎると何となく品がなくなり、逆に歯が見えないと老けて見えます。そして女性の場合緩やかに口角に向かって少し上がり気味にすれば柔らかく優しい口元になり、男性は水平ないし若干下がり気味の方が力強く男性的な雰囲気になります。
前歯の色調も重要で、白すぎると人工的な取って付けた感になり、暗い色調は老けて見えます。好みの問題ですがあえて前歯を綺麗に並べず多少の不揃い感を持たせると、あたかも天然の歯のような自然感を演出することもできます。
このような前歯の人工歯だけでも雰囲気は変わります。お顔や雰囲気とのバランスが大切です。

総入れ歯では人工歯の配置は自由度が高いものの、部分入れ歯ではご自身の歯との調和が必要なため自由度は少なくなります。総入れ歯でもあごの骨の痩せ具合や上でお話しした変化の程度などにより、入れ歯の外れやすさや安定度との兼ね合いから自由度にも範囲があります。このため本物に仕上げる前の段階の入れ歯を入れてみて、お顔や口元などと調和するかどうかを試すことが必要です。こうしてお互いに確認した後に入れ歯を仕上げていけば、満足のできる入れ歯に仕上がります。

唇や口元が老けて見える

歯を失ってあごの骨が痩せるにつれ唇や口元が内側に凹むように倒れてくると唇や口元の張りが無くなります。口元や頬がこけた感じやシワが目立ち、老けて見えるようになります。しかし入れ歯のピンク色の歯茎部分で口元の内側から持ち上げてあげれば、ある程度の回復は可能です。ただし口元の張りは入れ歯の厚みが必要なため、異物感との調和をどこに設定するか試行錯誤が必要になります。

部分入れ歯の針金(金具)が目立つ

部分入れ歯の針金は細くても丈夫で変形後の復元性(弾力性)が必要なため一般的には金属を用います。しかし金属色が目立つ嫌いがあります。その解決法をご紹介いたします。

弾性力のある細い針金を使う

金属にも種類があり弾力性に富んだ細い針金なら比較的歯の歯茎に近い場所に設定できるため歯の表面にある針金より審美上多少有利になります。

ノンクラスプ義歯(エステティック義歯)

金属製の針金でなく歯色や歯茎色した樹脂製の針金を用いるノンクラスプ義歯もあり、これは目立ちにくい点ではメリットです。しかし一部を除いて樹脂製の針金は後々に修理対応が困難なデメリットもあるため、何を優先するかでしょう。

コーヌス義歯

一般的な入れ歯は残った歯に金属の針金を引っ掛けて入れ歯を安定させますが、コーヌス義歯は針金自体がない構造ですので見た目が奇麗なのが特徴です。針金の代わりに、茶筒のように金属の歯に金属の人工歯をすっぽり被せることで入れ歯を安定させます。茶筒は前後左右にどちらに動かしても蓋は外れませんが、蓋を引きぬくと外れます。この原理を応用した入れ歯です。

■ 針金タイプの入れ歯と比較した長所
入れ歯の中ではトップクラスの安定性があるため、噛む力でも入れ歯がビクリと動かず入れ歯特有のガタつきがありません。そのため大変よく噛め、食べかすもはさまりにくい入れ歯です。
構造上針金がないため、外見上見栄えがよくすっきりとした口元になります。
このように使い心地は入れ歯ではトップクラスで、患者さまの満足度も高い入れ歯です。あごの骨(土手)の痩せが非常に少なく、構造がしっかりしているため中には10年以上前にお作りした入れ歯が今も現役である患者さんもいらっしゃるように耐用年数が非常に長いのが特徴です。

■ 針金タイプの入れ歯と比較した短所
上記のビクリとも動かない高い安定性の裏返しで、取り外しに慣れが必要です。
一般的な入れ歯に比べて精密な入れ歯のため、数日間入れ歯を入れておかないと歯が動いてしまって取り外しがきつくなったり、あまり長期化すると入らなくなることがあります。しかし通常は長期間外すことはありませんので短所とは言えないかもしれません。
構造が複雑な上に精密で作製工程が多いため、一般的な入れ歯に比べて治療期間が長く治療費が高くなります。しかし入れ歯自体は作りがしっかりしているため長期間お使いいただけます。また毎日取り外すものですので、茶筒と同じように長年使うと金属同士が摩耗して入れ歯が多少ゆるくなることがあります。

見た目の感想は個人個人気になる箇所が違うため、見た目のよい入れ歯は一様ではありません。ご相談の上今後の方針をお決めいただくことになります。

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